トップ ニュース 独占インタビュー1》台湾海峡防衛に「断線」リスク 元海上幕僚長・武居智久氏が日米台の新協力案を提言
独占インタビュー1》台湾海峡防衛に「断線」リスク 元海上幕僚長・武居智久氏が日米台の新協力案を提言 6月11日、武居智久氏が台北政経学院基金会による「2025台湾海峡防衛机上演習」の国際記者会見に出席した。(写真/柯承惠撮影)
元海上自衛隊の海上幕僚長を務めた武居智久 が6月、台湾で行われた「台海防衛机上演習」に参加し、台湾側の戦略コミュニケーションに重大な欠陥があると指摘した。7月21日に《風傳媒》の独占インタビューに応じた武居氏は、多くの危機シナリオで真のリスクとなるのは「情報が正確に伝わらないこと」と「誤った判断を修正する時間が残されていないこと」だと率直に語った。日米台の3者が、技術的に実現可能なレベルから暗黙の了解や信頼を積み重ねていくことで、初めて強靭な地域安全保障の枠組みを段階的に構築できるとの見方を示している。
武居氏は今回の兵棋推演や日米台の戦略コミュニケーションの在り方について、詳細な分析を述べた。
コミュニケーションの欠如が招くリスク :机上演習の実例と対応策 質問一:今回の「台海防衛机上演習」(Taiwan Defense TTX)は、台北政経学院基金会(TSEF)と平和安全保障センター(CPAS)が6月に共同開催したものだ。米国のマレン元統合参謀本部議長、ブレア元太平洋軍司令官、日本の岩崎茂元統合幕僚長、そして武居智久氏自身を含む米日台の高級退役軍人が参加した。この演習の過程で、どのような重要情報が即時に伝わらず、その結果として日本側やほかの同盟国側の誤判断や決定の遅れを招いたのか。
武居氏は「日米台の間に常設かつ統一されたコミュニケーションの仕組みがないことが根本的な問題だ」と指摘。
武居智久氏は7月21日、淡江大学での講演を終えた後、《風傳媒》のビデオインタビューに応じた。(写真/王秋燕撮影)
技術的な課題にとどまらず制度面の抜け穴であり、海域の不審船や空域での異常行動など、緊急の情報が伝わらなければ、対応の正確さや迅速さに直接影響を与えると警鐘を鳴らした。現在、日本と台湾の間には正式な防衛コミュニケーションの経路は存在せず、緊急時であっても双方が信頼し合う直接連絡のメカニズムを欠いていると強調した。急変する戦況下では、こうした「断線」が致命的なリスクになりかねないと述べている。
現下の政治情勢では日台間で公式のチャンネルを整えるのは難しいものの、戦略的価値は大きく、早期の布石が必要だと武居氏は語る。その上で、実現性が高いとする二つの提案を示した:
一つ目は「段階的な対話モデル」だ。まずは学者や退役軍人、シンクタンクが参加する「二軌(Track2)」の非公式対話を重ね、相互信頼を築く。その後、一部の政府関係者を交えた「1.5軌(Track1.5)」の半公式対話へ発展させ、最終的には定期戦略フォーラムなど正式な「一軌(Track1)」の交流プラットフォームを設ける。政治的な敏感さを避けつつ、段階的に理解を深められる手法だとした。
二つ目は「米台既存メカニズムの活用」である。現在、米台間には一定のコミュニケーション体制があり、日本が観察員やデータ共有などの形でその枠組みに参加すれば、日台間の情報流通を間接的に進められる。こうして三者対話の基盤をつくることができると説明。「軍事に関して、これに日本が入って三者関係にするというのは一番実現性が高いと思います」と強調し、軍事協力こそ三者間の情報共有に不可欠だとの見解を示した。
2025年6月10日、台湾海峡防衛に関する兵棋演習に出席した各国の元軍幹部ら。左から、台湾の李喜明・前参謀総長、米国のブレア元太平洋軍司令官、マレン元統合参謀本部議長、黄煌雄・台北政経学院理事長、日本の岩崎茂・元統合幕僚長、武居智久・元海上幕僚長。(写真/顔麟宇撮影)
三者協力の深化:共有プラットフォームと即時早期警戒システム 質問二:将来的に日米台の三者は、さらなる協力強化を図るべきだろうか。たとえば合同情報センターの設立、SLOC(海上交通路)や空域情報プラットフォームの共用、あるいは台湾の合同緊急通報システムへの参加などが考えられるが、どの方式が最も実務的で実行可能性が高いのか。
武居氏は、現段階で米台間には基本的な軍事コミュニケーションのチャンネルがすでに存在するとした上で、「最も現実的な強化の道は、日本がその枠組みに参入し、三者による情報共有モデルを形成することだ」と指摘する。ゼロから新たな仕組みを立ち上げるよりも実行可能で、政治的な抵抗も小さいとみている。
SLOCと空域情報プラットフォームの共用 :船舶や航空機の動きを即時に共有できる仕組みを構築することで、海洋状況認識(MDA,Maritime Domain Awareness )の能力が飛躍的に高まる。巨大な組織を新設する必要はなく、まずはデータレベルから着手でき、効果も早期に見込めるという。台湾の合同緊急通報システムへの部分的接続:弾道ミサイルの早期警戒や空域異常の通報といった共通の脅威領域から情報共有を始め、段階的に早期警戒の協調体制を整える。 武居氏は「高いレベルの制度を一気に築くのではなく、技術や戦術の段階から信頼と運用経験を積み上げ、将来のより深い協力の土台をつくることが重要だ」と語った。
質問三:「台湾有事」のシナリオを想定した場合、日米台三者はどのように明確な「退場メカニズム(Off-Ramp)」を確立すべきだろうか。たとえば共同指揮センターの設置、攻撃前通報の閾値を明文化すること、あるいは三者間の戦略的な相互信頼メカニズムの構築などが挙げられるが、どの仕組みが最も実現性が高く、誤判やエスカレーションのリスクを低下させるのか。
武居氏は「Off-Rampは誤った判断によるエスカレーションを回避し、外交的余地を残すうえで重要な仕組みだ」と強調。ただし現時点では、三者がこのメカニズムを動かすための既存体制を持っていないと率直に認めた。こうした枠組みには高度な政治的意思と軍事上の相互信頼が不可欠だという。
情報共有と定例対話の開始:公式・非公式を問わず、定期的に互いのレッドラインや関心事項、情勢認識を交換する。これにより潜在的なリスクを早期に察知し、初動段階で効果的なコミュニケーションを図ることができる。 早期警戒通報の明確な基準を設定:どのような行動が事前通報を要するかを明確化し、グレーゾーンでの誤解発生を減らす。これには深い戦略対話と詳細なルール作りが必要となる。 多層的な連絡ネットワークを構築:高位レベルから作戦・戦術の現場まで、複数の連絡経路を設けることで、一か所の断絶が全体の麻痺を招かないようにする。 武居氏は「誤判やエスカレーションのリスクを抑えるうえで、最も現実的で実現可能性の高いのは、こうした持続的な協議と情報交流のメカニズムを築くことだ」と述べ、「これこそが将来、より高度な協力――たとえば共同指揮センターの設置――に進むための基盤になる」と強調した。理解を深めることこそ、誤判を防ぎ、緊張のエスカレーションを抑える根本だと結んでいる。
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