トップ ニュース 陸文浩氏の視点:中国、八カ国連合軍と対峙 島嶼線内外で緊張スパイラルがエスカレート
陸文浩氏の視点:中国、八カ国連合軍と対峙 島嶼線内外で緊張スパイラルがエスカレート 中国本土の航空母艦「福建」。(映像スクリーンショット)
中国海軍によれば、国産初の電磁カタパルト搭載空母「福建」が9月12日に南下し、「科研試験と訓練」を実施すると発表した。14日からは海南省陵水沖で艦載機の離着艦訓練に入る予定だ。同日、台湾海峡を南下する「福建」を米英の作戦艦隊が追尾し、翌13日には中国東部戦区が台湾周辺の海空域で演習を強化する動きにつながった。
一方、日米は11日から25日まで日本列島各地で共同防衛演習を実施しており、米軍は日本配備の中距離ミサイルによる試験も予定している。加えて、英米日の艦艇が沖縄東方での共同演習に参加したことを受け、中国北部戦区は渤海や黄海の35カ所で軍事演習を展開。第一列島線を軸に、中国は日本、米国、英国、オーストラリア、スペイン、ノルウェー、カナダ、フィリピンの八カ国の軍事的プレゼンスと対峙し、軍事的な緊張が「臨戦螺旋」ともいえる形で加速している。
「福建」は9月10日午後に上海の江南造船所を出港し、浙江・舟山沖で東部戦区海軍の駆逐艦「杭州」(136)と「済南」(152)に随伴されて釣魚台(尖閣諸島)周辺を経由して台湾海峡を南下。この動きは日本の警戒を呼び起こした。昨年「山東」空母が南シナ海で最終訓練ののち就役した経緯を踏まえれば、「福建」が海南・三亜基地を拠点に年内にも就役するのではないかとの観測が広がっている。
当初、航路は北上して第9次海上試験を続けるのか、あるいは南下して「九一八事変」や国慶節に合わせて就役するのか注目されたが、12日朝に中国海軍報道官が「南シナ海で科研試験と訓練を行う」と発表し、憶測に一定の区切りをつけた。
中国のSNSでは10日から、「福建」が複数のタグボートに曳航され出港する映像が流れ、航跡情報や空撮から南へ向かっていると指摘されていた。その後、11日午後には日本防衛省統合幕僚監部が、「福建」と2隻の駆逐艦が釣魚台の北西約200キロを南西に航行していると公表した。
台湾国防部は通常のように即時発表を行わなかったが、中央社の取材に対しては「福建の通過を把握し、必要な対応を取っている」と回答。ただし公式サイトでの発表は行わなかった。これにより、「福建」は「遼寧」「山東」に続き、尖閣周辺を通過した3隻目の中国空母となった。
「福建」が台湾海峡を通過して南下する中、日米同盟は本土各地で共同演習を実施。さらに英国空母も沖縄東方で日米と合同演習を展開した。これに呼応する形で、中国北部戦区も渤海や黄海で頻繁に演習を行い、米軍が日本本土で中距離ミサイル試験を実施することへの強い警戒感を示している。 さらに、日本海上自衛隊第5航空群所属のP-3C哨戒機は、9月11日に共軍空母「福建」が尖閣諸島北西の海域を南西へ進み、台湾海峡北口へ向かう動きを確認した。随伴したのは東部戦区海軍所属の駆逐艦2隻で、956E型の「杭州」(136)と052C型の「済南」(152)であった。
11日の通過を機に台湾海峡を南下すると見られ、多くの観測筋は「9月18日」や「10月1日」に就役の可能性を指摘した。しかし筆者は、電磁カタパルトを備えた初の通常型空母にとって、重要なのは記念日に合わせることではなく、技術の完成と実戦運用能力の確立だと考えている。そのため「福建」の就役は、両岸の軍事専門家や学者が期待するような日程にはならないとの見方を示した。
中国国内では「福建」が尖閣西方海域に姿を見せたことに神経を尖らせる声もあった。9月12日午前6時30分、中国海軍の冷国偉報道官(海軍大佐)は「福建は台湾海峡を通過し、南シナ海で科学研究試験と訓練を行う」と発表。「これは建造過程の通常任務であり、特定の目標を想定したものではない」と強調した。さらに同日午後、外交部の林剣報道官も「中国艦船の活動は国内法と国際法に完全に則している」と説明した。
とはいえ、「特定の目標を想定しない」という言い回しは、むしろ緊張を高めるサインとして受け止められるのが国際常識である。その後、「福建」が尖閣周辺を南下する中、中国海警は「海警1302」編隊を派遣し、釣魚島領海で権益保護巡航を実施した。
12日午前には、中国の自メディアが「米駆逐艦ヒギンズ」と英フリゲート「リッチモンド」が台湾海峡を北から南へ通過し、「福建」と約400キロの距離を隔てて航行していたと報じた。また衛星画像を引用して「福建」がすでに南シナ海に入ったと伝える情報も出回った。三亜(楡林)基地で補給するなら13日に到着の見込みだったが、14日には軍事ファンが海南島陵水基地沖で同艦を目撃している。
同日夜22時20分、東部戦区の施毅報道官(陸軍大佐)は「米英両艦が台湾海峡で挑発行為を行ったため、海空兵力が全行程を監視・警戒し、効果的に対処した。彼らの行動は誤ったシグナルを発し、台海の平和と安定を損なった。我々は常に高度警戒を維持し、国家主権と安全、地域の安定を断固守る」と発表。米英が「福建」を追尾したことを挑発と断じた。
