アップル、インテルと半導体生産で提携へ TSMC一極依存に転機

2026-05-12 12:13
長年にわたりファウンドリ(半導体受託製造)の首位に君臨してきた台湾積体電路製造(TSMC)だが、今回の米アップル(写真)と米インテルとの提携は、世界の半導体サプライチェーンがより複雑かつ多様化した局面へ突入することを示唆している。(写真/AP通信提供)
長年にわたりファウンドリ(半導体受託製造)の首位に君臨してきた台湾積体電路製造(TSMC)だが、今回の米アップル(写真)と米インテルとの提携は、世界の半導体サプライチェーンがより複雑かつ多様化した局面へ突入することを示唆している。(写真/AP通信提供)

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は5月8日、米アップル(Apple)と米インテル(Intel)が、アップルの一部製品向け半導体の受託製造(ファウンドリー)に関する基本合意に達したと報じた。両社は1年以上にわたり交渉を続け、ここ数カ月で正式な契約を結んだという。

具体的な対象製品や製造プロセスは現時点で公表されていないものの、市場では、まずはローエンドまたは最先端ではないMシリーズのMacおよびiPad向け半導体を対象とし、インテルの「18A」または「18A-P」プロセスが採用されるとの見方が広がっている。この報道を受け、インテルの株価は日中取引で一時14%近く急騰した。同時に、これは世界の半導体業界に波紋を広げた。アップルが台湾積体電路製造(TSMC)への一極依存から脱却し、サプライチェーンの戦略を「多角的なリスク分散」へと静かに転換させつつあることが浮き彫りになったからだ。

この動きは、アップル、TSMC、インテルの3社が繰り広げてきた過去10年以上にわたる複雑な関係性を想起させる。この関係は3つの段階に分けることができ、米テック大手におけるサプライチェーンの思想が「極限の効率化」から「戦略的分散」へと至る転換の軌跡を明確に示している。

第1段階(2006年〜2012年)、アップルのインテルへの深い依存

​当時のMacは、インテル製のx86アーキテクチャCPUにほぼ完全に依存していた。2006年以降、インテルはアップルにとって最も重要な半導体サプライヤーとなり、両社の提携関係は10年以上に及んだ。

しかし、インテルは製造プロセスの微細化で後れを取り、消費電力の高さが課題となっていた。そのため、薄型化、省電力、そして高性能を求めるアップルの要求を次第に満たせなくなっていった。並行して、アップルはiPhoneおよびiPad向けに独自の「Aシリーズ」半導体の開発に成功しており、より高度な技術を持つファウンドリー企業を模索し始めていた。

米半導体大手インテル(Intel)。(AP通信)
2006年から、米半導体大手インテルはアップルにとって最も重要な半導体サプライヤーとなった。(写真/AP通信提供)

第2段階(2010年〜2014年)、TSMCへの転換と全面的な提携の開始

​2010年から2011年にかけて、転機は密かに訪れた。米アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏と、TSMC創業者のモリス・チャン張忠謀氏が「中華料理の夕食」を交えて会談したことを契機に、両社の接触が始まった。TSMCはまずアップル向けにA5およびA6チップの試験生産を行ったが、当時はまだ小規模なテストにとどまっており、Aシリーズの主要な委託先は依然として韓国サムスン電子(Samsung)であった。
(関連記事: マスク氏、巨大半導体工場「Terafab」建設へ 総額1190億ドル投資、インテルと連携し内製化目指す 関連記事をもっと読む

しかし2014年、状況は一変した。TSMCがA8プロセッサの大規模な量産を開始し、iPhone 6およびiPhone 6 PlusにはTSMCの20ナノメートル(nm)プロセスが独占的に採用された。一方でサムスンは歩留まりの問題により受注を失った。この年、アップルはAシリーズ半導体の製造を「全面的にTSMCへ移行」した。これを受け、TSMCも巨額の投資を行い、最先端プロセスの生産能力を大幅に拡大させた。

