東京六大学野球秋季リーグ戦は21日、神宮球場で第2週第2日の第2試合が行われ、明大が東大を10―0で下して勝ち点1を獲得した。初回に4連打で先制すると、その後も打線が勢いを保ち、計15安打10得点の猛攻を展開。投手陣も大室亮満(2年=高松商)をはじめ4投手が盤石のリレーで零封し、攻守で相手を圧倒した。観衆は7000人だった。

大室が5回無失点 急遽先発で役目果たす
先発を任されたのは身長188センチの長身左腕・大室亮満。春季は救援登板が主だったが、ドラフト候補・高須大雅(4年=静岡)のコンディション不良により白羽の矢が立った。初回に安打を許すも、すぐさまけん制で走者を刺すとリズムを取り戻し、以降は打者15人を完璧に封じ込めた。五回まで無失点の好投を見せ、堂々と役割を果たした。東大・大久保裕監督は「大きいから角度があり、なかなか打てない」と脱帽。戸塚俊美監督も「大室が投げるから皆で助けてやれ」と試合前に檄を飛ばしており、チーム全体で先発を盛り立てた。
打線は序盤から爆発 光弘が一振りで試合決定づけ
打線は初回、榊原(3年=報徳学園)、小島大河捕手(4年=東海大相模)、宮田知彌外野手(4年=横浜)、岡田啓吾(3年=前橋育英)の4連打で2点を先制。二回にも岡田が左翼線への適時二塁打を放って追加点を奪い、主導権を渡さなかった。岡田はこの日4安打をマークし、新1番打者として打線を牽引。「1番として出塁し、つなぐ役割を果たせた」と胸を張った。

さらに四回には再び岡田の適時打で加点。七回には宮田の適時打のあと、光弘帆高(3年=履正社)が右翼へ豪快な3ランを叩き込み、一気に勝負を決めた。光弘は「ずっと結果が出ていなかったので、思い切って振り切った」と振り返り、計4打点の大活躍を見せた。九回にも光弘の適時二塁打などで2点を追加し、終始攻撃の手を緩めなかった。
久野が2年ぶり復帰登板 スタンドから「おかえり」コール
七回からは、トミー・ジョン手術を経て2年ぶりの復帰登板となった久野悠斗(4年=報徳学園)がマウンドへ。2023年10月22日以来、実に700日ぶりの神宮登板で、2回を2安打1死球無失点に抑えた。球速は最速140キロ台にとどまったが、「球速はまだ物足りないが、投げられただけで収穫。点差もあり落ち着いて投げられた」と笑顔を見せた。スタンドからは「おかえり、ひさの」と温かい声援が飛び、両親もその姿を見守った。戸塚監督も「地道にリハビリを続けてきたのを知っている。本当にうれしい。先発できるぐらいまで戻ってくれたら」と期待を寄せた。
また、右肩に不安を抱えていた松本直(3年=鎌倉学園)も八回に登板し、1イニングを無失点に抑えるなど、投手陣に新たな光が差した。
慶大戦へ勢い維持なるか
投打が噛み合い、層の厚さを示した明大は、この勝利で勝ち点1を獲得。大室に先発の目処が立ち、久野や松本直の復帰も大きな収穫となった。戸塚監督は「苦しい時期を乗り越えて戻ってきた選手がいることはチームにとって大きい」と評価。次戦は常に苦戦を強いられる慶大戦。勢いそのままに「陸の王者」へ挑む姿が注目される。
編集:柄澤南 (関連記事: 【東京六大学野球秋季リーグ】法大が立大を4―1で撃破 片山悠真が父に続く神宮アーチ、浜岡陸の代打打も光る | 関連記事をもっと読む )
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