台北市の都市開発を巡る「京華城案件」の審理が7月22日、台北地方法院(地裁)で続行された。この日は、当時の台北市都市発展局都市計画課長で、現在は総エンジニアを務める楊智盛氏が証人として出廷。被告である台湾民衆党前主席の柯文哲(か・ぶんてつ)氏も同席した。
柯氏は、自身のYouTubeチャンネル「柯文哲チャンネル」で、法廷での発言要旨を公表。その中で検察側に対し、「訴訟の勝ち負けを唯一の目的にしないでほしい。あなたたちはすでにネット軍(ネットの工作員)になっている」と強く非難した。
「私はもう7人目のルームメイトと過ごしている」
柯氏は京華城案件について、「案件が『研議(専門部門での協議)』に回されたのは知っていたが、その後の経緯には関与していない」と主張。さらに、案件が本格的に動いた当時は新型コロナウイルスの感染が最も深刻だった時期であり、「私はもう11カ月も拘束されていて、台北拘置所でこんなにも長く接見禁止の状態が続いている人はほとんどいない。もう7人目のルームメイトと過ごしている」と、長期拘束への不満を露わにした。
「これは個別案件であり、都市再開発案件ではない」
柯氏はまた、「京華城案件は個別案件であって一般的な都市更新(都更)案件ではない」と述べ、「都市計画の詳細変更を通じて容積率の優遇を申請するという土地所有者の権利に基づく陳情案件」だと強調した。
さらに、「都市計画委員会(都委会)は独立機関であり、都市発展局の下部組織ではない。委員の人選も市長が任命するわけではなく、私の時代には複雑な選考制度を設けていた」と説明。「市政府が案件をコントロールすることはできず、委員会がコンセンサスで判断する仕組みだった。これまで多くの公務員が出廷したが、誰も違法な手続きがあったとは言っていない。もし違法であれば、そもそも決裁が行われるはずがない」と述べた。
「市長の指示」記述に異議 電話の出所を追及
柯氏はさらに、起訴状に「市長の指示」と記載された件についても言及。市長室の秘書が都市発展局長の秘書に電話し、そこから楊智盛氏に情報が伝えられたというが、「私はその秘書に何かを指示したことなど絶対にない。誰が本当に電話をかけたのか、しっかり調査してほしい」と主張した。
そして最後に、「私はこの事件にまったく関与しておらず、訳も分からず拘束されている。今後、他の証人の証言によって真相が明らかになっていくだろう。私は特にコメントすることはないが、社会の公平と正義こそが司法の唯一の目的であるべきだ。検察は勝つことだけを目的とせず、本来の役割を果たしてほしい」と語り、あらためて検察の姿勢を強く批判した。
編集:梅木奈実
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