【張瀞文のコラム】5人チームからIPOで時価総額1000億ドルへ CerebrasとTSMCが生んだ「巨大チップ」伝説

2026-05-22 15:37
AI半導体の新興企業Cerebras Systemsは5月14日、1株185ドルの公開価格で上場し、初日の株価は一時386ドルまで急騰した。(資料写真、Cerebras公式サイトより)
AI半導体の新興企業Cerebras Systemsは5月14日、1株185ドルの公開価格で上場し、初日の株価は一時386ドルまで急騰した。(資料写真、Cerebras公式サイトより)

2026年5月14日、米ウォール街にナスダックの鐘が鳴り響いた。新興AI半導体メーカーのセレブラス・システムズ(ティッカーシンボル:CBRS)が公開価格185ドルで新規株式公開(IPO)を果たし、初日の株価は一時最高386ドルまで急騰。終値は311ドルと、68%の大幅高を記録した。時価総額は一時1000億ドルを突破し、米テクノロジー企業としては2019年のウーバー(Uber)以来最大、純粋なAI企業としては史上最大のIPOとなった。

シリコンバレーが再び熱気に沸き立つ中、足元でセレブラスの株価は290ドル付近まで調整しているものの、「投資の女神」として名高い米アーク・インベストメント・マネジメント(ARK Invest)の創業者、キャシー・ウッド氏は、ウォール街で最も注目を集めるこの最新AI銘柄を躊躇なく買い増している。だが、セレブラスの背景にはさらに興味深いストーリーが隠されている。わずか5人のスタートアップが、いかにして世界最大のファウンドリ(半導体受託製造)である台湾積体電路製造(TSMC)を説得し、「世界最大の単一AI半導体」を共同開発するに至ったかという経緯である。

常識を覆す「巨大半導体」革命

​世界の半導体業界がこぞって微細化(7ナノメートルから2ナノメートルへ)にしのぎを削る中、セレブラスは誰も歩まない道を選んだ。300ミリシリコンウエハー全体を、そのまま一つの巨大な半導体チップにするというアプローチだ。

同社が開発した「ウェハースケール・エンジン(WSE-3)」の面積は4万6225平方ミリメートルに達し、米エヌビディア(NVIDIA)の最大級GPUの50倍以上にあたる。内部には4兆個のトランジスタ、90万個のAI最適化コア、44ギガバイト(GB)の超大容量オンチップSRAMを搭載し、毎秒21ペタバイト(PB)という驚異的なメモリ帯域幅を誇る。

従来のGPUクラスターにおける最大の課題であったチップ間の通信遅延や帯域幅のボトルネックは、この「ディナープレート大」の半導体によって完全に解消された。超大規模AIモデルの学習やリアルタイム推論において、これは処理速度の向上、消費電力の削減、そして拡張の容易さを意味する。

これはコンセプトモデルではなく、すでに量産・出荷されている実製品だ。米オープンAI(OpenAI)、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、メタ(Meta)などのIT巨人が巨額の受注契約に列をなし、セレブラスの受注残高(バックログ)は246億ドルに上る。そのうちオープンAI単独の契約だけで200億ドルを超えるという。 (関連記事: 【独占インタビュー】TSMCは「明日の自分」と競う時代へ 米国工場と台湾海峡リスクが変える半導体地政学 関連記事をもっと読む

5人チームとTSMCの精鋭30人

​2015年から2016年にかけて、設立直後のセレブラスはわずか5人のチームだった。ウェハースケール開発を決断した際、業界からは冷笑が漏れた。過去40年以上にわたり、ウエハー全体を単一の実用的な商用チップにすることに成功した者は皆無であり、歩留まり、電源供給、排熱、テストといったあらゆるプロセスが「実現不可能」と見なされていたからだ。

