【北京観察】「寝そべり」は境外勢力の陰謀なのか 北京が若者の「諦め」を恐れる本当の理由

中国国家安全省は先ごろ、インターネット上や若者の間で流行している「寝そべり文化」について、海外の反中敵対勢力が扇動したものであると指摘する文章を発表した。(資料写真、AP通信)
中国国家安全省は先ごろ、インターネット上や若者の間で流行している「寝そべり文化」について、海外の反中敵対勢力が扇動したものであると指摘する文章を発表した。(資料写真、AP通信)

4月28日、中国の国家安全部は微信(WeChat)の公式アカウントに「『寝そべり』を煽る彼らは、自分たちは休む暇もなく動き回っている」と題する文章を掲載した。文章は、「境外の反中敵対勢力」が「寝そべり系インフルエンサー」に資金を提供し、「努力=搾取されるだけ」「階層の固定化=努力しても無意味」といった言説を作り上げ、中国の若者に対して体系的な「寝そべり洗脳」を行っていると断定した。

そうした動きは、若者の努力への信念を崩し、社会の価値の土台を揺るがすことを狙ったものだという。さらに文章は、相手側が「一方で寝そべりを掲げながら、自分たちは休む暇もなく動き回っている」と強調し、中国の発展による利益と戦略的機会を弱める意図があると主張した。

同じ日、中国共産党の中央政治局は会議を開き、現在の経済情勢と経済政策について分析・検討を行った。会議では、第1四半期の中国経済について「力強いスタートを切り、主要指標は予想を上回った」と評価する一方、「経済が安定の中で持続的に好転していく基礎は、なお一段と固める必要がある」と異例ともいえる表現で強調した。さらに、より大きな力度と、より実効性のある措置で経済政策を進めるよう求め、「雇用の安定、企業の安定、市場の安定、予想の安定」を改めて打ち出したほか、「過当競争の是正を深く進めること」や、「AIプラス」行動を全面的に実施することも求めた。

この二つの動きは、外部に対して一つの非常に明確なシグナルを発している。指導部が本当に懸念しているのは、若者が口先で「もう頑張れない」と言うことそのものではない。経済的圧力が積み重なる中で、若者たちが「寝そべり」という言葉を通じて、現実そのものへの不信を表し始めていることなのである。

市民からは不満噴出、深まる指導部との認識のズレ

中国のネットユーザーたちの第一反応は、「境外勢力の浸透」という説明を受け入れることではなかった。むしろ直ちに、「仕事は見つからない、家は買えない、子どもは育てられない、結婚もできない。これも境外勢力のせいなのか」と問い返した。中には、「たばこ、電力、中国石油、中国石化のような国有企業の『厳しい職場』に入れてくれるなら、100歳まで国家のために働く。絶対に寝そべらない」と皮肉を書く者もいた。

当局の発表に戸惑いや不満を示す中国のネットユーザー(中新社の微信公式アカウントのコメント欄より)
当局の発表に戸惑いや不満を示す中国のネットユーザー(中新社の微信公式アカウントのコメント欄より)

そもそも「寝そべり」という言葉自体、中国で広まった背景は決して外から持ち込まれたものではない。若年失業、高騰する住宅価格、学歴の価値低下、階層移動の停滞、残業文化、そして「内巻」と呼ばれる消耗的な競争の長期化。多くの若者は、自ら進んで「投げやり」になったのではなく、現実によって低欲望の生き方へと押しやられている。 (関連記事: 【独占インタビュー】李鴻源氏「中台関係は白黒では語れない」 台湾が直面する複雑な選択 関連記事をもっと読む

それにもかかわらず、当局がこうした社会感情を「外部勢力による操作」と説明しようとすれば、認識のズレが生まれる。若者たちが実感しているのは、賃金が上がらず、機会が減っていくという現実だ。ところが、当局が示す答えは「境外勢力の浸透」である。

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