【外交秘録】台湾F-16導入秘話 海上輸送から自力回航へ転じた舞台裏

2026-05-04 16:03
台湾空軍のパイロットが米国で飛行訓練を受けた際に使用したF-16戦闘機。米空軍第21飛行隊に所属していた。(写真/ウィキペディアより)
台湾空軍のパイロットが米国で飛行訓練を受けた際に使用したF-16戦闘機。米空軍第21飛行隊に所属していた。(写真/ウィキペディアより)

台湾が1990年代に米国から調達した150機のF-16A/B ブロック20戦闘機を巡り、導入決定に至るまでに曲折があっただけでなく、最終的な台湾への引き渡し方法も異例の展開を辿ったことが明らかになった。

台湾の元国防部長(防衛相)の馮世寛氏および米国防総省の元高官・胡振東氏は、当初これら機体は28日間かけて海上輸送される予定だったが、米国での船積み前に機体を解体してコンテナに収め、台湾到着後に再び組み立ててから、安全確認の試験飛行を実施した上で空軍に引き渡す必要があり、コスト、時間、技術の面で大きな課題があったと明かした。このため最終的に、米台双方の空軍パイロットが米国から台湾まで機体を直接操縦して引き渡す決断が下された。

この予期せぬ変更により、台湾空軍のパイロットは空中給油を伴う長距離飛行という極めて貴重な経験を得た。また、機体を操縦して飛来した米軍パイロットが台湾の牛肉麺の虜になるという意外なエピソードも生んだ。

2026年4月、台湾が調達した最初のF-16戦闘機2機が米国から台湾へ回航された際、複座機に搭乗していた郝光明中佐が単座機の空中給油を受ける歴史的瞬間を撮影した。(AITフェイスブック)
1997年4月、台湾が調達した第1弾のF-16戦闘機2機が米国から台湾へと自力フェリーで送り届けられた際、複座型機の機内にいた台湾空軍の郝光明中佐が、単座型機が空中給油を受ける歴史的瞬間を撮影した。(写真/米国在台湾協会(AIT)公式Facebookより)

1997年に第1弾引き渡し、事前に念入りな準備

​台湾側の長年にわたる要請を受け、ジョージ・H・W・ブッシュ米大統領(当時)は1992年9月、60億米ドルでF-16A戦闘機120機およびF-16B戦闘機30機を台湾に売却すると発表した。

1997年4月4日、第1弾の引き渡しとなるF-16AおよびF-16Bの各1機がロッキード・マーティン社のテキサス工場を出発した。アリゾナ州のルーク空軍基地を経由して台湾空軍が現地に派遣した技術要員による検査を受けた後、ハワイとグアムを経由し、同月14日に嘉義空軍基地に到着した。総飛行時間は約22時間、空中給油は19回に達し、台湾軍史上前例のない長距離飛行任務となった。

実のところ、1997年4月にこれら2機がテキサスを出発する前から、台湾軍の駐米要員、米国での機種転換訓練に参加した空軍パイロット、そして当時の米太平洋軍司令部の間では、計画、調整、折衝、訓練といった水面下の準備が念入りに進められていた。

馮世寛氏「物事を成し遂げるには他者の助けが不可欠」

​国防部副参謀総長や国防部長を歴任し、現在80歳の馮氏は1997年当時、駐米台北経済文化代表処(大使館に相当)で駐米武官を務めており、F-16戦闘機の調達計画に深く関与した。今年4月上旬に行われた新書発表会で約30年前の出来事を回顧した馮氏は、同計画が単なる機体の調達にとどまらず、引き渡し前に米国側が台湾空軍パイロットに訓練を施すことに同意していたと指摘。T-38練習機による初期訓練だけでなく、F-5戦闘機による戦術訓練も含まれており、その過程で「非常に多くの米国の友人が手助けをしてくれた」と語った。
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「皆さんはご存知ないかもしれないが、F-16の訓練中、米国の友人が我々のパイロットに空中給油の練習をさせてくれた。まさか最終的にこれらの経験が、調達したF-16を操縦して直接台湾まで飛行するという任務の円滑な遂行に役立つことになるとは思わなかった」

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