世界が「都市の時代」を迎える現代において、厳しさを増す国際的な都市間競争のなかで東京が世界一の都市になることを目指し、森ビル株式会社は都市の「磁力」を総合的に高めるための街づくりに全力を挙げて取り組んでいる。このほど、森ビルの広報担当者が台湾メディア『風傳媒(ストームメディア) 』の単独インタビューに応じ、同社が描く都市再生ビジョンや台湾に向けた今後の戦略について詳細に語った。
都市の「磁力」を定義する 多機能複合型コンパクトシティ 森ビルは、都市の磁力を高める街とは、単に物理的な空間を提供するだけのものではないと確固たる定義を掲げている。それは、住む、働く、学ぶ、遊ぶ、交流する、憩うといった人々の多様な営みを中心に発想され、多種多様な都市機能が高度に複合した「コンパクトシティ」である。
森ビルは「立体緑園都市」構想で港区ヒルズエリアの多様な機能と自然を融合させ、台湾との深い文化交流や手厚いインバウンド施策を通じ国際都市・東京の磁力を牽引している。(写真/森ビル提供)
権利者との対話が生む、理想的な都市のありかた その目標を実現するために、東京の都心部に位置しながらも、交通インフラの未整備や防災上の課題を抱える木造密集住宅地などにおいて、そこに暮らす人々の視点に立った理想的な都市のありかたを模索し、地域の権利者と長期間にわたる対話を幾度となく重ね、共同事業としてともに手を携えて再開発事業を推進してきた。
「Vertical Garden City(立体緑園都市)」という独自手法 このような理想的なコンパクトシティを現実のものとするため、森ビルは細分化された土地を大規模にまとめ上げ、建物の集約と飛躍的な高層化によって空と地下の空間を最大限に活用し、多様な都市機能を立体的かつ重層的に組み込む同社独自の都市開発手法である「Vertical Garden City(立体緑園都市)」を採用している。
自然との共生と、街を長期的に育む「タウンマネジメント」 この手法では、高層化によって地上部分に極めて大きなオープンスペースを創出することで豊かな緑を飛躍的に増やし、多様な都市機能が複合するだけでなく、自然環境とも完全に共生する持続可能な都市を創り上げてきた。
また、森ビルは都市を物理的に創り出すことのみならず、街を長期的に育むことも極めて重視している。同社にとって街の開業は決してゴールではなく、むしろ新たな歴史のスタートであると位置づけられている。
開業した後も街の鮮度を常に高く保ち、そこに集う人々との深い絆を育み、豊かで活力あるコミュニティを形成していくため、街全体で都市機能の定期的な更新や魅力的な店舗の入れ替え、さらに季節ごとの多彩なイベントなどの情報発信を継続的に行うタウンマネジメントの取り組みを徹底し、街が放つ磁力を絶え間なく高め続けている。
港区・国際都市としての圧倒的なポテンシャル 「港区は日本の都心でありながら豊かな緑を備え、国内の外国大使館の半数以上、外資系企業の4分の1が集積している。さらに高級ホテル、文化施設、インターナショナルスクールなども点在しており、国際都市として極めて高いポテンシャルを有しているエリアである」
森ビルは「立体緑園都市」構想で港区ヒルズエリアの多様な機能と自然を融合させ、台湾との深い文化交流や手厚いインバウンド施策を通じ国際都市・東京の磁力を牽引している。(写真/森ビル提供)
「ヒルズエリア」の形成、有機的なつながりが日本を牽引する 森ビルは港区の中心に位置する六本木から虎ノ門にかけての広大な地域を最重要の戦略エリアと明確に位置づけており、「文化都心」を標榜する六本木ヒルズや、「グローバルビジネスセンター」として機能する虎ノ門ヒルズ、そして「Green & Wellness」をテーマに掲げる「Modern urban Village」としての麻布台ヒルズなど、それぞれが際立った個性と魅力を持ったヒルズを展開してきた。
