7月26日、台湾では全国で第1波となるリコール投票が行われ、国民党所属立法委員24人と新竹市長・高虹安氏が対象となったが、いずれも成立しなかった。続く第2波として、国民党所属立法委員7人のリコール案件と「第三原発(核三)再稼働」に関する公投が、本日23日に同時に実施された。開票結果は夜に公表され、台中市第3選挙区の国民党・楊瓊瓔立法委員に対するリコール案は、午後5時30分時点で賛成票がおよそ3万2,000票にとどまり、反対票の6万2,000票を大きく下回った。最終的な票数は中央選挙委員会の正式発表を待つ必要がある。
楊氏は支持者に謝意を示す一方、リコール賛成票を投じた有権者に対しても「その鞭撻の声を確かに受け止めた」と語った。また「この1年余り、台湾社会は分断や中傷に満ちていた。民進党は民意に耳を傾け、国政を正しい軌道に戻すべきだ」と訴え、自らは「初心を忘れず、今後も政府を厳しく、慎重に監督していく」と強調した。

現年60歳の楊瓊瓔氏は、台中市沙鹿地区の政治家系出身である。父・楊定照氏は台中県議員を務め、妹の楊瓊珍氏は大雅郷の郷民代表、祖父は梧棲で28年間里長を務めた。地元での一家の影響力は大きい。楊氏自身の政治経歴も長く、台中市副市長、国民党副秘書長を歴任し、立法委員には5期連続で当選。25歳で台湾省議員に初当選して以降、連続当選を重ね、1998年の第4回立法委員選挙でも勝利。2008年に単一選挙区制へ移行した後も、台中第5選区で民進党候補を破って当選し、2012年に台中第3選区へ区割り変更された後も引き続き議席を守った。
転機となったのは2016年である。民進党が支援した時代力量の洪慈庸氏に敗れ、十数年に及ぶ国会キャリアに一度幕を下ろした。しかし2020年の選挙で洪氏を破り、立法院へ復帰。さらに2024年の選挙でも再選を果たし、国民党を代表するベテラン立法委員として存在感を示している。過去1年間は与野党の対立が激しく、国会改革法案や「憲法訴訟法」「財政収支劃分法」などをめぐり、議場での激しい口論や衝突も発生。その最前線で、立法院長・韓国瑜氏の傍らに常に寄り添い、「揺るぎない後ろ盾」として立ち続ける楊氏の姿がしばしば目撃された。
《公職人員選挙罷免法》では、リコール投票が成立する条件として「有効同意票数が不同意票を上回り、かつ同意票数が当該選挙区の有権者総数の4分の1以上であること」と定められている。逆に不同意票が同意票を上回る場合や、同意票が規定数に届かない場合は否決となる。今回のリコール投票は国民投票(公投)と同時に実施されたが、公投には宣伝禁止規定がないため、中選会(中央選挙委員会)は「公投の宣伝にリコールの宣伝を混ぜ込むことは違法にあたる」と投票当日に改めて注意を呼びかけた。
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