スペースX上場へ、S-1文書で全貌判明 最大750億ドル調達、史上最大IPOの可能性

2026-05-22 15:19
米実業家イーロン・マスク氏率いるSpaceXが、新規株式公開(IPO)を申請した。(資料写真、AP通信)
米実業家イーロン・マスク氏率いるSpaceXが、新規株式公開(IPO)を申請した。(資料写真、AP通信)

イーロン・マスク氏が率いる米宇宙企業スペースX(SpaceX)が、新規株式公開(IPO)を申請した。調達額は最大750億ドルに達する可能性があり、実現すれば史上最大規模のIPOとなる。

米証券取引委員会(SEC)に提出された登録届出書「Form S-1」の公開版では、同社が数十億ドル規模の赤字を計上していることに加え、マスク氏に強い支配権を与える複数議決権株式の構造も明らかになった。上場後もマスク氏は、ロケット、衛星通信、人工知能(AI)にまたがる巨大企業の実権を握り続ける見通しだ。

スペースXは、ナスダック市場に上場し、ティッカーシンボルは「SPCX」となる予定だ。今回のIPOでは、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど、ウォール街の大手投資銀行が主幹事を務める。投資家向けロードショーは早ければ6月4日に始まり、同11日に公開価格が決定される可能性がある。正式な上場は6月中旬にも行われる見通しだ。

ウォール街では、今回のIPOによる調達額が最大750億ドル(約11兆5000億円)に達し、企業価値は2兆ドル(約300兆円)を超える可能性があるとみられている。仮に実現すれば、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコが2019年に記録した294億ドル(約4.6兆円)のIPO調達額を上回り、史上最大のIPOとなる。

5月20日に米証券取引委員会(SEC)へ提出されたS-1文書の公開版により、投資家は初めて、スペースXの事業内容、財務状況、株式構造、リスク要因を包括的に確認できるようになった。

ロケット、衛星通信、AIを抱える複合企業に

​スペースXはもはや、単なるロケット企業ではない。S-1文書では、同社が宇宙事業、衛星通信、AIの三つの領域を柱とする複合企業へと変貌していることが示された。

​1、宇宙事業

第一の柱は、宇宙事業だ。スペースXは、次世代宇宙船「スターシップ」と大型ロケット「スーパー・ヘビー」を中核に据え、将来的な火星移住の実現を目指している。

同社はスターシップ計画にすでに累計150億ドル超を投じている。2025年単年の支出は約30億ドルに達し、前年の18億4000万ドルを上回った。これは、マスク氏が2018年に示した総費用見通しの20億〜100億ドルや、2023年に見込んだ同年の支出20億ドルを大きく上回る水準だ。

スターシップ/スーパー・ヘビーは、史上最も強力なロケットシステムとして、完全再利用を前提に設計されている。大型衛星を軌道に投入するだけでなく、将来的には人類や貨物を月や火星へ運ぶことも想定されている。スペースXは近く、12回目の試験飛行を予定しており、同社にとって重要な節目となる。 (関連記事: 【張瀞文コラム】インテルとTSMCに大差がある中、なぜマスクは「テラファブ」を進めるのか 関連記事をもっと読む

2023年4月19日、テキサス州のスターベースで打ち上げ準備を進めるスペースXのロケットと、それを見つめる見学者(AP通信)
上場を目指すSpaceXは、スターシップ計画に累計150億ドル超を投じてきたことを明らかにした。(写真/AP通信提供)

​2、通信事業

第二の柱は、衛星通信事業「スターリンク」だ。世界最大の衛星インターネット網であるスターリンクは、すでにスペースXの収益と成長を支える重要なエンジンとなっている。

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