【寄稿】「安くなった東京」が物語る日本経済の転換点 円安の裏側にある構造変化

2026-03-19 14:33
円安が続く中、世界各地からの観光客が日本に大量に押し寄せている。写真は東京・渋谷の街頭。(写真/AP通信提供)
円安が続く中、世界各地からの観光客が日本に大量に押し寄せている。写真は東京・渋谷の街頭。(写真/AP通信提供)

東京が「安く」なった?通貨の背後に潜む地殻変動

ここ数年、東京を訪れる旅行者の多くが共通の感覚を抱いている。それは「日本が安くなった」というものだ。寿司、雑貨、家電製品――それらは外貨に換算すると非常にお得に感じられる。外国人観光客にとって、これは円安がもたらした「ディスカウント」に過ぎないが、日本人にとってはより深い構造的変化、すなわち「30年にわたるデフレ時代からの脱却」を反映している。

1990年代の資産バブル崩壊以降、日本経済は長期にわたり「低成長・低インフレ・低金利」という「三低」の局面に置かれ、世界的な影響力も次第に低下してきた。この歴史は「失われた30年」と呼ばれている。しかし近年、日本の経済構造は静かに変容し始めている。物価の上昇、マイナス金利の解除、そして企業投資の増加といった変化が、その兆しである。

これは日本がかつての高度成長期に戻ることを意味するのではない。むしろ、日本が新たな経済体制へと一歩ずつ歩みを進めていることを示唆している。

低速ながらも進む「構造改革」

国際機関の予測によれば、今後2年間の日本経済は緩やかな拡大が続くと見られている。国際通貨基金(IMF)は2026年の経済成長率を約0.7%、2027年を約0.6%と予測。一方、OECDはやや楽観的で、両年とも0.9%前後と試算している。主要経済国の中でこの成長速度は決して突出したものではないが、かつてのゼロ成長に近い停滞状態と比較すれば、ある種の「正常化」と見なすことができる。

より重要なのは、成長のエンジンが変化している点だ。これまで日本は輸出に大きく依存してきたが、今後数年は(インバウンド需要を除き)外需が主導的な役割を果たすことは難しいだろう。米国の関税政策を巡る不確実性、グローバル・サプライチェーンの再編、さらには中国経済の減速や産業競争の激化といった要因が、輸出の先行きに影を落としている。

そのため、日本経済が緩やかな成長を維持できるかどうかの鍵は、むしろ「内需」が握っている。企業部門は依然として底堅く、利益水準は高止まりし、設備投資のバックログも抱えている。政府による半導体やAI、サプライチェーン再編への補助金も追い風となり、企業投資は堅調に推移している。対照的に、家計部門は依然として脆弱だ。実質賃金の伸びは不安定であり、高齢化も消費意欲の減退を招いている。

換言すれば、日本の内需回復が持続するかどうかは、「賃金の伸びがインフレ率を上回り、国民の実質的な購買力へと転換できるか」という一点にかかっているのである。 (関連記事: 林伴子氏「日本経済の長い夜は明けた」 GDP660兆円超えの一方で警告する国際秩序の「断絶」と金利リスク 関連記事をもっと読む

インフレと金融政策 正常化への道筋と緩やかな歩み

日本の現在のインフレは、全体的には落ち着きを見せつつも、コア指数には「粘着性」があるという特徴を示している。エネルギーや食品価格の上昇による「輸入インフレ」は次第に収束しているが、サービス価格や賃金コストの押し上げによる「コアインフレ」は、依然として2%前後を維持している。

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