JR東日本「GATEWAY Tech TAKANAWA 2026」を開催 スマホをかざさない改札や次世代アグリテックなど最新技術を公開 JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影)
JR東日本「GATEWAY Tech TAKANAWA 2026」開催、UWB無感通関から次世代アグリテックまで100年先のくらしを見据えた実証実験 JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影) JR東日本は、高輪ゲートウェイ駅周辺にて技術展「GATEWAY Tech TAKANAWA 2026」を開催した。本イベントは「地球駅」および「100年先の心豊かなくらしのための実験場」をコンセプトに掲げており、初日のみで約1900名が来場する盛況となった。報道公開のメディアツアーでは、同駅周辺で進められている約50件の実証実験の中から、次世代モビリティ、アグリテック、フードテック、AIロボティクスなど、社会実装に向けた多岐にわたる最新技術が詳細に披露され、その後の囲み取材ではJR東日本の担当者から次世代の決済システムやまちづくりに関する具体的なロードマップが語られた。
JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影)
ハンドルなしの自動運転車「ロゴバス」を公開 実証実験ツアーの次世代モビリティ部門では、インテリジェンス技術を活用した6人乗りの自動運転車両「ロゴバス」が公開された。この車両は従来の自動車にあるハンドルやブレーキペダルを持たず、専用のコントローラーで操作する仕様となっている。車体下部にバッテリーを搭載した電気自動車であり、1回の充電で約100キロから150キロの走行が可能である。
JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影) GNSSによる高精度な自己位置推定、周辺の障害物を検知するライダー、カメラ、各種センサーを備え、大きな窓から外の景色を楽しめるデザインを採用している。これにより、単なる交通空白地帯の解消にとどまらず、駅から離れた観光スポットへ向かう移動時間そのものを楽しむ観光用途での公道走行を見据えている。
JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影)
スマホをかざさず通れるUWB改札を実演 続いて、UWB(超広帯域無線通信技術)を利用したウォークスルー改札のデモンストレーションが行われた。これはJR東日本が掲げる「Suicaルネサンス」や「ビジョン2034」に向けた取り組みの一環であり、大きな荷物を持つ旅行者や車椅子、ベビーカーの利用者が動作を止めずにシームレスに改札を通過できる環境の実現を目指している。
JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影)
スタートアップ支援拠点「LiSH」で進む都市農業の実証 オープンイノベーションの拠点であるインキュベーション施設「LiSH(リンクスカラーズハブ)」に関連したファームエリアでは、都心に整備されたウェットラボを活用するアグリテック企業4社の技術が紹介された。土壌に混ぜることで保水力を飛躍的に向上させ干ばつ対策に寄与するTereformの「スーパースポンジ」、植物内生菌(DCE)を利用して植物を内側から元気にするエンドファイト、化学肥料ではなく有機成分のグルタチオンを活用するWAKU、そして単一の作物ではなく多様な生態系をプランター内に再現することで都市のランドスケープ変革と地球環境への貢献を目指すシネコの取り組みが比較展示された。
JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影)
アグリノーム研究所、ロボットで植物の健康状態を診断 アグリノーム研究所では、都市の植栽管理の属人化解消と負荷軽減を目指し、4足歩行ロボットを活用したシステムを展示した。ロボットの背中にはライダーや360度カメラ、表面温度を測るセンサー群が搭載されており、自動巡回しながら植物の3次元構造と表面温度を測定する。これにより植物の水分ストレスなどを解析し、パソコン上にデジタルツインを構築して時間軸を含む4D空間での健康状態診断を行う仕組みである。ロボットは姿勢を低くして画角を調整できるほか、高所はドローンと併用し、屋内のLED光源下での光量評価なども既に行っているという。
JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影)