森ビルは「立体緑園都市」構想で港区ヒルズエリアの多様な機能と自然を融合させ、台湾との深い文化交流や手厚いインバウンド施策を通じ国際都市・東京の磁力を牽引している。(写真/森ビル提供) これらのヒルズがそれぞれの個性を活かしながら有機的につながり合い、ひとつの巨大な「ヒルズエリア」を形成している。さらに現在推進中である複数の新しいプロジェクトも加わることで、この広大なエリアから生まれる強力な都市の磁力が東京を、ひいては日本全体を力強く牽引していくことになると同社は確信している。
文化・アートと「Green & Wellness」による都市の魅力向上 国際的な都市競争力をさらに高めるうえでの重点施策として、森ビルは文化やアート、グリーンとウェルネス、そして防災対応に注力している。豊かな都市生活を実現し、世界中の人々を強くひきつけるためには、文化が日常に息づく豊かな環境が不可欠であると考え、都市創りにおいてつねに文化を最も大切な要素のひとつとして位置づけてきた。
その歩みは、1986年に開業した都内初のクラシックコンサート専用ホール、アークヒルズの「サントリーホール」から始まり、2003年に開業した文化都心・六本木ヒルズの象徴「森美術館」の誕生など、優れたアートを身近に感じられる街づくりを具現化してきた歴史に表れている。
森ビルは「立体緑園都市」構想で港区ヒルズエリアの多様な機能と自然を融合させ、台湾との深い文化交流や手厚いインバウンド施策を通じ国際都市・東京の磁力を牽引している。(写真/森ビル提供)
世界から注目される「ディスティネーション」の創出 近年では2023年に、虎ノ門ヒルズの新たな情報発信拠点「TOKYO NODE」と麻布台ヒルズの「麻布台ヒルズ ギャラリー」が相次いでオープンし、さらに2024年には麻布台ヒルズに「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」が誕生した。これらの施設は、つねに新しい何かが起きている刺激的な場所として、世界中の人々が確固たる目的を持って訪れるディスティネーションとなっている。
街全体で包括的に支えるウェルネスと圧倒的な緑地 「Green & Wellness」をテーマに掲げる麻布台ヒルズにおいては、慶應義塾大学予防医療センターを中核として、街を構成する様々な施設が緊密に連携することによって、人々のウェルネスを街全体で包括的にサポートする体制を整えている。慶應義塾大学予防医療センターでは、一人ひとりの健康状態に寄り添った「パーソナライズド・ドック」を、極めて精度の高い最先端の医療技術と共に提供している。
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また、麻布台ヒルズの広大な敷地全体を徹底して緑化することにより、都心でありながら約2万4000平方メートルにも及ぶ圧倒的な規模の緑地を創出した。そのなかには、温州ミカンやブルーベリーなどを実際に育てている果樹園や、自然と触れ合える菜園なども特別に設置されている。
「逃げ出す街から、逃げ込める街へ」圧倒的な防災拠点としての強靭性 防災面に対する取り組みも極めて徹底している。森ビルでは、「逃げ出す街から、逃げ込める街へ」という独自のコンセプトのもと、自社の開発地域のみならず、周辺の地域社会にも大きく貢献できる強靭な防災拠点の構築を目指してきた。建物には、制振壁や制振ダンパーなど、現在考えうる最高レベルの耐震性能を有しているほか、災害などの非常時にも安定した電力供給を維持することが可能な自家発電システムなども完備している。
さらに、災害用井戸や充実した備蓄倉庫なども敷地内に整備している。また、街全体での定期的な防災訓練を積極的に実施することにより、各種機器の操作や有事の際の適切な対応についての習熟を図るとともに、地域全体の震災への意識向上に継続して努めている。加えて、各ヒルズに設けられた備蓄倉庫には、大量の非常食や毛布などの防災用品を常に備蓄しており、ヒルズ全体で合計1万4000人もの帰宅困難者を安全に受け入れることが可能な体制を構築している。
このように、建物の強度といったハード面だけでなく、運用体制というソフト面でも万全の備えを施し、誰もが安全で安心できる都市づくりに取り組んでいる。
