トップ ニュース 台湾憲兵部隊の舞台裏 スパイ摘発や軍紀問題で揺れ、蔡英文元総統の近侍が参謀長に起用
台湾憲兵部隊の舞台裏 スパイ摘発や軍紀問題で揺れ、蔡英文元総統の近侍が参謀長に起用 軍紀違反や内部論争が相次ぎ、憲兵部隊のイメージは近年大きく揺らいでいる。新たに参謀長を迎えた軍は、体制の立て直しを図っている。写真は示意であり、本文の事例とは直接関係しない。(写真/張曜麟撮影)
2025年8月1日、台湾の国軍将官人事異動のなかで、普段は注目度の低い憲兵部隊に大きな動きがあった。国防部資源司の人事部長を務めていた成家麒少将がセクハラ問題への関与で陸軍へ異動。その後任に憲兵参謀長の呂正芳少将が就き、呂氏のポストは憲兵204指揮官の文念宗少将が引き継ぐこととなった。
呂氏は2023年に少将へ昇進し参謀長に就いたが、当時は年次の浅さや言動の問題から内部に大きな不満を残していた。今回の文氏の起用は「修正回帰」と受け止められ、憲兵内部で再び力学の変化を引き起こしている。なぜ軍が文氏を参謀長に据えたのか、その背景に関心が集まっている。
文氏は台湾陸軍官学校の1992年入学組で、202指揮部の張純志少将や憲兵副指揮官の于大任少将と同期にあたる。これまでに憲兵202指揮部副指揮官、203指揮部指揮官、205指揮部指揮官、憲兵指揮部副参謀長、204指揮部指揮官などの要職を歴任してきた。特に蔡英文政権下で起きた「密輸タバコ事件」では、永和警衛室の主任・陳敏華氏が関与し処分を受けた際、文氏が後任として火消し役に就き、結果的に蔡氏の外部近侍のような役割を果たした経歴を持つ。今回の人事にも、こうした政治中枢との関わりが影響したとの見方がある。
蔡英文政権下の「密輸タバコ事件」で管理監督責任を問われ、大過処分を受けた当時の永和警衛主任・陳敏華氏(中央)。その後の少将昇進は大きな議論を呼んだ。(写真/蘇仲泓撮影)
「天下第一営」に走った亀裂 軍紀事件とスパイ摘発 憲兵部隊では近年、軍紀違反や自殺問題が相次いでいる。なかでも総統府を守る211営は「天下第一営」と称されてきたが、人員不足と過重勤務から違法な「二交代制(立哨二時間・休憩二時間)」が常態化し、報道でも取り上げられた。当時参謀長だった呂氏は立法院での特別報告で説明が二転三転し、最終的には「哨所勤務の実態を十分に把握せず、提供情報に齟齬があった」と認めざるを得なかった。
人員問題が収束した後も211営ではスパイ事件が発覚し、「最も規律正しい」とされてきた憲兵部隊のイメージは大きく傷ついた。呂氏は以前から「憲兵不正捜査事件」や、台北市前議員・童仲彥氏の事務所主任によるセクハラ事件で名前が取り沙汰され、昇進時にも内部から強い反発を受けていた。年次の浅さに加え、「憲兵らしさに欠ける人物」との評価が広がっていたのである。
呂正芳氏(写真)は憲兵司令部参謀長として在任中、説明の揺らぎや判断をめぐって波紋を広げた経緯がある。(写真/顏麟宇撮影)
指揮官が新参謀長を抜擢 「修正回帰」で憲兵の伝統を再建 当時、呂正芳氏が数多くの先輩将校を飛び越えて少将に昇進できたのは、前任の憲兵指揮官・周廣齊氏の強い後押しがあったからだとされる。しかし、呂氏は「前政権の人脈」と見られていたため、現任の憲兵指揮官・鄭禎祥氏には受け入れられなかった。国防部人事部長の成家麒氏がセクハラ問題で退任すると、鄭氏はこの機を逃さず呂氏を送り出し、参謀長の空席に自らの腹心である文念宗氏を起用した。
文氏はかつて鄭氏が特勤中心にいた頃から行動を共にしてきた部下であり、性格は内向的かつ慎重。国家安全局による厳格な審査を経て、永和警衛室外衛室主任を務めた後に少将へ昇進した経歴を持つ。文氏は1992年入学組(陸軍官学校81年班)で、呂氏(1996年入学組=85年班)より年次が上。今回の起用は「修正回帰」と受け止められ、軍関係者からも「外部の期待に沿った人事だ」との声が聞かれる。
さらに文氏は日課のように走り込みを続け、時には幕僚を伴ってランニングをするほどの愛好家として知られる。これは単なる趣味ではなく、自己管理の厳しさを物語っている。また、部下の指導においても他の将軍のように怒鳴り散らすことはなく、穏やかで冷静、実務に徹する姿勢が評価されている。上官からの指示があれば即座に実行に移す点も特徴だ。
憲兵参謀長の空席が生じた後、鄭禎祥氏(写真)は腹心の文念宗氏を後任に選んだ。(写真/柯承惠撮影)
内向的な新参謀長に試練 初の立法院で国防予算審査へ 参謀長の職務は、軍内部の統制だけでなく、立法院での質疑応答も求められる。間もなく開会する新会期は予算審査期にあたり、115年度の政府総予算が審議される。そのなかには過去最高額となる国防予算も含まれ、各軍の高官が立法院で答弁に立つことになる。陸・海・空三軍の参謀長はこれまで立法院での答弁経験があるが、文氏にとっては今回が初めての挑戦となる。
内向的で慎重な性格の文氏が、朝野の立法委員との議論を切り抜けられるかが最初の試練となるだろう。憲兵は国軍で唯一、軍法と司法警察の権限を兼ね備えた部隊であり、首都防衛という重責を担っている。しかし近年は不祥事やスパイ摘発が続き、イメージが大きく損なわれてきた。今回、鄭氏が前政権人脈を排除し、自らの信頼する部下を登用した人事は「憲兵の伝統を立て直す修正回帰」になるのか。今後の動向に注目が集まっている。
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