台湾国防部も12日、共機31機(うち25機が中線を越えて北部・中部・南西空域に進入)、共艦13隻、公務船3隻の活動を確認。筆者の分析によれば、この日だけで戦闘機やヘリ、無人機計28機が浙江から福建沿岸、台湾海峡一帯に展開し、その多くが米英艦隊を監視していた。また午後には対潜哨戒機とみられる3機が台湾南西空域で活動していた。
米国はかつて単艦で台海を通過していたが、西太平洋での影響力低下に伴い、共軍の包囲を避けるため多国連携による2隻編成の通過に切り替えつつある。とはいえ実際の有事には、福建沿岸の総合戦力によって台海は封鎖状態に陥る可能性が高い。今回の米英2艦の南下は「福建」を追尾する意図が透けて見える。
13日には東部戦区が通常通り「統合警備パトロールと海空合同訓練」を実施。H-6爆撃機群が長距離対艦ミサイルを搭載し、米空母を想定した模擬攻撃を行ったと推測される。殲-16戦闘機や電子戦機が護衛につき、西太平洋での「遠海長航」任務を担った可能性もある。
この日、中国艦艇と公務船は計20隻に達したが、航空機の出動は20機余りにとどまり、エスカレーションは避けられた。防衛省によれば、無人機1機が尖閣西方から与那国島と台湾の間を抜け、蘭嶼東方で反転して東シナ海に戻った。与那国や石垣など日米の配置を監視したとみられるが、一部自メディアは早期警戒機「空警-500」が台湾東部を偵察したと誤情報を流した。
なお、英艦が空母打撃群の一部である場合、今後は日米との沖縄東方訓練に参加後、南シナ海に進出し合流する可能性がある。
中国が列島内外で多国の軍事力と対峙し、臨戦態勢の緊張が高まり続けている様子。(筆者提供) 筆者は「福建号」の動向を追う過程で、もう一つ注目すべき焦点に気づいた。
それは、「福建号」空母が9月10日に出港する3日前、すなわち6日頃から、中国軍が黄海と渤海で実施する軍事任務、演習、実弾射撃などに関する情報を、各地の海事局が一斉に相次いで発表し始めたことである。
実は9月2日、イギリスの空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が東京から津軽海峡を経て日本海に入ったのを皮切りに、筆者は共軍北部戦区が管轄する渤海・黄海海域での動きを注視してきた。9月3日から15日0時までに発表された公告を整理すると、軍事演習が12件、軍事任務が10件、実弾射撃が9件、軍事活動と軍事行動がそれぞれ2件ずつ、合計35件にのぼる。以下、簡潔にまとめる。
煙台海事局は9月5日、渤海・莱州港で9月7日に499平方キロメートルの範囲で演習を実施すると告示。
葫蘆島海事局は10日、渤海で9月11日2時~10時に2666平方キロメートルと6101平方キロメートルの2カ所、さらに同日11時~21時に234平方キロメートルの範囲で活動すると発表。 11日には、9月13日0時~15日24時に76.3平方キロメートル、117平方キロメートル、11.7平方キロメートルの3カ所で演習予定と告知。 12日には、渤海で9月13日0時~8時に389平方キロメートルの演習を告示。 13日には、9月16日0時~18日24時に115平方キロメートル、117平方キロメートル、11.7平方キロメートルの3カ所。 14日には、9月15~16日毎日8時30分~18時30分に1043平方キロメートルの範囲。
大連海事局は9月5日、渤海と黄海北部で7日16時~21日16時まで1146平方キロメートルの範囲で活動すると公告。 6日には、渤海で8日12時~15日12時まで3735平方キロメートル。 11日には、黄海北部で13日0時~17日20時まで4860平方キロメートル。 14日には、渤海海峡で15日7時~24時に122平方キロメートル、さらに同日12時30分~13時30分と20時30分~21時30分に9.18平方キロメートル、15時~16時には26平方キロメートルの範囲を公告。 濰坊海事局は9月5日、渤海・濰坊港で8日0時~24時に102平方キロメートル。 唐山海事局は10日、渤海で11日0時~15日24時に234平方キロメートル。 秦皇島海事局は11日、渤海で13日0時~18日24時に115平方キロメートルと117平方キロメートルの2カ所。
(三)実弾射撃 濰坊海事局は9月3日、5日4時~22時に2169平方キロメートル、6日4時~22時に427平方キロメートルの2カ所で射撃と発表。
11日には、渤海で12日16時~13日12時、13日22時~14日12時に923平方キロメートルと257平方キロメートル。 12日には、渤海・濰坊港で14日18時~16日18時に524平方キロメートル。 塩城海事局は8日、黄海南部で10日~25日毎日6時~22時に819平方キロメートル。 9日には10日0時~24日24時に1292平方キロメートル。 大連海事局は9日、黄海北部で10日9時~12日10時に201平方キロメートル。 11日には、黄海北部で15日10時~19日12時に94平方キロメートル。