最新ニュース
TSMC株高で台湾の年金急伸 1000万人の老後支える一方、集中リスクも
米中首脳会談、台湾は取引材料になるのか 関税と選挙を巡る駆け引きにアジア警戒
【舞台裏】武器購入予算が引き裂いた国民党 「反鄭麗文連合」形成で党内亀裂が深刻化
「平和を望むなら戦に備えよ」 バローゾ元欧州委員長、欧州の防衛自立を訴え
ハンタウイルス感染のクルーズ船がテネリフェ寄港へ WHO「新型コロナの再来ではない」
SR渋谷が「東京サンロッカーズ」へ名称変更、新アリーナ移転を発表 ドラフト1位・山﨑一渉らとの契約も締結
【Bリーグ】サンロッカーズ渋谷が「東京サンロッカーズ」へ名称変更、新ロゴも発表 本拠地を江東区へ移転し再出発
ジャパン・ソサエティー理事長が日米関係を分析 高市首相の外交手腕を評価し、日本の主体的リーダーシップを提言
闇に咲く光の記憶 台湾人写真家・廖文瑄、京都「KG+ 2026」で母性と再生を問う個展を開催
パネライ「時の深淵」展が伊勢丹新宿店で開催 元ラグビー日本代表・五郎丸歩が語る「装備」としてのルミノールの魅力
パネライの新作「ルミノール PAM01735」の魅力とは?元ラグビー日本代表・五郎丸歩が体現する「正確な時を刻むツール」の価値
中東危機で浮かぶ中国の存在感 「予測可能な大国」と米国の失速
台湾人写真家・廖文瑄が「KG+ 2026」に入選、個展『残響記・息』を開催 三度の妊娠を通じた生命の循環を写し出す
【舞台裏】無人機からレアアースまで 台湾・林佳龍外相が冷遇部署に放った「隠密戦士」の狙い
台湾産マンゴー輸出好調、最高3700円で日本高級百貨店へ進出 日韓・シンガポールなどで需要拡大
自治体・公共 Week 2026で「野生動物リスク対策ゾーン」を初開催 AI検知や撃退技術など最新クマ被害対策が進化
台湾・高雄に海を見渡す新商業施設「FOCUS 13 珊瑚広場」開業 台湾唯一の海景複合型文化施設、約40ブランドが出店
台湾で肺がん検査に最長半年待ち 背景に防衛的医療と総枠規制
『ASEA 2026』U-NEXTで独占生配信!ENHYPEN、FRUITS ZIPPER、生田斗真ら出演の豪華祭典を全編網羅
ファナティクス、FIFAと歴史的な独占ライセンス契約を締結 2031年からサッカー界初の「実使用ジャージーパッチカード」導入へ
米国防総省、UFO機密ファイルを大量公開 トランプ大統領の公約実現「地球外生命体の存否は自身で判断を」
【父の日2026】ロイヤルホスト デリ、「父の日限定ギフトセット」を5月22日より発売 レストランの本格的な味で感謝を伝える
マスク氏、巨大半導体工場「Terafab」建設へ 総額1190億ドル投資、インテルと連携し内製化目指す
台北メトロ、59億台湾ドル投じ新型車両10編成を導入 2027年半ば運行開始へ
U-NEXTが「日比谷音楽祭2026」の独占生配信パートナーに就任 新会場を含む5ステージを完全網羅 豪華出演者も発表
【フジロック’26】第3弾ラインナップ発表 TV大陸音頭がメイン昇格の快挙、土曜券は早くも完売
麻布台ヒルズ「廊下音楽」第4弾が5月29日に開催 安藤裕子、蔡忠浩らが出演し、日常に溶け込む音楽体験を創出
【台湾映画上映会2026】第2回は『あの写真の私たち』 5月30日に大阪で開催、監督2名によるオンライントークも
【プロ野球】オリックス、2試合連続完封負け 岸田監督45歳バースデーを白星で飾れず
【日本ダービー】JRA、川島明ら「賞レース惜敗組」とコラボ動画公開!芸人たちが語る競馬愛と意外な共通点
ロイヤルホスト、5月13日より国産メロンが主役の季節デザートを販売開始 初の「産地リレー」で2品種の味わいを堪能
機内食世界ランキング発表、首位はギリシャの航空会社 台湾エバー航空が4位、日本勢2社もトップ10入り
【プロ野球】オリックス打線が沈黙、加藤貴之に零封許し連勝ストップ 日ハム野村が全打点マークの活躍
【独占】2次元の推しを現実の東京へ 台湾人イラストレーター・妮妮子(Niniko)が「夢絵」で描く新たな日常
米中首脳会談、台湾問題が焦点に 元安保高官が2027年有事リスク指摘
台湾嘉義の人気観光地「檜意森活村」、ホテル大手・煙波の運営で6月刷新へ
【独占】新小岩にアメリカンレトロの風 台湾人デザイナーが手掛ける「Ghost Toy Shop」が紡ぐ地域交流
JR東日本と伊藤忠、不動産統合で2500億円企業へ 沿線開発と地方創生を加速
台南市と金沢市、観光・文化交流促進で合意 八田與一の縁を継承
【単独】台湾の最危険期は2027年ではない 元米海軍情報局長が警告する「2028~32年」
中国軍上層部で大粛清 前国防相2人に執行猶予付き死刑
【Netflix】原宿ポップアップが5月10日閉幕へ 人気作のプロップス展示や完売必至の限定アイテムに注目
パラグアイ大統領が2度目の訪台 台湾との絆を強調、中国は「正しい側に立つべき」と断交圧力
【寄稿】イラン戦争は米国覇権衰退の転換点となるのか
台湾防衛特別予算案、8日採決へ 在野協議の行方が焦点
『ベイマックス』Happyくじ第3弾が5月15日より発売 ちょんまげ着物姿の限定BIGぬいぐるみなど全10等級
【新新聞】台湾株に熱狂、売買代金1.7兆元超 バフェット指標は「危険水域」
【舞台裏】台湾のM1A2T調達、前陸軍司令が「最も荒唐無稽」と痛烈批判
【新商品】ロイヤルホスト デリ、自宅で味わう「トリュフ香るきのこクリームソース」のオムライスを5月12日より発売
【舞台裏】台北ネズミ騒動で異例の共闘 蔣万安市長が頼った相手は民進党の元市長候補