山形大学の3Dフードプリンターが提案する未来の食 フードテック分野では、山形大学工学部が未来の食の研究として3Dフードプリンターを展示した。液体窒素を用いてマイナス200度の温度帯で食材を瞬間冷凍して粉末化する「コールドフード」技術により、素材の味や香り、栄養価を損なうことなく10年以上の長期保存を可能にしている。規格外の作物や、さやごとの枝豆、ゆずの皮なども丸ごと粉末化して活用でき、レーザー加熱方式やインクジェット方式などを用いて任意の食感や形状に成形できる。実証として「ラーメン工学科」と題し、AIが解析した未体験の食感を持つDNA型のダブル縮れ麺や、卵を使わない目玉焼きなどを開発しており、将来的なパーソナライズされた介護食や病院食、宇宙食への適用を目指している。
Galbot「G1」が無人倉庫や店舗作業を自動化 JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影) ロボティクスの展示では、Galbot(ギャルボット)社のヒューマノイドロボット「G1」が自律的なピッキング作業を披露した。タブレットからの注文を受けると、腕に搭載されたカメラと下部のライダーで環境を認識し、箱型の柔らかい商品は吸盤で、ボトル飲料はグリッパーを用いて正確に取得し、指定の場所へ運ぶ。失敗した際の再トライ機能や、待機時の自動充電機能も備えており、海外ではすでに無人倉庫や配送のパッキング作業で250台以上が稼働している。日本国内でも、夜間のコンビニエンスストアにおいてファストフード商品を提供する店員としての役割など、様々なシナリオでのPoC(概念実証)が進められている。
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JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影)
Suicaと併存する次世代改札、2027年春に実証へ 展示終了後の囲み取材には、JR東日本マーケティング本部まちづくり部門の松尾俊彦氏と、Suica・決済システム部門の今井健太氏が登壇し、報道陣からの詳細な質問に応じた。ウォークスルー改札の位置づけについて今井氏は、既存の改札を完全に置き換えるのではなく、一つの改札機にUWBの機能をアドオンし、ICカードやQRコードと併用する形を本命として開発を進めていると説明した。顔認証システムではなくUWBを第一候補とする理由としては、首都圏の駅における非常に多い通過人数をスピーディーに捌く必要があり、現時点の技術的知見ではUWBが最もその要件を満たせるためだと明かした。今後のロードマップについては、2027年春を目標にモニターテストを実施する方針であり、市販のスマートフォンでの対応が難しい場合は、専用端末を配布しての実証も検討しているという。
JR東日本が高輪技術展にて2027年春実証予定のUWB無感通関やアグリテックなど多様な実証実験を公開し、囲み取材では既存Suicaと併存する形での次世代シームレス体験のロードマップが詳細に語られた。(写真/黃信維撮影) また、規格の統一性に関して今井氏は、UWBの国際標準化団体であるFiRaコンソーシアムの規格を採用しているため、他社が同規格を採用すれば自動的に統一されていくエコシステムを目指していると回答した。ウォークスルー改札はSuicaに代わる別ブランドではなく、あくまで「Suicaルネサンス」におけるSuicaの利便性を損なわずにバージョンアップさせるものと位置づけられており、FeliCaとの互換性を保ち、残高や個人情報の保持といった現行の機能を踏襲しながらシームレスな体験を付加する方向で詳細な検討が続けられている。なお、会場で展示されたUWB決済端末はソニーの協力による技術展示であり、JR東日本としての決済領域への即時導入は未定であると補足された。
「GATEWAY Tech」から地方創生と社会実装へ イベント全体の意義について松尾氏は、「GATEWAY Tech」が決して高輪エリア単体のためのものではなく、地方や世界が抱える社会課題解決のヒントを見つける場であると強調した。事実、インキュベーション施設のLiSHは秋田にも第2拠点を展開しており、地方創生を重要なテーマに据えている。前回の同イベントでグランプリを獲得した株式会社あしらせによる視覚障がい者向けのナビゲーション技術は、すでにニュウマン高輪での単独買い物体験や、東京駅構内のステーションワークにおける複雑な経路案内に実装されている。また、農業関連技術も都市の緑化管理への適用準備が進められており、都心ではUWB、地方ではGPSなど地域特性に応じた技術投資を柔軟に行いながら、JR東日本が持つ1700の駅という広大なアセットを活用し、100年先の未来に向けた着実な社会実装を進めていく姿勢が示された。
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