【台海解碼】トランプ氏は台湾を取引材料にするのか 元CSIS研究員が読む米国の対中戦略

トランプ米大統領は台湾独立を望まないとの立場を示し、台湾海峡問題で北京寄りに傾いたようにも見える。しかし、シンクタンク関係者が把握した情報によれば、トランプ氏の対中政策にはより長期的な布石があり、この期間は北京との直接対決を避ける一方、頼清徳氏が前のめりになり過ぎないかにも慎重に目を配っているという。(写真/柯承恵撮影)
トランプ米大統領は台湾独立を望まないとの立場を示し、台湾海峡問題で北京寄りに傾いたようにも見える。しかし、シンクタンク関係者が把握した情報によれば、トランプ氏の対中政策にはより長期的な布石があり、この期間は北京との直接対決を避ける一方、頼清徳氏が前のめりになり過ぎないかにも慎重に目を配っているという。(写真/柯承恵撮影)

トランプ米大統領は米中首脳会談後、台湾独立を望まないとの姿勢を示し、「9500マイルも離れた場所での戦争は望まない」と述べた。この発言は、台湾内政にも少なからぬ政治的衝撃を与えている。

頼清徳政権は「現状維持」を強調し、野党が「トランプ氏は頼政権を疑っている」とする批判を強めるのを防ごうとしている。そうした中、トランプ氏は頼清徳総統と電話で話す意向も示した。実際に米台首脳の電話会談は行われるのか。仮に実現した場合、与党・民主進歩党(民進党)にとって不利な政治的空気を変えるきっかけになるのかが注目されている。

一方、元米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員の黄裕鈞氏は台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の取材に対し、米政府の極めて高いレベルに近い人物の非公式な発言を把握していると明らかにした。黄氏によれば、その内容から見る限り、台湾を北京との取引材料として差し出すことが、トランプ政権の本意だとは考えにくいという。

ただし、黄氏がより警戒するのは、頼政権が拙速に動き過ぎ、トランプ氏側が10年がかりで準備してきた対中戦略の大きな構図を乱してしまう可能性だ。

黄氏は、CSIS客員研究員、復旦大学米国研究センター客員研究員、中国国民党の駐米代表処副代表などを歴任し、対米関係に豊富な経験を持つ。

米中対峙は少なくとも10年がかりの準備か

​黄氏によると、最近、権威あるルートを通じて得た情報では、米政府高官に近い人物が非公式に「今後10年で米中は100%デカップリングし、サプライチェーンも分断される」と述べたという。この発言をした人物はトランプ氏に非常に近いとされ、黄氏は、トランプ政権周辺の戦略方針は変わっていないと見る。

黄氏は、彼らの戦略的思考からすれば、米中はいずれ正面から対峙する局面を避けられないと指摘する。製造業を米国に戻そうとする政策も、その準備の一環だという。たとえ米本土への回帰が難しくても、中南米など米国が影響力を及ぼせる「裏庭」へ移すことを考えているとみる。

黄氏は、トランプ氏を支える米国の超保守派を「21世紀型レーガン主義」と位置づける。こうした人々は、中国の台頭を根本的に好まず、中国と対等な立場に並ぶことも望んでいないという。

ただし、米国が独自のレアアース産業や製造サプライチェーンを築くには、10年から15年かかる可能性がある。その間は、中国との直接対決を避ける必要があるというのが、黄氏の見立てだ。

この状況下で台湾問題を考えると、台湾が米国の対中封じ込めに果たす価値を上回るほどの極めて大きな見返りがない限り、米国が簡単に台湾を手放すことはないと黄氏は指摘する。
(関連記事: 【論評】「台湾独立」は政治的レトリックに縮小したのか 頼清徳政権が揺るがす民進党の二大理念 関連記事をもっと読む

2025年9月24日、風傳媒の番組「下班国際線」で対談するキャスターの路怡珍氏、元CSIS客員研究員の黄裕鈞氏(写真)、風傳媒国際両岸センター記者の楊騰凱氏。(柯承恵撮影)
元米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員の黄裕鈞氏は『風傳媒』の取材に対し、米中はいずれ正面から対峙する局面を避けられないが、米国が独自のサプライチェーンを構築するには10年から15年を要するため、その間は北京との直接対決を避ける必要があると分析した。(写真/柯承恵撮影)

トランプ氏は台湾を「トラブルメーカー」と見ているのか

​黄氏によれば、米国が台湾海峡をめぐって一貫して採ってきた政策は「二重の抑止」である。つまり、北京と台北の双方に対し、現状を変更しないよう求めるものだ。どちらか一方が現状変更につながる姿勢を見せれば、米国はその側に警告を発する。

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