台湾半導体生産額が7.1兆元へ AIとHBM牽引もIC設計は二極化の懸念

28日、半導体産業の動向予測を発表する資策会MICの彭茂栄・産業顧問(MIC提供)
28日、半導体産業の動向予測を発表する資策会MICの彭茂栄・産業顧問(MIC提供)

台湾のシンクタンク、情報工業策進会(資策会)産業情報研究所(MIC)は28日、半導体産業の最新トレンド予測を発表した。人工知能(AI)需要の拡大により、世界の半導体市場は従来の景気循環からハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)を軸とする長期的な構造的成長へと移行し、2026年には前倒しで1兆ドルの大台を突破するとの見通しを示した。同年の台湾の半導体生産額も過去最高となる前年比24.4%増の7兆1000億台湾ドルに達すると予測している。

MICが4月28日から開催したフォーラムで、彭茂栄・産業顧問は「半導体の需要は消費財からAIやデータセンターへシフトしている」と指摘した。2026年にはAI向けチップとメモリが成長の双発エンジンとなり、特に画像処理半導体(GPU)と広帯域メモリ(HBM)が中核を担うとの見方を示した。世界の半導体市場は2026年に前年比22.6%以上成長し、1兆2000億~1兆3000億ドル(1ドル=32台湾ドル換算で約32兆~41兆6000億台湾ドル)規模に達する可能性もあるという。

AI分野の競争は現在、モデル開発にとどまらず国家レベルのインフラ競争へと拡大している。MICは、AI産業が「エネルギー、チップ、インフラ、モデル、応用」の5つの層から構成されると分析し、半導体はこのインフラ競争の枢軸に位置づけられると強調した。

こうした背景のもと、台湾の半導体産業については「製造部門が先行し、設計部門で明暗が分かれる」構図になると予測した。2026年の分野別の生産額は、AI演算需要を背景に先進プロセスや先進パッケージングが牽引し、ファウンドリー(半導体受託製造)が前年比27%増の4兆6000億台湾ドル、ICパッケージング・テストが同17%増の7787億台湾ドルとなる見通し。メモリおよび垂直統合型デバイスメーカー(IDM)も価格上昇と需要増により同116%増の3999億台湾ドルと急拡大を見込む。

一方で、家電などの消費者向け端末の需要回復が力強さを欠いていることに加え、メモリ供給の逼迫によるコスト上昇が消費者の購買意欲を抑える要因となっている。このため、強気な需要に支えられる先端分野とは対照的に、一部のIC設計分野では企業間で受注や業績に格差が生じる可能性があると指摘された。

設備投資も世界的に高水準が続く見通しだ。MICの予測では、2026年の世界の半導体設備投資額は前年比18%増の2250億ドル(約7兆2000億台湾ドル)と過去最高を更新し、このうち6~7割を設備関連支出が占める。上位5社による100億ドル規模の投資が継続し、先進プロセスやHBM、DDR5などの生産能力増強に集中するとみられる。2027年の投資額は約2450億ドル(約7兆8400億台湾ドル)となる見通しだが、景気循環の動向を慎重に見極める必要があるとしている。

世界的な生産能力の分布については、台湾が引き続き主要拠点としての地位を維持する。2026年時点での半導体製造における台湾のシェアは83%を占め、中国(10%)、シンガポール(3%)、日本(3%)、米国(1%)と続くと予測。2030年時点でも台湾が79%で首位を保ち、中国(8%)、日本(5%)、シンガポール(4%)、米国(3%)、ドイツ(1%)の順になるとみている。彭氏は、地政学的リスクや各国の産業政策によって「設計は米国、製造はアジア」という分業体制が形成される中、台湾はファウンドリーと先進パッケージングの分野で代替不可能な地位を築いていると強調した。

今後、AIの応用領域は現在の生成AIから、自律的にタスクを計画・実行する「エージェントAI」や、ロボット、自動運転など現実空間で稼働する「フィジカルAI」へと進化すると予想される。MICは、半導体の需要がデータセンターにとどまらず、エッジコンピューティングや各種端末へと波及し、新たな成長局面を迎えるとの見通しを示した。

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編集:佐野華美


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