トップ ニュース 陸文浩氏の見解:中国軍初の電磁カタパルト搭載076型強襲揚陸艦「四川」、11月以降に海上試験へ
陸文浩氏の見解:中国軍初の電磁カタパルト搭載076型強襲揚陸艦「四川」、11月以降に海上試験へ 中国人民解放軍の次世代076型強襲揚陸艦「四川」は昨年末に命名・進水し、11月以降の海上試験が見込まれている。(新華社)
中国初の電磁カタパルト対応の無人攻撃機を運用できる076型強襲揚陸艦「四川」が、10月20日から29日にかけて各重量の金属台車を使った発射試験を実施した。中国海軍の空母「福建」が電磁カタパルトの「赤い台車」試験から13日後に海上試験へ移行した経緯を踏まえると、「四川」も最短で11月に初の海試に入る可能性がある。
十数年前から中国軍は、米軍の「エアシー・バトル」構想を発展させ、艦載無人機を空母航空団に組み込む研究を進めてきた。「四川」は今後、この無人システムを両用戦にどう応用できるかを検証する試験艦として運用され、後続艦の改良や量産の基準づくりに活用される見通しだ。
まず、中国のネット上では、076型「四川」が9月時点で飛行甲板上の仮設足場を撤去したとの情報が出ている。電磁カタパルトや関連装備の設置と検査がすでに完了したことを示す動きとみられる。
その後、上海海事局は10月18日23時9分に公告を出し、長江河口で20日から29日まで毎日9時から17時まで、長興島の滬東中華造船所前の水域で水中作業を行うと発表した(滬航警725/25)。
公告によると、作業区域は31-19.80N 121-45.10E、31-19.55N 121-44.77E、31-19.43N 121-44.90E、31-19.70N 121-45.21Eの四点で囲まれる範囲で、期間中は無関係の船舶の進入を禁止。通航船舶に注意を促した。設定された禁航区は約19.5ヘクタールと比較的狭い範囲にとどまる。
次に、空母「福建」は今年(2025年)1月19日から2月16日までの29日間、ドックで清掃や整備を実施。2月17日に出渠した後、25日17時4分に上海海事局が「滬航警133/25(長江口)」として、2月26日11時から14時30分、2月27日から3月4日までの各日6時から18時の間、江南造船所前の水域(約0.654平方キロメートル)で交通を制限すると発表した。無関係の船舶は進入を禁止された。
3月4日の試験終了から13日後の3月17日10時21分、上海海事局は「滬航警189/25(長江口)」を発表し、「福建」が翌18日に渤海へ向けて第7次海上試験を行うことを明らかにした(関連報道:J-15事故の影響を受けず 中国軍が「福建」空母の第7次海試を開始)。
この流れに照らすと、「四川」も10月20日から29日にかけて岸壁で金属台車の発射試験や回収、艤装作業を終えたのち、最短で11月に初の海試へ移行する可能性が高い。
さらに、「福建」の手順を一部省略し、長江口の南東に位置する東シナ海で近海の動力試験を行い、続いて黄海・渤海で外洋試験を実施する計画が検討されている。試験実施の時期は、艦の推進系統の完成度や造船所側の判断に左右されるが、補給艦や護衛艦の随伴が想定されている。
最近では、中国メディアに登場する軍事専門家や研究者の中から、「中国軍はすでに台湾への武力行使が可能な段階にある」との主張も聞かれる。ただ、過去10年以上にわたり国内外で発行されてきた中国軍事力報告書では、対台湾有事の時期や条件に関する議論が毎年のように繰り返されており、いわば恒例の論題となっている。中には、2035年を「台湾有事の高リスク期」とみなす意見もあるが、そうした専門家自身はその頃には引退しているともいわれる。
多くの中国の軍事専門家や軍事系ブロガーは、中国軍初の電磁カタパルト搭載艦となる076型強襲揚陸艦の就役によって、世界の海戦における無人機の戦術運用が大きく変わるだろうと指摘している。
中国軍初の電磁カタパルト装備076型強襲揚陸艦「四川」は、11月以降に海上試験に入る見込みだ。(著者提供)
