イスラエル「1日10時間の停戦」の現実 ガザで物資受領中の市民1000人超が死亡 国連が非難

2025-07-29 11:00
2025年7月27日、人道支援車列がガザ地区北部からガザ市に到着し、パレスチナ人が降ろされた小麦粉袋を運搬している。(写真/AP通信提供)
2025年7月27日、人道支援車列がガザ地区北部からガザ市に到着し、パレスチナ人が降ろされた小麦粉袋を運搬している。(写真/AP通信提供)
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イスラエルは27日、ガザの3つの人口密集地域で毎日10時間の「戦術的停止」を実施すると発表した。この措置により人道支援を拡大し、飢餓の緩和を目指すとしている。ネタニヤフ首相は、この支援が「最低限度」であることを強調し、外部からの政策の譲歩と受け取られないようにした。《ガーディアン》紙によると、ガザの住民からは冷ややかな反応が示され、国連や複数の人道団体も、この措置が実際の飢餓問題を解決するには不十分であると疑問を呈している。援助の規模と実際のニーズには依然として大きなギャップがあると指摘され、援助機関はこれを「戦術的操作」と見なす声も上がっている。

イスラエル軍が毎日10時間停戦、ガザ住民は悲観的

外界のガザ人道危機への関心が高まる中、イスラエルは27日、同地域の3つの人口密集地で毎日10時間の「人道停止」を実施すると発表した。これにより援助物資の供給が可能となる。軍の発表によると、停止時間は毎日午前10時から午後8時までで、対象となるのはガザ市(Gaza City)、ディールバラ(Deir al-Balah)、ムワシ(Muwasi)の3つの地域である。

また、イスラエルは空中投下による補給を再開し、海水淡化施設を稼働させ、人道的な通路を開放して、国連によるガザ内での援助物資の配送を支援するとしている。これらの措置は、飢餓問題に対応するための「技術的調整」と位置付けられている。

2025年7月22日、北ガザのパレスチナ人が支援物資トラックにしがみつく様子(AP通信)
2025年7月22日、北ガザのパレスチナ人が支援物資トラックにしがみつく様子(写真/AP通信提供)

しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は声明で、これらの援助が「最低限度」であることを強調し、当局が人道活動の規模を拡大する意図がないことを示すとともに、外部からの政策の譲歩と見なされることを避けようとしていることを明言した。連立政府内部の右派の圧力を受け、イスラエルの立場は引き続き強硬である。《ガーディアン》紙は、ガザの住民にとって、この政策発表がもたらす変化は微々たるものであると指摘している。現地の数学教師で7人の父親である男性は、「援助が一、二週間続いたとしても、現状を変えることはできない。飢餓はすでに想像を超えている」と述べている。

国連世界食糧計画(WFP)は、今回の新たな措置がわずかな改善をもたらす可能性があるものの、現行の規模では飢餓の災難に対処するには十分でないと指摘している。また、人道支援の担当者は、イスラエルが一部制限を緩和したものの、今後も安定して支援を開放し続けることができるかどうかは不透明であるとも述べている。 (関連記事: ガザで前代未聞の飢餓:2時間に1人死亡! 骸骨のような子どもが病室に溢れ、イスラエルが援助制限で「徐々に餓死」 関連記事をもっと読む

飢餓が全域に拡大、医療体制は限界

国連と人道団体は、ガザ地域が全面的な飢餓の段階に入ったと報告しており、すでに少なくとも133人が飢餓で命を落としている。そのうち半数以上が子供である。10歳の少女が7月27日の朝に飢餓で亡くなり、骨と皮だけの体で腹部が膨らんだ遺体の写真が世界中に衝撃を与え、イスラエルへの強い非難を呼び起こした。世界食糧計画(WFP)は、現在約9万人の女性と子供が栄養治療を必要としており、3人に1人は何日も食事が取れていないと推定している。

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