台湾の立法院(国会)で1兆2500億台湾ドル(約6兆円)規模の防衛特別予算案を巡り、与野党間の対立が続く中、最大野党・国民党の内部でも亀裂が表面化している。国民党季麟連・副主席は4月29日、韓国瑜・立法院長(国会議長に相当)を名指しし、「党を売って自らの利益を求めるなら、黄復興(国民党傘下の退役軍人団体、退伍軍人服務工作委員会の通称、季氏が主任委員を務める)は党籍剥奪を求める」と牽制。この発言が大きな波紋を呼び、国民党所属の立法委員(国会議員)からは韓氏を擁護する声が相次いだ。
こうした事態を受け、ジャーナリストの羅友志氏は同日、自身のフェイスブックで「国民党は典型的な内紛政党だ」と指摘。「もし〇〇なら、選挙は終わりだ」といった言説が繰り返されており、「鄭麗文氏を党主席にすれば、選挙は終わりだ」などの例を挙げた。さらに、党自身がその内紛体質を自覚しなければ、無党派層や若年層の支持は永遠に得られないと厳しく批判した。
韓氏は「国家に恥じることなし」
台湾の将来的な軍備構築の方向性を左右する防衛特別予算案は、依然として立法院での審議が停滞している。韓氏は27日、調達項目や予算枠などの重要条項を巡り、再度、与野党の議員団による協議を召集した。しかし、議論は1時間以上に及んだが、具体的な合意には至らなかった。
注目すべきは、同予算案に関する29日の国民党中央常務委員会での動きだ。季氏が韓氏に対し、「党を売って自らの利益を求めてはならない」と警告した上で、(国民党案とは異なる)8000億台湾ドル(約4兆円)規模の予算案を支持する党所属の徐巧芯・立法委員を激しく非難した。これに対し、会議の進行役を務めていた鄭麗文・主席(党首)が気まずそうにその場をとりなす一幕があったという。

騒動が拡大した後、韓氏は同日夕方、フェイスブックを更新し、「老牛自奮蹄(老いた牛は鞭打たれずとも自ら奮い立って進む)」という座右の銘を記した上で、「国家に対して恥じることはない」などと表明した。この投稿には徐氏を含む多くの国民党立法委員から支持コメントが寄せられ、鄭氏も「お疲れ様です」と書き込んだ。こうした状況に対し羅氏は、国民党に「政治への参加は人々のためのもの」という本来の精神を語る者がほとんどいないと指摘し、「それなら選挙に出るべきではない」と痛烈に批判した。
中国のネットユーザーから「国民党は摩訶不思議な政党」
羅氏はこれまでの言説を列挙し、「『鄭氏が党主席になれば選挙は終わりだ』と言いながらも選挙活動は続けられ、『鄭氏が中国に行けば選挙は終わりだ』と言われつつも活動は継続されている。そして今は『米国に8000億台湾ドルを支払わなければ、選挙は終わりだ』と言われている」と指摘。これは典型的な内紛型政党の姿であり、政治家の頭から国民の存在が薄れ、党内抗争と計算にのみ飢えている状態だと断じた。
なお文章の最後で羅氏は中国のネットユーザーの言葉を引用し、「国民党は抗日戦争を戦ったが、中国大陸は共産党に奪われた。国民党は健康保険制度を確立し、ファウンドリ大手の台湾積体電路製造(TSMC)を育て、十大建設を推進したが、民進党に政権を奪われた。国民党とは実に魔幻的(摩訶不思議)な政党だ」と締めくくった。
台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
編集:平松靖史

















































