第38回東京国際映画祭　審査委員記者会見開催　カルロ・シャトリアン「映画祭は世界を理解する窓」齊藤工「映画が国境を越える希望に」

第38回東京国際映画祭（TIFF）は10月28日、TOHOシネマズシャンテにて審査委員記者会見を実施した。登壇したのは、審査委員長を務めるカルロ・シャトリアン氏をはじめ、俳優の齊藤工氏、台湾の女優グイ・ルンメイ氏、香港のプロデューサーで監督のヴィヴィアン・チュウ氏、フランスの映画プロデューサー、マチュー・ラクロー氏の5名。各審査委員が東京国際映画祭への想いと、審査に臨む意気込みを語った。

シャトリアン氏は冒頭、「東京に戻ることができ、再び東京国際映画祭に参加できて嬉しい」と挨拶。「映画祭は私たちの視野を広げ、世界をより深く理解させてくれる場。映画を通して他者を理解することがいかに重要かを、改めて感じている」と語った。また、審査委員長としての抱負について「映画祭では常に予期せぬ驚きがある。私たちはその瞬間に立ち会い、感じた感情をまとめて結論へ導いていく責任がある」と語った。

齊藤工氏は「この素晴らしい4名と共に審査委員として参加できることに興奮している」と笑顔で語り、「100か国、2000作品から選ばれた15作品を5人の審査委員、5つの心で選んでいきたい」と意欲を見せた。さらに、「映画は国境や言語を越えられる数少ない手段。東京国際映画祭がその可能性を広げ、日本映画の未来への希望を照らす場になることを願う」と述べた。

グイ・ルンメイ氏は「東京国際映画祭の審査員に選ばれて光栄。世界各地の作品が集まり、ジャンルも多様で非常に刺激的です。クリエイターたちがどのように映画を作っているのか、その勇気や覚悟を感じたい」と期待を語った。

ヴィヴィアン・チュウ氏は「東京国際映画祭はアジアと世界を繋ぐ重要なプラットフォーム。異なる国の人々が共に作品を作り上げる国際的な共同制作の中で、映画祭は“最後の聖域”とも言える存在」と話し、「映画を世界に伝える責任を再認識している」と述べた。

マチュー・ラクロー氏は「市山さんの招待を受けてこの映画祭に参加できることを光栄に思います。映画を見るたびに驚かされたいという気持ちを大切にしている。未知の作品と出会うことを楽しみにしています」と語った。

記者会見では、「この10年間の日本・アジア映画の才能」「映画祭における国際交流の意義」「審査で大切にしたい視点」など多岐にわたる質問が投げかけられた。シャトリアン氏は「劇場の持つ力、そしてマスコミの発信力は非常に大きい。映画祭で紹介された素晴らしい作品が、より多くの観客に届くよう願っている」と呼びかけた。

審査委員5名は今後10日間にわたり、コンペティション部門にノミネートされた15作品を鑑賞・審議し、最終日の授賞式で各賞を発表する予定。国際色豊かな審査委員団による議論に、今年の映画祭への期待が一層高まっている。

編集：柄澤南 （関連記事： 第38回東京国際映画祭が開幕　「台湾映画文藝復興」特集に豪華陣容が集結 ｜ 関連記事をもっと読む ）

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X：@stormmedia_jp​