台湾の国民党主席選挙の登録が正式に締め切られ、前立法委員の鄭麗文氏、現職立法委員の羅智強氏、前彰化県長の卓伯源氏、前副主席の郝龍斌氏、元国大代表の蔡志弘氏、そして孫文学校総校長の張亞中氏の6名が出馬を確定させた。だが今回の主席選挙は「分裂選挙」となっており、公職者や党内派閥の多くは穏健派の郝氏を支持する一方、基層支持者の多くは世代交代を求め、弁舌に優れる鄭氏の登場を待望している。中でも最も注目されるのは、2028年総統選挙で国民党の候補に擬せられる台中市長・盧秀燕氏が誰を支持するかである。『風傳媒』の取材によると、盧氏は21日に郝龍斌と会談し、彼の穏健な「造后者」路線を支持して2026年の選挙を安定させ、2028年の勝利を目指すことを確認した。
党関係者によれば、今回の主席選は「世代交代」と「穏健安定」という二つの路線の対立構図となっている。ただし、党職や公職の多くは郝氏に傾いている。これは、国民党が2016年に下野して以来、歴代主席が党務費の削減や若返り、組織改革を断行し、2022年の地方選や「惡罷31対0」といった大勝利を収めてきた実績があるためだ。2024年総統選で侯友宜氏が敗北しても、党主席・朱立倫氏に全面的な責任を負わせるのは難しい。現状では民進党に勝つためには「藍白連携」(=国民党〈藍〉と民衆党〈白〉の協力)が不可欠であり、2024年に連携が破綻したことも特定の人物の責任にはできないとされる。
この関係者はさらに、「これまでの改革は十分に成果を上げており、新たな改革は不要」と指摘。そのうえで「報道は少ないが、民進党・賴清徳総統の下で国政は混乱し、党内抗争も深まっている。いま国民党に必要なのは候補者を不安にさせない穏健な主席だ」と強調した。盧氏が最初に郝氏を訪ねたのも、この安定志向を示すためだという。郝氏の主張は党内で爆発的な人気を呼ぶものではないが、2026年と2028年の選挙において最も安定感のある選択肢とみられている。
また『風傳媒』によれば、国民党団の總召・傅崐萁氏はすでに郝氏支持を表明。立法院の委員会や党内集会の場で郝氏への支持を呼びかけている。さらに19日には前立法院長の王金平氏を訪ね、支持を求めたものの、この働きかけは成果に至らなかったという。
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