東京都と東京都歴史文化財団は9月12日、東京駅前の行幸通りで伝統的な祭りや芸能を一堂に披露する大型イベント「TOKYO わっしょい」を開幕した。会期は14日までの3日間で、翌13日に開幕する世界陸上東京大会を前に、国内外の来場者に江戸文化の魅力を発信する。

初日は江戸消防記念会が登場
オープニングを飾ったのは、町火消しの伝統を継承する江戸消防記念会である。木遣りや纏振りに加え、高さ6メートルを超える梯子乗りを披露し、勇壮な妙技で観客を魅了した。会期中には、江戸三大祭とされる山王祭(江戸橋會)、神田祭(神田明神)、三社祭(浅草千和町會・浅草町一町會)の神輿渡御をはじめ、神楽や田楽、盆踊りなど多彩な芸能団体が次々と登場し、江戸文化の多様な魅力を伝える。

林家たい平氏がアンバサダーに就任
オープニングセレモニーには、アンバサダーを務める落語家の林家たい平氏が法被姿で登壇した。たい平氏は「祭りが三度の飯より大好きな林家たい平です!」と自己紹介し、「大都会東京には本当に多くのお祭りがある。全国や世界から訪れても、なかなか良いタイミングで巡り会えない人もいる。この機会に東京の伝統文化、伝統芸能を存分に堪能していただきたい」と呼びかけた。

さらに「僕は晴れ男なので雨の心配はいりません。盛り上がれば盛り上がるほど雲はどこかへ行ってしまいます」と笑いを誘い、「祭りは一緒に盛り上がることが大事。輪の中に入って、一体感を楽しんでほしい」と語り、会場を和やかな雰囲気に包んだ。その後、オープニングパフォーマンスとして江戸消防記念会が登場。木遣りや纏振り、さらに高さ6メートルを超える梯子乗りといった町火消しの伝統演目を披露し、勇壮な技で観客を魅了した。
たい平氏は「江戸の華と言われる火消し。東京にいてもなかなか見られない貴重な演技」と紹介し、その迫力を称えた。さらに、パフォーマンスを見守っていたたい平氏自身も急きょ梯子乗りに挑戦することに。観客の拍手に後押しされながら高い梯子に登り、片手を離してバランスを取る大技を披露すると、大きな歓声が沸き起こった。挑戦を終えたたい平氏は「縁起のいい感じがしました。一生に一度もできないような体験ができた」と笑顔で語り、会場を大いに盛り上げた。
小池知事「東京の独自性と多様性を世界に」
続いて登壇した小池百合子東京都知事は、「いよいよ明日から待ちに待った世界陸上大会が開かれます。そしてその前夜祭とも言えるように、今日から3日間、この行幸通りで東京・江戸の祭りを皆さんに楽しんでいただきたい」と述べ、会場に集まった観客へ笑顔で呼びかけた。

さらに「江戸・東京には天下祭と呼ばれる山王祭、神田祭、三社祭をはじめ、約20もの個性豊かなお祭りがある。このイベントを通じて、東京の祭りの独自性と多様性、そして世界に誇る江戸文化の素晴らしさ、奥深さを感じてほしい」と強調。最後には観客と共に「東京!―わっしょい!」と拳を突き上げ、会場を盛り上げた。
「TOKYO FORWARD 2025」の一環

「TOKYO わっしょい」は、東京都が展開する「TOKYO FORWARD 2025 文化プログラム」の一環である。東京2020大会の文化プログラムを継承・発展させた取り組みであり、今年は世界陸上とデフリンピックが東京で開催される節目に合わせ、都市の文化的魅力を世界に発信する役割を担っている。
編集:梅木奈実
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