中国の関連文献によれば、艦載無人機の運用構想は米軍の「エアシー・バトル」理論を発展させたもので、空母打撃群の攻撃範囲と制海能力を拡大し、作戦要員を敵の火力圏外に置くことを可能にする戦術とされている[1]。
筆者は若い頃から中国軍に関する軍事書籍を愛読しており、十数年前には、中国が20世紀末から米軍の各分野に関する資料を大量に収集し、翻訳・吸収していたことに気づいた。なかでも「エアシー・バトル」の概念は、西太平洋における高次の軍事作戦を想定し、中国の地域的な威圧や武力行使を抑止する狙いを持つもので、米国のみならず日本、オーストラリアなど同盟諸国も共有している。
その後、中国の軍事技術の進歩と、こうした理論研究の積み重ねが結びつき、過去10年で「海空一体戦」や「統合火力打撃」といった独自の軍事理論へと転化された。これらは、米日同盟による包囲を突破する戦略的手法として活用されている。最近では、第一列島線における米中の対立構図の中で、米軍が日本を同列島の主力と位置づけ、さらに韓国、台湾、フィリピン、オーストラリアなど周辺諸国の戦力を連携させて中国軍の太平洋進出を抑止しようとする動きも見られる。
中国は20世紀末から、米軍の戦略理論、各軍種の戦術、専門分野の文献を体系的に収集・翻訳し、関係機関に配布して検証を重ねてきた。その過程で、自国の技術水準に適した組織構造へと取捨選択を行い、装備体系を調整してきた。結果として、中国の軍事体系は「中国的枠組みを骨格に据えつつ、旧ソ連式装備を残し、思考面では米軍型を導入する」という形で進化を遂げている。かつて掲げられた「超英趕美(英国を超え米国に追いつく)」というスローガンの延長線上で、西側の軍事思想と技術を吸収し続けているのである。まさに「以其人之道、還治其人之身(相手の方法で相手に対抗する)」という思想を軍事的に実践しているように見える。ここ10年の変化を見る限り、中国には依然として成長の余地があるが、米軍の進歩は比較的緩やかだという印象を受ける。
上陸作戦の初動段階では、舟艇や車両、上陸用装甲車の損耗や人的被害が避けられない。このため、中国初の電磁カタパルトを備えた無人攻撃機運用型の076型強襲揚陸艦は、今後しばらくは演習や検証を目的とする訓練艦としての役割を担うとみられる。将来的には、無人水上艇を搭載して編隊行動を行い、前方偵察や機雷探知、上陸支援火力の任務を担う可能性もある。
注目されるのは、「四川」が舾装とカタパルト調整、無人攻撃機「GJ-21」などの準備を終え、筆者の予測どおり最短で11月、遅くとも中国国内で取り沙汰される12月末までに海上試験へ移行するかどうかだ。
電磁カタパルト搭載艦として建造される076型「四川」は満載排水量4万トン超で、建造は上海の滬東中華造船による。既存の075型も満載約4万トンで同じ造船所が担当し、東部戦区海軍の上海第5揚陸艦支隊には「海南(31)」と「湖北(34)」、南部戦区海軍の湛江第6揚陸艦支隊には「広西(32)」と「安徽(33)」が配備されている。これら075型が長江河口を出港する際、「福建」空母のような「大型船舶航行管制(滬航警XXX/XX)」の発表は見られなかったものの、出航時には「黄浦江・長江口で試航船XXXが滬東中華造船X号埠頭を出発し深水航路を下行—滬航警XXXX」、帰港時には「…同航路を上行し埠頭に接岸—滬航警XXXX」といった形式の公告が出されていた。
したがって、「四川」の海試移行を把握するには、同様の公告が出るかどうかに加え、現地で撮影を続ける軍事愛好家や海外アナリストの観測が手掛かりとなるだろう。
「四川」が海試に入れば、外洋で無人機の電磁発艦と着艦、アレスティング装置の試験が実施される見込みだ。有人機による固定翼の発艦・着艦を行うかについては、甲板の長さの制約から難しいとの見方もあるが、この点は今後も注目を集めることになりそうだ。
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