【北京観察】中国が外国人向け免税制度を拡充、日本の「爆買い」再現なるか

中国の公式データによると、2025年の外国人入国者数は前年比30.5%増の3517万人に達した。写真はイメージ。(資料写真、AP通信)
中国の公式データによると、2025年の外国人入国者数は前年比30.5%増の3517万人に達した。写真はイメージ。(資料写真、AP通信)

中国商務省や財政省、国家税務総局など6部門は18日、外国人旅行者向けの免税(離境退税)制度を拡充する通知を共同で発表した。手続きの簡素化やペーパーレス化などを通じて、訪中客の消費を喚起する狙いがある。2026年7月1日から、購入店舗で免税手続きを済ませる「即時免税」の出国期限を全国一律で28日間に延長するなどの措置を盛り込んだ。

通知は、免税手続きの利便性向上に向けた8項目の具体策を提示した。これまで地域によって異なっていた即時免税の出国期限を28日間に統一する。指定店舗での購入後、別の都市に移動して出国する場合でも円滑に免税手続きが完了できるようにし、周遊型の買い物需要を取り込む。

また、税関での検査手順も見直す。免税品の購入額が1万元以下の場合は、全量検査から一定割合の抽出検査に切り替える。1万元以上の場合は引き続き全量を検査する。税関と代理業者間での免税申請書や領収書のオンライン確認も認め、手続きを全面的にペーパーレス化する。外国人のほか、香港、マカオ、台湾の住民による消費の利便性を高める方針だ。

「即時免税」:中国版免税経済の形成へ

中国は2015年に免税制度を導入し、近年は訪中客の誘致に向けて制度の拡充を進めている。2025年4月からは即時免税を全国に拡大。外国人旅行者が同一店舗で1日に200元以上を消費した場合、クレジットカードの事前承認などを通じてその場で免税額を受け取れるようにし、現金による還付上限も2万元に引き上げた。制度拡充に伴い免税対象店は増加しており、利用者数や還付額も大幅に伸びているという。

今回の通知はこうした方針を継承し、手続きのハードルをさらに引き下げた。主要な商業エリアや観光地、空港などでの免税対象店の増設も促す。

米中の関税摩擦を背景に、中国は外国人消費者の誘致に向け免税要件を緩和している。(AP)
米中の関税摩擦を背景に、中国は外国人消費者の誘致に向け免税要件を緩和している。(AP)

新たな手続きでは、外国人旅行者(「台湾居民来往大陸通行証」を所持する台湾からの旅行者を含む)は、商業施設の免税カウンターを利用できるほか、決済アプリ「支付宝(アリペイ)」の機能を使ってレシートをアップロードし、免税申請を行うことも可能となる。従来の免税手続きも引き続き利用できる。

これまで中国の免税手続きは、紙の領収書の保管や空港での待機、税関での全量検査など煩雑なプロセスが課題とされてきた。今回の制度拡充は、少額消費の抽出検査化や手続きのペーパーレス化を通じて、旅行者の時間的負担を軽減し、消費を促す環境を整える狙いがある。

2025年6月15日、北京の天壇公園で記念撮影する家族連れ。(AP)
2025年6月15日、北京の天壇公園で記念撮影する家族連れ。(AP)

「訪問歓迎」から「消費拡大」へ

中国は近年、外国人に対するビザ免除措置の拡大などを通じて、インバウンド客の回復に注力してきた。しかし、旅行者の数は増加したものの、消費の伸びは限定的だった。

公式統計によると、2025年の外国人旅行者数は前年比30.5%増の3517万人に達した。一方、国内総生産(GDP)に占めるインバウンド消費の割合は、欧米や日本などの主要な観光国に比べて低い水準にとどまっている。 (関連記事: 【北京観察】「寝そべり」は境外勢力の陰謀なのか 北京が若者の「諦め」を恐れる本当の理由 関連記事をもっと読む

今回の免税制度拡充は、こうした課題への対応策となる。名所見学や食事といった体験型の観光にとどまらず、ショッピングを通じた実質的な消費を促すため、周辺国や欧州の事例を参考に制度の利便性を高めた。

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