煙台海事局は11日、渤海・莱州港で15日~18日まで55.6平方キロメートルの範囲。 董家口海事局は12日、黄海で12日9時30分~15時に285平方キロメートル。
威海海事局は6日、渤海と黄海北部で7~9日毎日8時~16時に265平方キロメートルと669平方キロメートルの2カ所。
そして、「福建号」空母が出港した翌日、9月11日にその編隊が釣魚台近海を航行しているのを日本側が発表した。ちょうどその日、日米は「堅毅なる龍(Resolute Dragon 25)」と名づけた防衛合同演習を11日から25日まで実施すると発表していた。北海道、九州、沖縄諸島の3地域で、1万4000人を超える自衛隊員と約5000人の米軍人員が参加し、海兵隊、陸軍、海軍、空軍と幅広い兵種を動員。上陸作戦だけでなく、「ハイマース」高機動ロケット砲システム、M270多連装ロケット砲システム、日本の12式地対艦ミサイルを使った機動演習も行う。
さらに注目されるのは、米軍が山口県の岩国海兵隊航空基地に最新型「タイフーン」中距離ミサイルシステムを臨時配備し、テストを行う予定であることだ。これは2024年4月に米比合同演習でルソン島北部に同システムを配備して以来、第一列島線での2度目のケースであり、明らかに中国を想定したものだ。共軍北部戦区にとっては、黄海・東シナ海ラインでの封じ込め戦略が浮き彫りになった。
こうした日米の演習に続き、日本側は9月12日に「プリンス・オブ・ウェールズ」が沖縄近海に展開中に日米英3カ国の空軍による合同戦術訓練を実施し、防衛協力の仕組みをさらに強化すると発表。9月15日には、米・日・韓が「自由の刃(Freedom Edge)」と呼ばれる年次合同防衛演習を19日まで実施。韓国・済州島南東の国際海域で、空・海・サイバー領域にわたる連合作戦能力を高め、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対抗しつつ、インド太平洋地域の平和と安定を守る決意を示した。
以上のように、中国、日米英韓の軍事行動は相互に因果関係を持ち、海を隔てて激しいせめぎ合いを展開している。
最後に、中国海軍と外交部は「福建号」南下即時成軍説を公式に否定し、筆者が「九一八」や「十一」での就役はあり得ないとみる予測を裏付けた。
しかし奇妙なのは、「福建号」南下の意図について、国防部ではなく海軍が先に発表した点だ。中国の軍制改革の原則「軍委管総、戦区主戦、軍種主建」に照らせば、福建号は海軍建軍の核心戦力であるため、海軍報道官が説明することの方が専門性が高いと判断されたのだろう。
一部の軍事専門家や評論家は、「福建号」が東海から台湾海峡を経て南海で試験訓練を行うことに疑問を呈し、「東部戦区に配備される可能性があるのでは」と指摘したが、筆者はそうではないと考える。台湾海峡の管轄は東部戦区であり、上海の江南造船所からの北上・南下はこれまでも東部戦区が護衛してきた。今回も東部戦区第3、第6駆逐艦支隊の艦艇2隻が護衛にあたり、釣魚台周辺で日本に対する間接的な威嚇効果も果たした。
9月14日には陵水沖で艦載機の着艦を試みる様子が確認されており、今回の「訓練」が艦載機の発着訓練である可能性が高い。南部戦区の海南陵水空港は同戦区最大の航空基地であり、東部戦区の港湾が日米の射程圏に近いのと対照的に、南部戦区は良港を有し、空母配備に適している。したがって、福建号の東部戦区配備を懸念する必要はなく、むしろ南部戦区における「双空母」体制構築が急務となる。
さらに9月13日、湛江海事局が9月15日~30日毎日5時~7時に、湛江南東約100キロ、海口北東約41.7キロの範囲845平方キロメートルで試験活動を行うと発表。この公告が福建号の南海での科学研究・訓練と関連しているかは今後の情報を待つ必要がある。
筆者が締め切り直前に確認した9月15日9時頃の国防部発表では、共軍機26機(うち23機が中線を越えて北部・南西・東部空域に侵入)、共艦9隻、公務船1隻が台湾周辺で活動を継続。艦艇数は前日より減少したが、無人機が台湾の南北東空域で急増し、14日には釣魚台西北空域で2機、台湾南西から蘭嶼東南にかけて3機が活動、花蓮東方で旋回後に折り返す様子が確認された。また14日には東引東北から金門以南にかけて無人機と戦闘機計6機が活動し、台湾海峡北・南両段の中線を越える動きもあった。さらに、福建東山から広東南方の三角空域やバシー海峡を経てフィリピン海に進出する動きも観測され、13日に続き轟-6爆撃機や殲-16戦闘機が「遠海長航」を実施し、フィリピン海での日米英の活動に対応したとみられる。
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