2027年導入「育成就労制度」に向けた勉強会が開催 外国人材の「定着」と「共生」が企業の生存戦略に

2027年開始の育成就労制度を控え、企業は転籍解禁を見据えた労働者保護と生活インフラの整備、多言語対応のDX化など、「選ばれる企業」になるための直接採用と総合的支援への戦略転換が急務となっている。(写真/GTN提供)
2027年開始の育成就労制度を控え、企業は転籍解禁を見据えた労働者保護と生活インフラの整備、多言語対応のDX化など、「選ばれる企業」になるための直接採用と総合的支援への戦略転換が急務となっている。(写真/GTN提供)

2027年4月からスタートする新たな外国人就労制度「育成就労制度」への移行まで1年となるなか、制度の概要や市場への影響、企業が準備すべき課題を解説する勉強会「育成就労制度・外国人就労の最新動向と企業の生存戦略」が2026年4月22日、東京都千代田区で開催された。

本勉強会には、以下の3名が登壇。従来の技能実習制度からの変更点や、人材獲得競争を勝ち抜くための具体策について、詳細なデータとともに解説が行われた。

  • 杉田 昌平 氏(弁護士法人Global HR Strategy 代表社員弁護士)
  • 青木 千秋 氏(株式会社グローバルトラストネットワークス 執行役員)
  • 細見 優太 氏(株式会社カミナシ プロダクトマーケティングマネージャー)

新制度の法的構造、段階的な日本語能力と「転籍」の要件

最初に登壇した杉田昌平弁護士は、育成就労制度の法的構造と要件について説明した。

  • 制度の目的:3年間の就労を通じた育成期間を経て、「特定技能1号」の技能水準に達する人材を育成することを目指す。
  • 対象分野: 特定技能の19分野の範囲内に限定された17分野(製造、建設、農業、宿泊など)。

日本語能力の段階的基準

  • 就労開始前:A1レベル(または相当する講習)
  • 1年経過時:A1レベル
  • 転籍時(本人の意向による場合):A2.1レベル
  • 育成終了時(特定技能1号移行時):A2.2レベル

「転籍」制度の導入

最大の変更点である転籍は、同一機関での就労が1年〜2年を超え、技能検定基礎級以上の合格およびA2.1以上の日本語能力を有し、優良な受け入れ先企業へ移るなどの要件を満たせば、本人の意向による転籍が可能となる。これに伴い、転籍者の人数枠制限(通常は3分の1)や、就労期間に応じた移籍金の支払いルールも導入される。

外国人保護の厳格化

外国人の保護の観点から、送出機関に支払う費用の額は育成就労計画に記載された報酬月額の2倍を超えないことという厳格な基準が設けられ、これには医療費や渡航費など一切の費用が含まれ、違反した場合は計画認定の取消事由になることが強調された。

市場環境の変化、採用は「消費」から「投資」の時代へ

続いて、GTNの青木千秋執行役員は、新制度施行に伴う外国籍人材マーケットの変化について解説した。

2040年には日本の労働力人口が約1200万人減少すると予測されるなか、すでに外食業の特定技能受け入れ人数が上限の5万人に達し、新規受理が停止するなど、外国人を「数」で確保する時代は終焉を迎えている。

また、在留資格の変更や更新の手数料が最大10万円、永住許可が30万円へと引き上げられる見込みであることからも、企業は採用を単なる「消費」ではなく、費用対効果を求める「投資」へと意識を転換する必要があると指摘した。 (関連記事: GTN、Sushi Bomber社をグループ化 外国人材の採用から定着までの支援体制を強化 関連記事をもっと読む

「選ばれる企業」への変革と、採用コストの高騰

育成就労制度による「転籍」の解禁と、SNSを通じたリアルな情報の透明化により、外国人材は待遇や人間関係、生活サポートの質を求め、より良い環境へと自由に移動するようになる。そのため、企業側は「選ばれる」存在になることが不可欠だ。また、市場は「高度専門職(技人国)」と「現場技能職(特定技能)」に二極化し、特定技能は19分野へと拡大、専門市場化が進む。

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