インド・カルナータカ州の「ダルマスタラ寺院」(Dharmasthala Temple)は、毎日2000人以上の参拝者を集めている。しかし最近、長年にわたって性的暴行や殺人を隠蔽してきた「証拠隠滅の拠点」だった可能性が明らかになった。
インド寺院で「遺体処理センター」疑惑が発覚
複数の海外メディアの報道によれば、48歳の男性が最近、警察に届け出を行った。彼は1995年からダルマスタラ寺院の清掃員として20年間働いており、勤務し始めた当初から女性や少女の遺体が寺院付近の川に流されたり埋められたりしているのを次々と発見したという。これらの遺体はほとんどが裸で、明らかに暴力の痕跡があった。「発見された多くの女性の遺体は下着すら見つからない状態で、一部は明確な性的暴行と暴力の痕を残している」という。
当初は自殺と考えていたが、遺体の数が多く暴力の痕があることから、寺院に暗い一面があると気づいた。更に上層部からの恐喝「口を開けばお前も家族もバラバラにされる」という圧力により、黙って「遺体処理」の仕事を長期間続けざるを得なかった。
彼は、長年にわたり指示に従って遺体をディーゼルで焼却したり、寺院周辺の人目につかない場所に埋めたりしてきたと証言している。その数はおおよそ数百人にのぼり、最も幼い遺体は生後わずか5カ月だったという。中でも最も恐怖を感じたのは、少女を埋葬するよう命じられた時だった。少女は制服を着ていたが下着は身につけておらず、首には絞められた痕が残っていた。彼は少女の遺体とランドセルを一緒に埋めながら、胸が張り裂ける思いだったと振り返った。
親族が被害に、ついに勇気を持って通報
2014年、寺院内でこの清掃員の未成年の親族が寺院幹部から性的嫌がらせを受けたことをきっかけに、彼はついに「罪にまみれた場所」を去る決意を固めた。同年12月、家族を連れて密かに寺院を離れ、報復や口封じを恐れてその後も転々と居を移し、知人とも距離を置き、ほとんど世間と関わらない生活を続けてきた。
そして事件から10年を経た最近、ようやく勇気を奮い起こし、警察に告発した。自身の訴えを裏付けるため、彼は警察を自ら案内して寺院近くの埋葬現場へ向かい、実際に遺骨などの物証を掘り出して警察に引き渡した。
寺院の勢力大きく、警察の捜査が難航
この事件はインド社会に大きな衝撃を与えた。カルナータカ州政府は特別調査委員会を設置して捜査に乗り出したものの、ダルマスタラ寺院は名門ヘッゲガウダ(Heggade)家が掌握しており、この一族は地域の宗教界と政界に強い影響力を持ち、長年にわたり地元の権力中枢と深く結びついてきた経緯がある。そのため、調査の進展には疑念が向けられている。
寺院周辺では長年にわたり行方不明者が相次いで報告されてきたが、警察は積極的な捜査を行ってこなかった。大規模な遺体焼却疑惑が浮上した現在も、寺院側の責任者は捜査対象に含まれておらず、「上層部の介入があるのではないか」と強い疑念が広がっている。現時点でも調査は続いており、真相解明と黒幕追及を求めて中央政府の介入を求める声が高まっている。
編集:柄澤南 (関連記事: ガザで前代未聞の飢餓:2時間に1人死亡! 骸骨のような子どもが病室に溢れ、イスラエルが援助制限で「徐々に餓死」 | 関連記事をもっと読む )
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