舞台裏》米台が宇宙港協力を協議中 「台北~ヒューストン2時間半」の未来構想とは?

2025-07-25 15:32
AITは自ら情報を発信し、米台の宇宙港協力を示唆。両国間の宇宙技術交流が一層注目を集めている。(写真/国家宇宙センター提供)
AITは自ら情報を発信し、米台の宇宙港協力を示唆。両国間の宇宙技術交流が一層注目を集めている。(写真/国家宇宙センター提供)
目次

2025年7月14日、米国在台湾協会(AIT)はSNSで「F4が五月天のコンサートで再集結し、名曲『流星雨』を歌うと観客が一斉に歌声を合わせた」と投稿し、大きな話題を呼んだ。注目すべきは、その投稿でAITが「米台の宇宙科学技術分野での協力は、流れ星のように輝き続け、着実に深まっている」と表現したことだ。

その一週間後、AITは「宇宙港協力」をめぐる交渉が進行中で、米台の技術連携強化の重要なマイルストーンになると明かした。こうした協力の背景には、産業面だけでなく、外からは見えない軍事や外交上の思惑も潜んでいる。

(図/米国在台協会AITのFacebookより)
AITは、米台が宇宙港協力計画を進めていることを示し、各方面で話題を呼んでいる。(写真/AIT公式Facebook)

F4が『流星雨』を歌い、台湾と米国の宇宙協力が注目される

AITは投稿の中で、2019年に打ち上げられた「FORMOSAT-7(福衛七号/COSMIC-2)」衛星は、台米協力の重要な成果のひとつであり、世界の気象予報や航空の安全性向上、宇宙天気の通信への影響監視に役立っていると紹介した。また、両国の学術機関による掩星プロジェクト(TAOS)では、玉山国家公園の鹿林天文台に設置した4基の望遠鏡が、これまで発見されなかった小惑星を多数観測したという。こうした取り組みは科学知識の拡充と技術革新を進めるだけでなく、米台の長期的で強固なパートナーシップをさらに深めるものとなっている。

福衛七号プロジェクトを担当する国家太空センター副主任の朱崇惠氏は《風傳媒》のインタビューで、「米国との協力は科学研究や機器開発、打ち上げサービス、掩星任務など多岐にわたる」と語った。米国大学大気研究連盟(UCAR)と共同で進めた福衛三号、米国海洋大気局(NOAA)と連携した福衛七号も、こうした連携の成果だという。米国の技術は極めて先進的で、常に新たなプロジェクトが生まれるたび、米国との協力を優先的に検討していると述べた。

福衛七号の役割分担について朱氏は、「台湾側の太空センターが技術エンジニアリングを担当し、米国側の海洋大気局がデータ応用を担うことで、双方が得意分野を活かして協力している」と説明した。

福衛七号衛星は台米の重要な協力プロジェクトのひとつ。写真は太空センターにおける福衛七号の調整作業。(資料提供:国家太空センター)
福衛7号衛星は台米協力の象徴的プロジェクトで、双方がそれぞれの強みを補完し合っている。写真は太空センターでの調整作業。(写真/国家太空センター提供)

文化や業務の違いを乗り越え、米台は協力を深化

朱氏は福衛七号の開発過程で、伝統企業や新興企業、政府機関を巻き込んだ際に、文化の違いや業務手順の差異が壁となり、調整に時間を要したと振り返る。

例えば電磁適合性・干渉試験では、当初米国側の要求に従って実施した後、米国側から追加試験を求められ、台湾では再試験を行わない慣習があるため誤解が生じた。

最終的には米国から大規模なチームが台湾太空センターを訪れ、設備の優秀さを確認し、双方が納得する形で解決したという。 (関連記事: 銀座の宇宙猫、最終章へ──GINZA SIXにて「BIG CAT BANG:THE FINAL」開催 関連記事をもっと読む

2019年6月25日、米国SpaceX社が「ヘビー・ファルコン」ロケットを打ち上げ、台湾の福衛七号衛星が共に打ち上げられた。(AP)
福衛7号は開発過程で台米の文化的な違いに直面したが、最終的には成功を収めた。(写真/AP)

通信用衛星ブーム 台湾の宇宙技術が外交の突破口に

崇惠氏は「宇宙技術そのものが『科学外交』であり、衛星が地球を周回することで自然と外交と結びつく。そこで得られるデータは本来、世界で共有されるべきものだ」と語った。福衛7号や米国海洋大気局と連携した初の国産気象衛星「獵風者号」に関しても、データ処理・技術開発・宇宙天気観測の面で協力を続けているという。

