第21回大阪アジアン映画祭が8月29日から9月7日まで大阪市内で開催され、最終日のクロージング・セレモニーをもって閉幕した。10日間にわたり、アジア各国・地域から多彩な作品が上映され、多くの観客を魅了した。
クロージングでは授賞式が行われ、グランプリ(最優秀作品賞)には『最後の夏(The Last Summer)』が選ばれた。審査員は「脚本が非常に魅力的であり、監督の一貫した演出は冒頭からラストまで観客を強く惹きつけた」と高く評価した。
来るべき才能賞は『寒いのが好き』のホン・ソンウン監督が受賞。「独創的なストーリー展開力を見せつけ、次回作が待ち遠しい」と評された。また、スペシャル・メンションには現代中国社会を背景に普遍的なテーマを描いた『世界日の出の時(All Quiet at Sunrise)』が選ばれた。
個人賞では、『サンシャイン』主演のマリス・ラカルが演技力を評価され、「その存在感が作品に信頼性を与え、観客を物語に引き込んだ」と称賛された。薬師真珠賞には『アイ、ザ・ソング』のタンディン・ビダが選ばれ、深い人物理解に基づく演技が高く評価された。
日本作品からは田中未来監督の『ジンジャー・ボーイ』がJAPAN CUTS Awardを受賞。短編部門では『初めての夏(First Summer)』が芳泉短編賞を獲得し、スペシャル・メンションとして『ミルクレディ(Milk Lady)』と『ブルー・アンバー(Blue Amber)』が表彰された。観客賞は『嘘もまことも(Truth or Lies)』が受賞した。
クロージング作品には、シンガポール発のドラァグクイーンと家族の再生を描いた『好い子』が世界初上映され、ワン・グォシン監督と出演者のリッチー・コー、ホン・フイファンが舞台挨拶に立った。ワン監督は「観客の皆さんにシンガポールの家族の温かさと優しさを感じてほしい」と語り、会場は大きな拍手に包まれた。
次回、第22回大阪アジアン映画祭は2026年度に開催予定であり、2025年度内(2026年3月)の開催は行われないことが発表された。
編集:梅木奈実 (関連記事: 第21回大阪アジアン映画祭 クロージング作品はシンガポール映画『好い子』 世界初上映に大きな拍手 | 関連記事をもっと読む )
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