南アジアのバングラデシュで、深刻な墜落事故が発生した。空軍所属のジェット練習機「殲-7(Chengdu J-7)」が、首都ダッカでの飛行訓練中に機体の不具合によって制御を失い、墜落したとみられる。戦闘機は市内の学校の敷地内に突っ込み、操縦士を含む計31人が死亡、およそ200人以上が負傷して病院に搬送された。墜落した「殲-7」は、中国が旧ソ連のMiG-21を技術導入して製造した機体で、現在も運用している国はバングラデシュのほか、北朝鮮やパキスタンなど少数に限られている。
ブルームバーグとBBCの報道によると、戦闘機が学校の敷地に墜落した直後、バングラデシュの暫定政府で首席顧問を務めるムハマド・ユヌス氏の事務所が声明を発表し、墜落した機体がバングラデシュ空軍(Bangladesh Air Force)に所属する「殲-7」戦闘機であったことを確認した。墜落場所は首都ダッカのウッタラ地区(Uttara)にある「マイルストーン・スクール&カレッジ(Milestone School and College)」の校内だったという。
A Bangladesh Air Force plane crashed into a school in the nations capitol resulting in over 30 deaths and over 100 injured 👀
— Mrgunsngear (@Mrgunsngear)July 22, 2025
According to the BBC:
"At least 25 people have been killed in the crash of a Bangladesh air force jet into a private school campus in the country's…pic.twitter.com/EXyD9UMd5E
🚨🚨 YET ANOTHER PLANE CRASH
— Gautam Seth (@GautamS15540834)July 21, 2025
Bangladeshi Air force jet Crashes into a school building. HEARTBREAKING VISUALS
As of now at least 19 people are confirmed dead including the pilot and over 100injured.
Reports of Bangladeshi police beating teachers and children for talking to the…pic.twitter.com/1RzlyyAhmQ
海外メディアが公開した現場写真によると、戦闘機は建物に直撃しており、その後大規模な火災が発生した。消防隊の懸命な救助活動が行われたものの、これまでに「殲-7」のパイロットを含む27人の死亡が確認されている。犠牲者の多くは同校の生徒で、火災によって170人以上が負傷し、病院に搬送された。
バングラデシュ軍(Bangladesh Armed Forces)による初期調査によれば、事故機は現地時間の午後1時ごろ、定期的な飛行訓練に出発した。操縦していたのはタウキル・イスラム中尉(Flight Lieutenant Towkir Islam)で、離陸直後に機体の不具合が発生。イスラム中尉は人口密集地を避けるため機体を市街地外へ誘導しようとしたが、最終的には市内の学校にある2階建ての校舎に衝突したという。


当局の確認によると、今回墜落した訓練機は中国から輸出された「殲-7」戦闘機だった。「殲-7」は旧ソ連のMiG-21をベースに開発され、1980年代に大量生産・輸出されたが、2010年代に生産が終了し、他の機体に置き換えられている。中国人民解放軍空軍は2023年までにすでに全機を退役させており、エジプトやベトナムといった主要な導入国も運用を終了している。ただし、バングラデシュのように今も運用を続ける国は一部存在する。
この機体の最大航続距離は1480キロメートル、最大巡航速度は時速970キロメートルに達する。中国国内での使用にとどまらず、多くの途上国にも輸出されており、エジプト、ベトナム、バングラデシュ、パキスタンのほか、アフリカではナイジェリア、ナミビア、スーダン、アジアではミャンマーやスリランカなども導入国に名を連ねる。各国の予算や運用目的に応じて、多様な派生型が開発されてきた。