【夏珍コラム】台湾はあまりに重要だからこそ「消えた」…

2026-05-17 20:58
2026年5月14日、人民大会堂での歓迎式典に出席するトランプ氏と習近平氏。(AP通信)
2026年5月14日、人民大会堂での歓迎式典に出席するトランプ氏と習近平氏。(AP通信)

米中首脳会談が開催され、事前の予想通り台湾問題が議題に上った。しかし、両国が発表した声明の内容は大きく異なっていた。米ホワイトハウスの声明は経済貿易、農産品、フェンタニル問題からイラン、ホルムズ海峡の航行の安全に至るまで多岐にわたるテーマに触れた一方、台湾については一切言及しなかった。対照的に、中国側の声明は「台湾問題は中米関係において最も重要である」「処理を誤れば衝突に向かう可能性すらある」と強調し、明確なレッドラインを引いた。まるで別々の会談を報じているかのようだ。

ホワイトハウス声明から消えた台湾:ペンの先から喉の小骨へ

好意的に解釈すれば、ホワイトハウスが言及を避け、トランプ米大統領が天壇での記者からの質問を意図的にはぐらかしたことは、少なくともトランプ氏が台湾問題で公式に「譲歩」しなかったことを意味する。だが懸念されるのは、ベッセント米財務長官が「台湾問題が提起されないなら、米中首脳会談とは呼べない」と率直に語ったことだ。さらに同長官は、今後数日以内にトランプ氏から更なる発信があると予告し、「大統領もこの問題の敏感さを理解している」と述べた。「今後数日」というのが、トランプ氏が中国国境を離れた後にSNSで発信することを指すのかは、注視するしかない。

これまでの発言を振り返ると、トランプ氏は台湾に対して厳しい姿勢を見せることが多い。同氏にとって台湾は「ペンの先」程度の存在であり、「米国の保護を求めるなら対価を支払うべきだ」と主張するか、「台湾が米国の半導体産業を盗んだ」と繰り返すばかりである。トランプ氏から台湾を高く評価するような発言を引き出すのは期待薄だ。とはいえ、トランプ氏自身も、かつて「ペンの先」と揶揄した台湾が、自らの喉に刺さる小骨になろうとは想像していなかったのではないか。

トランプ氏は訪中前、習近平中国国家主席と台湾への武器売却について協議する意向を示し、「彼(習氏)は米国が武器を売らないことを望んでいる。私もこの問題を取り上げるつもりであり、議題の一つになる」と述べていた。これに先立ち、台湾の立法院では8年間で7800億台湾ドル規模の「国防特別条例」が通過し、単年度の国防予算は9500億台湾ドル超に達している。さらに遡れば、TSMCの対米投資拡大や、台湾側からの5000億米ドル規模の対米投資の約束もあった。関税交渉に至っては事実上、市場を全面開放する構えを見せている。米連邦最高裁が相互関税を無効とする判決を下したものの、台湾の行政院には依然として「台米相互貿易協定」が据え置かれ、立法院の審議にも付されていない。それにもかかわらず、落花生の輸入や発芽ジャガイモの検疫緩和など、行政部門はすでにいくつかの行政命令を通じて事実上の実施に踏み切っている。 (関連記事: トランプ氏、エアフォース・ワン機内から高市首相に電話 中国・印太情勢を協議、台湾情勢への言及は明かさず 関連記事をもっと読む

「米中建設的戦略安定関係」における台湾:高まる戦略的地位の変数か

習氏が自身よりも台湾問題について協議したがっていることを、トランプ氏も隠そうとしない。事実、習氏は「トゥキディデスの罠」を意識し、これを「歴史の問い」「世界の問い」「人民の問い」と位置づけた。さらに、米中関係の新たな定義として「中米の建設的で戦略的な安定関係」という新概念まで打ち出した。最も重要なのはその結論だ。すなわち「台湾問題は中米関係において最重要の問題だ。これを適切に処理すれば両国関係は全体的な安定を保てるが、処理を誤れば両国は衝突に至り、中米関係全体を極めて危険な境地へと追いやることになる。『台湾独立』と台湾海峡の平和は水と油であり、台湾海峡の平和と安定を維持することが中米双方の最大公約数だ。米国は台湾問題を極めて慎重に処理しなければならない」というものである。台湾は単なる議題として俎上に載せられただけでなく、「米中建設的戦略安定関係」における決定的な変数となった。台湾の「戦略的地位」は、ここにおいて明確に引き上げられたと言える。

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