トップ ニュース 4年以上勾留の米国人男性の冤罪訴え、弁護団がDNA鑑定の改ざん疑惑指摘 FCCJで会見
4年以上勾留の米国人男性の冤罪訴え、弁護団がDNA鑑定の改ざん疑惑指摘 FCCJで会見 不適切なDNA鑑定により4年以上勾留されている米国人男性の冤罪究明と早期釈放を求め、弁護団と家族が日本外国特派員協会で会見を開き、杜撰な証拠運用と非人道的な勾留環境を告発した。(写真/FCCJ提供)
2026年3月6日、日本外国特派員協会(FCCJ)にて、日本で4年以上にわたり勾留されている米国人男性クリス・ペイン氏の冤罪疑惑に関する記者会見が開かれた。会見には弁護団の角前清美弁護士、支援会会長の半田光太氏、そしてペイン氏の母親であるロンダ・テリル・ペイン氏が登壇し、不適切なDNA鑑定に基づく一審判決の不当性や、健康状態を悪化させている非人道的な長期勾留の実態について国際社会に向けて強く訴えた。
不適切なDNA鑑定により4年以上勾留されている米国人男性の冤罪究明と早期釈放を求め、弁護団と家族が日本外国特派員協会で会見を開き、杜撰な証拠運用と非人道的な勾留環境を告発した。(写真/FCCJ提供)
有罪の決め手となったDNA鑑定に「重大な不正」の疑い 事件は2018年、千葉県で発生した女性に対する性的暴行事件に端を発する。ペイン氏は事件から3年以上経過した2021年に逮捕され、一審で懲役8年の有罪判決を受けた。角前弁護士によれば、有罪の唯一の根拠となったのは教授YによるDNA鑑定結果であったが、その鑑定過程に重大な不正の疑いがあるという。
角前弁護士は、教授Yが事前にペイン氏のDNA型を把握した上で鑑定に臨んでいたと指摘。実際には16回行われた検査の中でペイン氏の型と一致しない結果が出たにもかかわらず、不都合なデータを意図的に削除し、ペイン氏の型(TH-01やFGAなど)に合致するようデータを書き換えていた疑いがあるとした。米国のDNA専門家サイモン・フォード氏による生データ(ローデータ)の解析からも、データの意図的な操作は確実視されている。現在、東京高裁はこの一審判決を破棄し、千葉地裁への差し戻しを命じている。
「人質司法」と深刻な健康被害、救急搬送の事態も 差し戻し審が決定し、主要な証拠が既に提出済みのDNAデータのみであるにもかかわらず、裁判所は「証拠隠滅の恐れがある」として保釈を認めていない。この長期勾留による健康被害は極めて深刻だ。母親のロンダ氏や半田氏の証言によれば、ペイン氏は24時間照明が点灯した状態の独居房に置かれ、顔を毛布で覆うことすら許されず、運動時間も極端に制限されているという。
昨年12月13日には、心臓の痛みを訴えて倒れ、救急搬送された。慢性的な鼻血などの症状もみられ、心身共に限界を迎えている実態が明かされた。ロンダ氏は「息子は無実なのに、なぜこれほど苦しめられなければならないのか」と、涙ながらに窮状を訴えた。
日本の司法制度への批判と早期釈放の要求 支援会会長であり、ペイン氏の元交際相手の父親でもある半田氏は、ペイン氏の温厚な人柄を信じ、無実を確信して奔走してきた経緯を語った。約50人の弁護士に依頼を断られた末、ようやく「イノセント・プロジェクト・ジャパン」の支援を取り付けるに至ったという。
会見の質疑応答では、日本の司法当局による鑑定機関への過度な盲信や、不透明な鑑定手法が問題視された。被疑者の情報を伏せた状態での「ブラインドテスト」が確立されている米国とは対照的に、日本では鑑定人が事前に情報を得られる状況にある。袴田事件と同様、DNA鑑定のローデータ開示が冤罪究明の鍵となることが強調され、登壇者らは事態の透明化とペイン氏の早期釈放を強く求めた。
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