最新ニュース
トランプ氏、関税戦争は終息へ?「15%優遇税率」の条件とは──台湾財経評論家が指摘、今後は半導体・医薬品に焦点か
大谷翔平×鬼滅の刃!MLB公式コラボTシャツ、7月25日から受注開始
フジロック2025前夜祭が開幕!盆踊り・花火・深夜ライブに歓声沸く
独占》台湾の関税は20%未満に? 開放の裏に潜む代償
台湾最大の脅威は武力侵攻か?垂秀夫元大使「エネルギー問題は軍事危機より深刻」
夏珍コラム:24時間後 私たちはまだ「台湾人」と呼べるのか
台米関税交渉》米専門家が警告:注目すべきは税率より台湾経済の「3つの時限爆弾」
「TSMCの米国投資は“タダ同然”」 台湾・郭正亮氏が頼政権の対米交渉を痛烈批判
評論:米国は台湾の「大リコール」をどう見るのか──沈黙するワシントンの真意
フン・セン上院議長、「中国逃亡」報道を否定 カンボジア・タイ国境衝突で反撃指揮を主張
ユニバーシアードで台湾代表が快挙 テコンドーで7メダル 中国関係者による祝電妨害・国旗撤去要求も
「私は聞いていない」発言に矛盾 トランプ氏、エプスタイン名簿巡り疑惑深まる 5月時点で司法長官が直接通知か
トランプ氏、「日本は5,500億ドル投資で関税引き下げ合意」 他国にも「資金で関税緩和」容認の意向
天気予報》台風7・8号が接近 藤原効果で台湾、週末にかけ大雨・強風のおそれ
前線で自由のために奮戦、大統領は後方で異分子を排除? ゼレンスキー氏が反汚職機関「敵に浸透」と指摘、キエフで戦後最大抗議
蔡英文元総統、「リコールは民主の力」 7月26日に市民として投票参加表明
ロシアAn-24旅客機が墜落 子ども含む49人全員死亡か 老朽機の安全性に懸念の声
Z世代に「死んだ魚の目」無表情で見返された?話題の「Z世代凝視」とは一体なに?
ファーウェイ天才少年が台湾子会社を買収!「63%の株式が買い取られ」株価が640%急騰
タイ・カンボジア国境で住宅地にロケット弾直撃 民間人に多数の死傷者、SNSで悲痛な映像拡散
タイとカンボジア、なぜ開戦?前首相の『通話漏洩』が引き金に──百年にわたる寺院領有権争い、再燃
「百年の寺院」巡る紛争激化 タイとカンボジアが交戦、8万人が避難
トランプ氏、関税を25%から15%に引き下げ 日本車株が急伸、米メーカーは猛反発
核施設攻撃後、イランで愛国意識が高まる NYタイムズ報道:禁じられた歌と神話で民族主義を強化
トランプは台湾を「切り札」にするのか 新チューリヒ紙が警告「対中戦略なき混乱」
呉典蓉コラム:台湾総統・頼清徳の大博打 わずか8.7%の有権者がその未来を左右
独占インタビュー2》中国の上陸戦力が予想以上の拡大 元海上幕僚長・武居智久氏「日米台はキルチェーン強化が急務」
独占インタビュー1》台湾海峡防衛に「断線」リスク 元海上幕僚長・武居智久氏が日米台の新協力案を提言
評論:台湾・大規模リコールが導いた「たった一つの結末」──分断と疲弊の1年
AI医療》台湾・長庚病院、AIで骨折診断に革命 X線1枚で全身の損傷を高精度判別
台湾で前例なき「大規模リコール」実施へ 米国の「沈黙」が民進党に追い風?野党幹部「リコールは楽観できない」
【オールスター2025第1戦】頓宮が3ランでMVP!全パが5-1で快勝 京セラドームが熱狂の渦に
日本が米国車輸入を全面開放へ 自動車株が急騰した背景と台湾市場への波紋
ポピュリズムの嵐、日本で本格化!若者層が極右派に支持集結、自民党の揺らぐ政治基盤
バングラデシュで中国製戦闘機が墜落 学校に衝突し児童含む31人死亡
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』公開記念 限定Happyくじが7月25日発売へ
「単位と引き換えに」採血強要事件 台湾師範大学女子サッカー部コーチ、生涯追放処分
中国人観光客罵倒や鹿殴打で炎上の過去 元「迷惑系」へずまりゅう氏が奈良市議に当選
石破首相、辞任報道を強く否定 会談後に続投を表明、「政治空白は避けるべき」
「台湾有事は日本有事」―元海上幕僚長・武居智久氏、海上交通の脆弱性を警告 日台のSLOC共同防衛を提言
全国の職人とクリエイターが集う「HandMade in Japan Festival」 東京ビッグサイトで開催、手作りの今を体感
舞台裏》台湾医療界トップをめぐる攻防 民進党が台南派を支持へ転換 白い巨塔で国民党・民進党が激突
独占》台湾情報機関トップ人事 台北支部を掌握した副局長候補、接待を控える理由
Metaの8億ドル買収を拒否!「NVIDIAの挑戦者」が初のLG大型受注、韓国スタートアップFuriosaAIとは何者か?
石破首相、「辞任報道は事実無根」と否定 「党分裂あってはならない」と強調
トランプ氏「フィリピンも再び偉大に」 対比19%関税を発表 マルコス政権の対中接近容認
京華城案件》「私はもう7人目のルームメイトと過ごしている」柯文哲氏、検察に反論「あなたたちはネット軍だ」
ミニ四駆の生みの親、タミヤ会長・田宮俊作氏が死去 世界の模型文化を牽引した90年の軌跡
石破茂首相、8月辞任へ 「三巨頭会談」で退陣時期を最終調整か
石破茂氏、就任1年で自民3連敗 石破政権に「党内クーデター」の兆し?