ケビン・ウォーシュ氏は、上院で54対45という近年まれに見る僅差の採決により、米連邦準備制度理事会(FRB)議長に承認された。世界で最も注目される中央銀行は、今後、大規模な改革局面に入ることになる。
台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の独占インタビューに応じた台湾行政院元副院長の施俊吉(シー・ジュンジー)氏は、今回の人事を単なるトップ交代ではなく、FRBの役割そのものを見直す転換点だと指摘した。ウォーシュ氏が目指しているのは、FRBの市場での存在感を意図的に抑えることだという。
施氏はこれを、FRBの市場での存在感をあえて抑える試みだと表現する。つまり、中央銀行を日常的な資本市場への過度な関与から引き戻し、バジョットの格言、すなわち「危機時には自由に貸し出し、平時には介入しない」という考え方に回帰させようとしているという見方だ。
膨張したFRBのバランスシート、なぜ縮小が必要なのか
FRBのバランスシートは、中央銀行が本来の枠を超えて拡大してきた歴史を物語っている。2008年の金融危機前には9000億ドル、国内総生産(GDP)比で約6%だったFRBの資産は、新型コロナウイルス禍のピーク時には7兆1000億ドルにまで膨らんだ。現在も6兆7000億ドル、GDP比で約21%の水準にある。
ウォーシュ氏は4月21日の承認公聴会で、この流れを反転させる考えを示した。重点項目には、FRBの情報発信の見直し、新たなインフレ指標の採用、バランスシート政策よりも金利政策を重視する姿勢、そしてFRBの使命を物価安定と完全雇用に絞り直すことが含まれている。
施氏は、2026年3月にFRBスタッフがまとめた論文「A User's Guide to Reducing the Federal Reserve's Balance Sheet(仮訳:連邦準備制度のバランスシート縮小に関する手引き)」に注目する。同論文はFRB理事のスティーブン・ミラン氏が共同執筆したもので、バランスシート縮小に向けた15の具体的な政策選択肢を提示する、いわば体系的な「手引き」だという。
そこで示されているのは、国債を市場で直接売却する方法ではない。流動性カバレッジ比率、超過準備への付利、短期国債の取り扱いなどを調整し、銀行の行動を変えることでバランスシートを縮小するアプローチである。慎重に進めれば、2019年に見られたレポ市場の混乱を引き起こすことなく、FRBは1兆2000億ドルから2兆1000億ドル規模の資産を削減できると同論文は試算している。
施氏によれば、その背景には三つの考え方がある。第一に、量的緩和が事実上の財政政策として常態化することを拒むこと。第二に、FRBが市場の構造的な買い手となり、富の分配を歪めることを防ぐこと。第三に、金融政策と信用配分の境界を改めて明確にすることだ。
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施氏は、米国民のほぼ半数が金融資産を保有しておらず、バランスシート拡大による恩恵を受けていない点も指摘する。



















































