【台湾海峡解読】中国、台湾への直行便再開を打診 「九二共識」棚上げで中国人観光客解禁も焦点

中国人観光客の訪台に期待感 頼清徳総統が中国に対して軟化姿勢を示している事実は中国側にも認知されており、今回中国側が「92年コンセンサス」を棚上げした上で「航空小両会」を通じて和解のオリーブの枝を差し出したことは、極めて稀な譲歩と言える。(資料写真/柯承惠撮影)
中国人観光客の訪台に期待感 頼清徳総統が中国に対して軟化姿勢を示している事実は中国側にも認知されており、今回中国側が「92年コンセンサス」を棚上げした上で「航空小両会」を通じて和解のオリーブの枝を差し出したことは、極めて稀な譲歩と言える。(資料写真/柯承惠撮影)

台湾最大野党・中国国民党の鄭麗文主席と中国の習近平国家主席による「鄭・習会談」の終了後、中国政府(北京)は中台間の直行便拡大や、上海市および福建省の住民に対する台湾本島への個人旅行解禁を含む「台湾優遇10項目政策」を発表した。当初、与党・民主進歩党(民進党)政権が反発する限り、同政策は頓挫すると見られていた。

しかし予想に反し、中国側は台北へ書簡を送り、両岸の航空直行便の再開を自ら呼びかけた。中台関係筋は、台湾総統・頼清徳氏がこの提案を受け入れれば、「92年コンセンサス」を棚上げした状態での協議再開を意味すると指摘。これは中国側が民進党陣営に対して譲歩し、和解のオリーブの枝を差し出したものだと分析している。

2014年および2015年、中国から台湾を訪れる観光客数は年間400万人のピークに達した。しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、両岸の人的往来は完全に凍結された。パンデミックが収束した現在も、中国人観光客の訪台は政治的要因により停滞しており、昨年の訪台者数はピーク時の約1割にあたる55万人にとどまった。

だが、事態は徐々に好転の兆しを見せている。中国側は現在、上海市および福建省の住民に対し、金門、馬祖への旅行を解禁しており、さらに台湾本島への旅行解禁を目標として掲げている。中台関係筋によれば、頼氏が中国に対して軟化姿勢を示している事実が中国側にも認知されており、上海市や福建省の住民が近い将来、台湾本島を訪れる可能性が高まっているという。

中国、訪台観光客の解禁ペースを加速

​コロナ禍以降、中国人観光客の訪台は途絶えていたが、「鄭・習会談」の開催に伴い、習氏が台湾への歩み寄りを見せたことで、中国による訪台「解禁」のペースは全体として加速しつつある。2024年4月10日、前台湾総統・馬英九氏が中国を訪問し、習氏と「第2回馬・習会談」を行った。

さらに同月末には、国民党立法院党団総召(国会対策委員長に相当)・傅崐萁氏が16名の同党立法委員(国会議員)を率いて訪中し、中国人民政治協商会議全国委員会(政協)主席・王滬寧氏と面会した。これら二つの交流を経て、中国は福建省住民による金門、馬祖への旅行を解禁したのである。

2年という長い空白期間を経て、今年2月には国民党と中国共産党の間でシンクタンク交流が行われた。その後、中国側は上海市住民による金門、馬祖への旅行を推進すると発表。この方針はわずか3カ月後に実行に移され、上海市文化観光局は4月29日、同市住民が金門、馬祖への旅行申請を行うことを正式に認可した。中国人観光客の段階的な訪台解禁の歩みは、「2年に1歩」から「3カ月に1歩」へと明らかに加速している。 (関連記事: 台湾防衛特別予算巡り国民党内に亀裂 鄭主席は「3800億台湾ドル+N」維持を強調 関連記事をもっと読む

中国による台湾向け10項目措置の発表(松山空港の航空機)
「鄭・習会談」後、中国側が発表した「台湾優遇10項目政策」に注目が集まるなか、中国側は先日「航空小両会」を通じて台湾側に書簡を送り、両岸の旅客直行便の全面再開を呼びかけた。写真は松山空港の展望デッキで飛行機の離陸を眺める人々。(写真/中央社提供)

頼清徳氏の歩み寄りが奏功か 中国が民進党へ対話の糸口

​しかし最も予期せぬ展開だったのは、中国側のこれまでの緩和措置が、国民党要人の訪中に対する「手土産」として野党陣営に与えられてきた点である。今回は「鄭・習会談」後に優遇措置が発表されたものの、同時に民進党政権に対しても「対話の糸口」が提供された形だ。中国の「海峡両岸航空運輸交流委員会」は4月15日、「台北市航空運輸商業同業公会」の連絡ルートを通じて台湾側に再び書簡を送り、両岸の旅客直行便の全面再開を速やかに進めるよう呼び掛けたことを明らかにした。

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