最新ニュース
米AMDと台湾サプライチェーンが100億ドル共同投資、急成長のAI需要に備える
ネスプレッソが新型コーヒーメーカー「ヴァーチュオ アップ」と数量限定アイスレシピ専用コーヒーを5月14日に同時発売
米国が台湾への140億ドルの武器売却を一時停止、海軍長官代行が公言
FRUITS ZIPPERアリーナツアー東京公演 U-NEXTで7月16日に独占ライブ配信決定
難処理プラスチックを高品質再生材へ再資源化、MSCが年間3万トン処理の独自プラントを6月に稼働
スペースX上場へ、S-1文書で全貌判明 最大750億ドル調達、史上最大IPOの可能性
富山県が新たな観光ルートや世界的自然公園の開業で魅力を発信、立山黒部アルペンルートは全線開業55周年へ
高専生による事業創出コンテスト「DCON2026」最優秀賞決定
商船三井クルーズ、2027年以降の計68本の新旅程を発表、「三井オーシャンサクラ」など2隻体制へ
GINZA SIX 2026年春夏の改装続報、ポレーヌやCFCLなど銀座エリア初出店ブランドが続々登場
中台直行便2路線を台湾が認可、陸委会は「健全な交流」と判断
【北京観察】反腐敗が招く地方幹部の「寝そべり」、事勿れ主義に陥る中国官界の自己保身術
【インタビュー】陳培哲氏が鳴らす警鐘「10年後、台湾の臓器移植は中国依存に陥る恐れ」
【寄稿】「5月20日」前に中国空母「遼寧」が西太平洋へ 日米南西諸島演習への対抗か
【台海解碼】トランプ氏は台湾を取引材料にするのか 元CSIS研究員が読む米国の対中戦略
イングランド代表再建の実話ドラマ『ディア・イングランド』、U-NEXTで6月1日独占配信
サンリオキャラが「こんがり日焼け」姿に 大分・ハーモニーランドで夏限定イベント
「EXPO 2027 オフィシャルストア」吉祥寺に5月22日オープン 開催300日前キャンペーンも
エキュート立川で初の地産地消フェア「私の街の、おいしいごちそう。」を開催、多摩エリアの旬の味覚が集結
スタジオツアー東京で夏限定企画 『ハリー・ポッター』映画25周年でトムとジェリー初コラボ
梅雨明け早まり「夏の肌ダメージ」対策前倒しへ 曇りの日も紫外線に注意
【独自】新FRB議長ウォーシュ氏、FRBの存在感縮小へ 米金利・ドル高がアジア資金流動に波及も
C型肝炎治療後も「脂肪肝」に注意 肝がんリスク約2倍、台湾大学病院が長期研究
【単独インタビュー】パン店の息子からノーベル賞へ コビルカ氏が語る「父の哲学」と新薬開発の原点
【論評】「台湾独立」は政治的レトリックに縮小したのか 頼清徳政権が揺るがす民進党の二大理念
トランプ氏、頼清徳総統との直接通話に意欲 47年続く米台外交慣例に波紋
トランプ氏訪中直後にプーチン氏も北京へ 中露首脳会談で「シベリアの力2」が焦点
高さ12メートルの「サウザンド・サニー号」が台湾・淡水に登場 『ONE PIECE』夏イベント開幕
「BLEACH 千年血戦篇」特別展示、アニメ東京ステーションで5月30日開幕 最終クール放送前に名場面を振り返る
ギャラクシー賞4月度月間賞に原爆ドキュメンタリーなど4作品 『魯山人のかまど』も選出
ADK MS、新サービス「ADK SCRUM Dr.」開始 広告クリエイティブをAIで定量診断
「FANATICS FEST NYC 2026」7月にNYで開催へ W杯決勝PVも実施、世界的スター500人超が集結
【全文】頼清徳総統、就任2年談話 台湾海峡の現状維持と対米武器調達継続を強調
台湾外相がWHA期間中にジュネーブ訪問 中国反発、台湾外交部は「事前調整済み」と説明
在留カードとマイナンバーカードが一体化 「特定在留カード」2026年6月運用開始へ
台湾・高雄産「金鑚」パイナップル、八王子の中学校38校で給食に 1万5000人が味わう日台交流
陸上自衛隊、令和8年6月7日に東富士演習場で火力戦闘演習を実施へ
【論評】頼清徳氏の「台湾独立」論に変化か 中国人観光客再開が両岸関係の試金石に
「GREEN×EXPO 2027」公式ストア、大阪・あべのハルカスに常設店オープン トゥンクトゥンク来店イベントも
米台関係に広がる「信頼の赤字」 トランプ氏の半導体・防衛要求に米シンクタンクが警鐘
台湾映画上映会2026、『うなぎ』『小さな町の恋』を上映 朱駿騰監督らが登壇へ
台北・新北の交通網が大きく変わる MRT環状線北環段、空港線など主要4路線を接続 2031年開通へ
ロイヤルホスト・てんやでライフのポイント最大1000pt進呈 LC JCBカード利用キャンペーン開始
シズラーアクアシティお台場、本格炭火BBQテラスを10月31日まで期間限定で開催
【独占】西新宿に次世代リフト機器導入の美容クリニックThe Arte Clinicが5月15日開院
【第39回東京国際映画祭】ユニクロ支援の「難民映画基金」制作による短編5作品、日本初上映が決定
台湾立法院、頼清徳総統の弾劾案は成立せず 憲政史上初の採決、賛成56票にとどまる
【北京観察】中国が外国人向けタックスリファンド制度を拡充 訪中客の「爆買い」再現なるか
TSMC海外工場が収益拡大 アリゾナ純利益36.9倍、熊本工場も初の黒字化
OECD、日本経済の成長鈍化を予測 消費税引き上げと構造改革を提言