台湾・アジアとの共創、国際都市としての発信と多言語対応 台湾を含むアジアからのインバウンド対応や多言語化、観光施策といった海外への発信においても、森ビルはきめ細やかな対応を行っている。森美術館など森ビルが運営 する文化施設や各種イベントは、世界の人々が明確な目的として訪れるディスティネーションに成長しており、多くの訪日観光客が街に大きな賑わいを生みだしている。このような多国籍な来街者のために、各インフォメーションセンターでの多言語対応や外国語表記のサインなどを積極的に導入している。
また、ヒルズ全体で総客室数が1700室を超える5つの5つ星ホテルを運営 しており、海外からの訪問者に極めて快適に滞在いただける最高水準の環境を提供している。海外ブランドや台湾ブランドのテナント戦略、ならびに文化交流の可能性についても、森ビルは台湾のアーティストや企業、ブランドなどとこれまで様々な形での協働を実現してきた。
台湾文化との共創、アートとトレンドの発信拠点として 例えば、森美術館では2024年に台北駐日経済文化代表処台湾文化センターとの共同企画として、展覧会「1980から1990年代 台湾ビデオ‧アートの黎明期」を開催した。さらに、東京都などとの共催により毎年開催している六本木エリアの街全体を挙げてのアートイベント「六本木アートナイト」においては、2024年に台湾当代文化実験場の専門的なキュレーションにより、7組の才能豊かな台湾のアーティストを紹介し、大きな反響を呼んだ。
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また、各ヒルズやラフォーレ原宿などの商業施設には、多数の台湾発の店舗や人気レストランを誘致しており、台湾の最新トレンドや魅力的な文化の日本国内への発信に大きく貢献している。
台湾の読者へ贈る「ヒルズ」で過ごす理想の一日 最後に、風傳媒を通じて台湾のメディア読 者に向けたメッセージとして、森ビルの広報担当者は次のように語った。港区の都心部には、それぞれ異なる個性と魅力をもつ複数のヒルズが徒歩圏内に連なっているため、都心をのんびりと散歩しながら、非常に多彩で色々な体験をしていただける環境が整っている。
例えば、文化都心である六本木ヒルズにある森美術館で、英国在住の著名なアーティストであるロン‧ミュエクの展覧会を鑑賞し、昼は2.4ヘクタールという圧倒的な広さの緑地に囲まれた麻布台ヒルズの中央広場で、麻布台ヒルズ マーケットで購入したランチに舌鼓をうち、午後は表参道ヒルズまで足を延ばしてショッピングを満喫し、夜は虎ノ門ヒルズのホテルに泊まるといった楽しみ方は、このヒルズならではの特別な体験であるという。
ぜひ、東京にいらっしゃる際は、いまの東京らしさが詰まったこの「ヒルズ」で、充実したひとときをお過ごしくださいと、台湾の読 者へ向けて力強く呼びかけた。
【企業概要】森ビル株式会社 森ビル株式会社(Mori Building Co., Ltd.)は、1959年に設立された日本を代表する総合デベロッパーであり、東京都港区六本木に本社を構えている。「都市を創り、都市を育む」を企業理念に掲げ、細分化された土地を大規模に集約して高層化し、空と地下の空間を最大限に活用して地上に豊かな緑を創出する独自の都市開発手法「Vertical Garden City(立体緑園都市)」を長年にわたり推進している。
【主要プロジェクトの歩み】 同社の歩みは、1950年代後半の虎ノ門‧新橋地区におけるオフィスビル建設から始まり、1986年には民間による日本初の大規模再開発事業として職‧住‧学‧遊の機能を融合させた「アークヒルズ」を竣工させた。これを原点として、2003年の「六本木ヒルズ」、2014年以降継続的に拡大する「虎ノ門ヒルズ」、そして2023年に開業し話題を呼んだ「麻布台ヒルズ」など、東京の都心部において際立った個性を持つコンパクトシティを次々と生み出してきた。
現在も辻慎吾社長の指揮のもと、単なるハード面の開発にとどまらず、文化施設や高級ホテルの運営 、タウンマネジメントといったソフト面での取り組みを強化し、東京の国際的な都市競争力を力強く牽引し続けている。