台湾有事に日本はどう備えるべきか 元陸自幹部と専門家が防衛力・発信力強化を提言 日米台関係研究所のセミナーで専門家らが、台湾有事を見据えた日本の前方防衛への転換と、中国の認知戦に対抗する国際発信力の抜本的強化を提言した。(写真/黃信維撮影)
2026年5月16日、一般社団法人日米台関係研究所は東京都の文京区民センターで今年第1回となるセミナーを開催した。「台湾有事に備え、いま何をすべきか」をテーマに行われた第一部の基調講演では、元陸上自衛隊西部方面総監の小川清史氏と平成国際大学教授の浅野和生氏が登壇し、日本の防衛政策の転換と中国の認知戦に対する国際発信力の強化について提言を行った。
日米台関係研究所のセミナーで専門家らが、台湾有事を見据えた日本の前方防衛への転換と、中国の認知戦に対抗する国際発信力の抜本的強化を提言した。(写真/黃信維撮影)
小川清史氏が訴えた「専守防衛」見直しと台湾有事への備え 小川清史氏は「専守防衛を脱し、攻防バランスの取れた防衛力を早急に整備強化せよ」と題して講演を行った。小川氏は、1970年代以降の日本の専守防衛政策が国土を戦場とする発想であり、国民に犠牲を強いるものであると指摘した。その上で、被害を未然に防ぐ米国の前方防衛の概念を引き合いに出し、日本も台湾周辺での事態を存立危機事態と捉え、被害が日本に及ぶ前に対応する発想へ転換すべきだと主張した。
日米台関係研究所のセミナーで専門家らが、台湾有事を見据えた日本の前方防衛への転換と、中国の認知戦に対抗する国際発信力の抜本的強化を提言した。(写真/黃信維撮影) また、昨年の高市総理による台湾海上封鎖の段階で存立危機事態に該当し得るとの発言に触れ、初期段階での関与姿勢を示すことが強力な抑止力になると評価した。今後の防衛力整備については、南西諸島への機動展開能力の向上や、長射程ミサイル、原子力潜水艦の導入など、領域外で事態を決着させる能力の必要性を訴え、自衛隊を警察法的な建付けから本来の軍隊の規定へと見直す必要性にも言及した。
日米台関係研究所のセミナーで専門家らが、台湾有事を見据えた日本の前方防衛への転換と、中国の認知戦に対抗する国際発信力の抜本的強化を提言した。(写真/黃信維撮影)
浅野和生氏が警鐘、中国の情報戦・認知戦への対抗策 続いて浅野和生氏は「日本の国際発信力を強化し、中国の情報戦・認知戦を打破せよ」と題して登壇した。浅野氏は、中国が武力行使の準備を進める一方で、台湾の農業や漁業、若者層を取り込む優遇措置を通じて「平和的統一」に向けた工作を激化させている現状を分析した。
さらに、中国共産党が国際社会に向けて独自のナラティブを構築し、数百万のアカウントやAI、インフルエンサーを駆使して日本の防衛力強化を軍国主義化として批判する認知戦を展開していると指摘した。これに対抗するため、日本は米国や台湾と連携して偽情報を遮断するだけでなく、自らもAIや機械的な拡散手段を活用して正しい情報と歴史を世界へ大量に発信する圧倒的な力を持つ必要があり、情報空間での主導権を握ることが不可欠だと強調した。
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