【独占】なぜ台湾周辺から中国軍機が消えたのか 元自衛隊陸将が読み解く「イラン制圧」の波及効果と、ミサイルの「量」という血の教訓

イランの首都テヘランで爆発が発生し、空に立ち上る黒煙を見つめる人々(2026年2月28日)。(写真/AP通信提供)
イランの首都テヘランで爆発が発生し、空に立ち上る黒煙を見つめる人々(2026年2月28日)。(写真/AP通信提供)

米国とイスラエルによるイランへの精密打撃が開始されて以降、それまで連日のように確認されていた台湾周辺空域における中国軍機の活動が、突如としてほぼ姿を消した。これは中国が弱気を見せたわけではなく、戦略的優先順位の強制的な再編(リセット)が行われた結果である。

元陸上自衛隊陸将(3つ星)の小川清史氏は、米国が中国の心血を注いできたグローバルなパートナーネットワークを組織的に解体していると分析する。ベネズエラ、イラン、そして次はキューバ――。中国の戦略的縦深が一つずつ切り崩されるなか、中国には台湾海峡で消耗戦を継続する余力は残されていない。

この「一時の猶予」には代償が伴い、そのコストは今、中国の同盟国によって支払われている。

米イスラエルによる行動の本質 体制打倒ではなく「制圧」

日本安全保障戦略研究所(SSRI)の上席研究員を務める小川清史氏は、3月12日に台湾・淡江大学での講演後、本紙『風傳媒』の独占インタビューに応じた。

小川氏はまず、米イスラエルによる軍事行動の本質について、「全面戦争ではなく、高度に限定された制圧作戦である」と明快に定義した。米国の目標は、以下の3点に集約されている。

  • イランの長距離ミサイル在庫の無力化
  • 海軍の水上戦力(水上艦艇)の撃破
  • 核・ミサイル開発能力の阻止

すでに海上では米潜水艦がイランのフリゲート艦を撃沈している。核施設については、今後特殊部隊による浸透破壊が行われる可能性も排除できないという。一方、イスラエルの焦点は「革命防衛隊」に絞られている。「革命防衛隊は長年、代理人を通じて暗殺やテロ活動を行っており、イスラエルにとって直接的な生存の脅威だ」と小川氏は指摘する。

「現在、米イスラエル双方ともに作戦は順調に進展していると考えており、この衝突が長期化することはないだろう」

日本陸上自衛隊退役陸將小川清史3月12日接受《風傳媒》英文新聞網站《The Storm Media》獨家專訪。(王秋燕攝)
3月12日、『風傳媒』英語版サイト「The Storm Media」の独占インタビューに応じる小川清史・元陸上自衛隊陸将。(写真/王秋燕撮影

国際社会の沈黙の背景 イランによる「先制攻撃」の機密情報

米イスラエルによる軍事行動に対し、国際社会が比較的沈黙を保っている背景について、小川氏は公に議論されることの少ないインテリジェンス(情報)の側面に触れた。

「アラブ首長国連邦(UAE)の友人からの情報によれば、米イスラエルが動く約2日前の時点で、イランがイスラエルに対して先制攻撃を仕掛けるという明確な計画があった。この情報は公式には確認されていないが、複数の中東諸国が同時に高度な警戒態勢に入った動きと完全に一致している」と指摘。UAEを含む中東諸国が密かに防御態勢を固めていたのはそのためであり、米イスラエルの出撃は「予防的な先制攻撃」の性質を帯びていたという。

小川氏は、「国際社会が米イスラエルに対して一定の留保を置きつつも、『致し方ない』という空気感を共有しているのは、過去の中東紛争とは決定的に異なる点だ」と分析する。
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中国の「異様な沈黙」が示す地政学的シグナル

一連の情勢における中国の異様な沈黙こそが、最も警戒すべき地政学的シグナルであると小川氏は断じる。同氏は、米国の行動順序には深い意図があると見ている。

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