米AMDと台湾サプライチェーンが100億ドル共同投資、急成長のAI需要に備える
22日に台北市内で開催されたフォーラムに出席したAMD会長兼CEOのリサ・スー氏。(劉偉宏撮影)
人工知能(AI)の計算能力を巡る競争は、半導体のチップ規格からサプライチェーン(供給網)の生産能力へと主戦場を移している。米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の会長兼最高経営責任者(CEO)、リサ・スー(蘇姿丰)氏は22日、台湾の経済誌、天下雑誌の創刊45周年フォーラムに出席し、世界の半導体およびAI市場がかつてない急成長期にあると指摘した上で、AMDは台湾のサプライチェーンと共同で、先進パッケージング、ハイエンド基板、テスティング能力、ラックレベルのシステム統合の分野を対象に100億米ドル以上を投資し、2026年下半期から2029年にかけてのAI関連需要にいち早く備えるとの方針を明らかにした。
1〜3年にわたり十分な生産能力が必要
スー氏は、AMDが今週発表した2つの重要な進展に言及した。一つ目は、ファウンドリー大手の台湾積体電路製造(TSMC)と提携する2ナノメートル(nm)世代の高性能コンピューティング(HPC)技術における進展であり、AMDの最新中央処理装置(CPU)「Venice」がすでにTSMCの2ナノプロセスを採用して量産に入ったこと。二つ目は、台湾サプライチェーンに対する共同投資の拡大だ。スー氏は、HPCとAI演算の分野で優位性を確保するためには、強力なサプライチェーンとパートナー企業が不可欠であり、台湾こそがその最大の要だと明言した。
「今後1年から3年にわたり十分な生産能力が必要となるため、今はまさに投資すべき時期だ」と指摘するスー氏は、AMDは台湾のエコシステムを構成する複数の企業と協力し、先進パッケージング、基板、テスティング能力、ラックレベルのシステム統合に投資していると説明。また、これはAMDの長期的な成長にとって必要というだけでなく、台湾の技術力に対する「極めて厚い信任投票」でもあると強調した。
スー氏はさらに、AMDがこれまで2.5次元(2.5D)、CoWoS(チップ・オン・ウエハー・オン・サブストレート)、EFB、3次元(3D)などの先進パッケージング技術を積極的に導入しており、これらの技術が大量生産に入る際の初期ユーザーとなることが多いと説明した。そのため、継続してAI需要が高まり、AMDがパートナー企業に対して生産能力の拡大を加速するよう求める際には、初期投資を共同で分担すべきとの見解を示した。
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台湾には世界唯一の半導体エコシステム形成
また同氏は、台湾における半導体エコシステムの独自性にも言及した。基礎材料、先進製造プロセス、後工程のパッケージング、OEM(相手先ブランドによる生産)、ODM(相手先ブランドによる設計・生産)から、現在のラックレベルの製造に至るまで、すべての工程が台湾において緊密に連携できる点を挙げた。「世界で唯一、これらすべてを一カ所に集約できる場所が台湾だ」と述べ、台湾がすでに世界的な先端技術展開の中心地になっているとの認識を示した。
一方で、AI需要の急速な膨張に伴い、サプライチェーンの課題も同時に高まっている。スー氏は、現在のボトルネックが「ほぼ全ての場所に存在する」と率直に語り、メモリーの供給、CPUの生産能力、さらにデータセンターに必要な電力などを例に挙げた。しかし、半導体サプライチェーンは非常に前向きで、問題解決能力を備えており、ボトルネックが生じれば、それを突破する方法を見つけ出すはずだと強調した。
半導体の重要性が高まるにつれ、台湾のサプライチェーンがグローバル展開していくことは必然的なトレンドであるとスー氏は見ている。同氏は、10年前は半導体が非常に専門的な産業と見なされていたが、現在では企業であれ国家であれ、半導体をコンピューティングの基盤と見なすようになったと指摘。独自の能力を獲得した台湾企業がグローバルなエコシステムに参加することは好ましいことだと語った。
台湾のエコシステムは外部移転可能
TSMCの米アリゾナ工場について、スー氏は、米国工場が台湾工場と同等のパフォーマンスを発揮できるかについて外部から疑問視されていたことに触れ、「率直に言って、それは容易なことではない」と述べた。しかし、AMDはすでにTSMCのアリゾナ工場で生産を行っており、その成果は非常に優れたものとなっているという。重要なのは、台湾で蓄積された手法や工程が外部へ移転可能であることであり、これこそが産業界における相互学習と相互協力のプロセスだとの見方を示した。
スー氏の今回の訪問が台湾のサプライチェーンに向けて発したシグナルは非常に明確だ。AI競争はもはやGPUの性能争いにとどまらず、生産能力システム全体の競争となっている。2ナノプロセス、先端パッケージングからラックレベルの統合に至るまで、AMDの次期AI戦略において、台湾は単なる製造拠点ではなく、世界のAIインフラ拡張における極めて重要な支点となっているようだ。
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