陸文浩氏の視点:中国、八カ国連合軍と対峙 島嶼線内外で緊張スパイラルがエスカレート

2025-09-17 15:02
中国本土の航空母艦「福建」。(映像スクリーンショット)
中国本土の航空母艦「福建」。(映像スクリーンショット)

中国海軍によれば、国産初の電磁カタパルト搭載空母「福建」が9月12日に南下し、「科研試験と訓練」を実施すると発表した。14日からは海南省陵水沖で艦載機の離着艦訓練に入る予定だ。同日、台湾海峡を南下する「福建」を米英の作戦艦隊が追尾し、翌13日には中国東部戦区が台湾周辺の海空域で演習を強化する動きにつながった。

一方、日米は11日から25日まで日本列島各地で共同防衛演習を実施しており、米軍は日本配備の中距離ミサイルによる試験も予定している。加えて、英米日の艦艇が沖縄東方での共同演習に参加したことを受け、中国北部戦区は渤海や黄海の35カ所で軍事演習を展開。第一列島線を軸に、中国は日本、米国、英国、オーストラリア、スペイン、ノルウェー、カナダ、フィリピンの八カ国の軍事的プレゼンスと対峙し、軍事的な緊張が「臨戦螺旋」ともいえる形で加速している。

「福建」は9月10日午後に上海の江南造船所を出港し、浙江・舟山沖で東部戦区海軍の駆逐艦「杭州」(136)と「済南」(152)に随伴されて釣魚台(尖閣諸島)周辺を経由して台湾海峡を南下。この動きは日本の警戒を呼び起こした。昨年「山東」空母が南シナ海で最終訓練ののち就役した経緯を踏まえれば、「福建」が海南・三亜基地を拠点に年内にも就役するのではないかとの観測が広がっている。

当初、航路は北上して第9次海上試験を続けるのか、あるいは南下して「九一八事変」や国慶節に合わせて就役するのか注目されたが、12日朝に中国海軍報道官が「南シナ海で科研試験と訓練を行う」と発表し、憶測に一定の区切りをつけた。

中国のSNSでは10日から、「福建」が複数のタグボートに曳航され出港する映像が流れ、航跡情報や空撮から南へ向かっていると指摘されていた。その後、11日午後には日本防衛省統合幕僚監部が、「福建」と2隻の駆逐艦が釣魚台の北西約200キロを南西に航行していると公表した。

台湾国防部は通常のように即時発表を行わなかったが、中央社の取材に対しては「福建の通過を把握し、必要な対応を取っている」と回答。ただし公式サイトでの発表は行わなかった。これにより、「福建」は「遼寧」「山東」に続き、尖閣周辺を通過した3隻目の中国空母となった。

9月12日、日本の林芳正官房長官は「冷静かつ毅然と対応する」と述べ、自衛隊の防衛力強化を急ぐ姿勢を示した。「福建」と随伴艦が尖閣近海を航行したことで、日本への軍事的威圧は一段と高まったとみられる。 (関連記事: 陸文浩の視点:福建艦の海上試験は北上か南下か 英米日韓の艦隊が黄海・東シナ海に集結 関連記事をもっと読む

「福建」が台湾海峡を通過して南下する中、日米同盟は本土各地で共同演習を実施。さらに英国空母も沖縄東方で日米と合同演習を展開した。これに呼応する形で、中国北部戦区も渤海や黄海で頻繁に演習を行い、米軍が日本本土で中距離ミサイル試験を実施することへの強い警戒感を示している。

さらに、日本海上自衛隊第5航空群所属のP-3C哨戒機は、9月11日に共軍空母「福建」が尖閣諸島北西の海域を南西へ進み、台湾海峡北口へ向かう動きを確認した。随伴したのは東部戦区海軍所属の駆逐艦2隻で、956E型の「杭州」(136)と052C型の「済南」(152)であった。

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