特集》大規模リコールで惨敗 民進党と頼清徳へ民意の鉄槌

2025-07-28 10:40
民進党、罷免団体、さらには頼清徳(写真)総統は、今回の大規模罷免で災難級の惨敗に見舞われた。(写真/柯承惠撮影)
民進党、罷免団体、さらには頼清徳(写真)総統は、今回の大規模罷免で災難級の惨敗に見舞われた。(写真/柯承惠撮影)
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台湾政界を揺るがしてきた半年間の混乱に決着がついた。7月26日の大規模リコール投票の結果が明らかになり、民進党が全面支援したものの、第一段階で標的となった国民党の立法委員24人はいずれも、国民党と民衆党の連携によって全員が議席を守った。投票前から情勢が極めて厳しいと見られていた新北市選出の葉元之立法委員までリコール失敗に終わり、当初掲げた「少なくとも6議席を奪い、補選で57議席に届かせて過半数を奪還する」という戦略は完全に崩れた。結果は「大規模リコール、大敗北」となり、国民党側の議席は1つも失われなかった。今後3年間、野党である国民党と民衆党が安定的に国会を掌握すると見られ、民進党やリコール推進派、さらには頼清徳総統にとっても災難級の惨敗となった。

リコール推進側の立場から見れば、8月23日にはまだ第2弾として7人の国民党立法委員に対するリコール投票が控えており、「大リコール」の成否はまだ決まったわけではない。もしもここでさらに6議席を奪えれば、依然として理想的な結末を描くことも可能だ。しかし与野党ともに、7月26日の第1弾リコールをすでに「最初にして決着の戦い」と位置づけている。一気に勝負を決められなかった側は士気が大きく落ち込み、次の投票で巻き返すのはほぼ不可能と見られている。ましてや新北市の羅明才氏、台中市の江啓臣氏・楊瓊瓔氏・顏寬恒氏、新竹県の林思銘氏、南投県の馬文君氏・游顥氏といった第2弾の標的は、いずれも国民党の強固な地盤を持つ選挙区で、強い基盤を築いている「超難関」の顔ぶれだ。与党側やリコール主導者たちも、その厳しさを十分に理解しており、8月23日にさらに1議席でも奪う可能性は極めて低いのが実情だ。

20250726-決戦国会公民不退開票之夜26日於立法院外濟南路舉辦。(劉偉宏攝)
大規模リコールは本来「大成功」を見込んでいたが、結果は想定外の“災難級”大敗となった。(写真劉偉宏撮影)

国民党、民衆党に借りを作る 黄国昌氏の政治的影響力が増大

7月26日のリコール投票の政治的影響を掘り下げると、最大の勝者は間違いなく台湾民衆党である。国会の議席数に変化はなかったものの、民衆党が国民党を強力に支援することでリコールを失敗に導き、民進党および頼清徳総統に痛打を与えた。この結果、拘束中の前党主席・柯文哲氏や、長らく鬱憤を抱えていた民衆党支持層にとっても溜飲を下げる結果となり、同時に国民党は民衆党に恩を受けた格好となった。今後の国会運営において、民衆党の「キャスティングボート」としての地位はさらに強まる見通しだ。

さらに、2026年・2028年の統一地方選や総統・立法委員選挙に向けた候補者の擁立でも、民衆党は国民党との協議で有利な立場を築くとみられている。実際、当初は苦戦が予想されていた新竹市選出の国民党立法委員・鄭正鈐氏は、民衆党の市長・高虹安氏との連携によって大差で当選を果たし、「国民党・民衆党両党の協力」が勝利の保証となることを示した。ある国民党幹部は「今回の大リコールを経て、これまで党内にあった“協力できないなら徹底的に排除すべき”という民衆党陣営への考え方は消え去るだろう」と語っており、民衆党主席・黄国昌氏の政治的影響力は今後ますます高まると見られる。たとえ国民党が黄氏の主張に賛同しない場合でも、少なくとも今後は友好かつ敬意ある態度を取る必要があるという認識が党内に広がっている。

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