林伴子氏「日本経済の長い夜は明けた」 GDP660兆円超えの一方で警告する国際秩序の「断絶」と金利リスク
前内閣府経済分析トップの林伴子氏は、日本経済の正常化を評価する一方、国際秩序の断絶と利払い費増大等の財政リスクに強い警鐘を鳴らし、市場の信認確保を訴えた。(写真/日本記者クラブ提供)
景気循環学会副会長で前内閣府政策統括官の林伴子氏は2月18日、日本記者クラブで「国際環境の激変とマクロ経済政策」と題して講演を行った。
「2026年経済展望」シリーズの最終回として登壇した林氏は、日本経済が長年続いた「物価・賃金・金利が動かないトリプルゼロ」の状態から脱却し、名目GDPが拡大する「普通の経済」に戻ったとの認識を示しつつ、ポスト・ポスト冷戦期における国際秩序の「断絶」や、財政破綻リスクに対する市場の信認確保の重要性を強く訴えた。
名目GDPは668兆円、デフレ前のペースへ
林氏は講演の冒頭、日本経済の現状について「長い夜は明けた」と表現し、目が覚めれば世界は激変していたと指摘した。国内経済については、物価と賃金が動き出し、価格メカニズムが機能し始めたと分析。名目GDPは2023年に600兆円を超え、直近の2025年12月期では年率換算で668兆円まで拡大しており、政府見通しでは来年度に690兆円に達する勢いだと説明した。
また、名目成長率が3年連続で3%を超えたことはバブル期以来の快挙であり、デフレ前の「5年で100兆円増えるペース」に戻りつつあると評価した。
移行期ではなく「断絶」の時代
しかし、林氏は世界情勢について、先月のダボス会議でのスピーチを引用し、現在の国際秩序は「移行期(トランジション)」のような生易しいものではなく、「断絶(ラプチャー)」の只中にあると警告した。
冷戦後のグローバル化が進んだ時代から、大国間の対立や経済の武器化が進む「残酷な現実」の時代へとシフトしており、急激かつ大規模な資本移動や、ある国の危機が他国へ伝播する「コンテージョン(感染)」のリスクが高まっていると分析した。
特に、日本の国債(JGB)市場において、海外投資家による売買比率が全体の3分の1を占めている事実に触れ、財政規律の喪失が招く金利急騰や通貨安の悪循環への警戒感を露わにした。内閣府の試算では、成長移行ケースであっても、金利上昇に伴い国債の利払い費が2035年には31兆円まで増加する可能性があり、財政の持続可能性に対する市場の信認(マーケットのトラスト)を確保することが、激動の時代を生き抜くための最重要課題であると論じた。
食料品非課税化には「安易な減税」と警鐘
金融政策に関しては、政府・日銀の共同声明(アコード)に基づく2%の物価安定目標(インフレターゲット)の重要性を改めて主張した。物価目標の達成は、企業や家計の予測可能性を高め、投資や消費を最大化させる効果があるとし、仮に政府がデフレ脱却宣言を行った後も、この枠組みと2%目標は維持すべきだとの見解を示した。
また、昨今の食料品価格高騰を受けた消費税の軽減税率一時ゼロ化(食料品非課税化)の議論については、2年間で約10兆円規模の財源確保が必要となる点や、一度下げた税率を再び引き上げる際のハードルの高さを指摘し、安易な減税が「財政破綻は癖になる」という歴史的教訓に触れつつ、市場の信認を損なうリスクに懸念を示した。
講演の締めくくりに林氏は、江戸時代の画家・渡辺崋山の言葉「大事は閑(かん)にあり、機会は急にあり」「眼前の繰り回しに百年の計を忘れるなかれ」を引用し、平時の備えこそが重要であり、目先の対策に追われて長期的視点を失ってはならないと結んだ。
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