トップ ニュース 防衛省有識者会議が抜本強化を提言 無人アセット導入、VLS潜水艦、太平洋側防衛の拡充を提示
防衛省有識者会議が抜本強化を提言 無人アセット導入、VLS潜水艦、太平洋側防衛の拡充を提示 2025年7月10日—防衛省。(写真/黄信維撮影)
日本政府の「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」は9月19日、報告書を取りまとめて防衛省に提出した。ロシアのウクライナ侵攻の長期化や中国・北朝鮮の活動活発化など、情勢がかつてない速度で変化する中で、日本の抑止力と対処力を抜本的に高める必要があると強調。無人アセットの本格導入、垂直発射装置(VLS)搭載潜水艦、太平洋側での防衛体制強化といった装備面に加え、組織改革、産業基盤、人材確保まで幅広い提言を盛り込んだ。
抑止力・対処力を底上げ 報告書は「戦争を起こさせない抑止力の確保が最重要」と明記。反撃能力を抑止の要と位置づけ、計画的な整備を求めた。併せて長期戦への備えとして継戦能力の確保が不可欠だとし、弾薬・燃料の備蓄態勢を強化するよう提言した。
ウクライナ戦争の教訓を踏まえ、無人機や無人水中システムの早期導入、AIを活用した運用モデルの構築、国産化も視野に入れた短サイクル開発の推進を要請。法制度上の制約を洗い出し、運用面の課題解決を急ぐべきだとした。
VLS搭載潜水艦と太平洋側の防衛強化 潜水艦については、長射程ミサイルの搭載を可能にするVLS搭載型の導入検討を提起。動力は従来方式にとらわれず、次世代動力の研究開発も進めるべきだとした。中国海軍の太平洋での空母運用を念頭に、太平洋側での防衛体制整備を急務と位置づけ、小笠原周辺での防空識別圏の設定や監視体制の強化にも言及した。
組織改革と人材の確保 統合作戦司令部の新設など組織改革を進め、無人化やAI導入を前提に最適な運用体制を構築する必要性を強調。自衛官の処遇改善や退職自衛官の再雇用拡大を通じて人材を確保し、宇宙・サイバー・AIに通じた専門人材の積極採用を促した。若年層への理解浸透に向け、SNSやVRを活用した広報も求めている。
防衛産業・技術基盤の強化 防衛産業を産業政策・経済安保政策の一環として位置づけるべきだとし、中小企業の参入促進や国営工廠の検討、産学官連携による研究開発の加速を提案。装備移転では「同志国・自由民主主義を共有する国への移転は制限を設けない考え方も一案」と踏み込み、国際共同開発やサプライチェーンの強靭化を進めるよう求めた。
また、防衛費増額が経済成長を牽引する「好循環」を生み出すべきだとして、防衛力強化と経済の関係を定量的に検証するEBPM(証拠に基づく政策立案)の推進を明記した。
国民への説明責任 「GDP比2%」の防衛費目標は国家意思の表れと評価。効率的な執行やコスト削減の努力を重ねつつ、国民に便益を分かりやすく説明することが重要だとした。防衛費は単なるコストではなく「将来を守るための投資」であり、理解の醸成を重視すべきだと結んでいる。
本報告書は、さらなる抜本強化に向けた中間的な提言。防衛省は今後、内容を踏まえ次期の防衛戦略・防衛力整備計画に反映させる見通しだ。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒
最新ニュース
「台湾有事はアメリカ有事」 新国防戦略、台湾防衛を表明―米軍が中国の台湾奪取をどう阻止するか アメリカの「国家防衛戦略(NDS)」は、歴代政権が防衛・外交の基本方針を定め、各会計年度の国防予算編成を方向づける中核文書である。トランプ政権は近く第2期の新版NDSを公表する予定で、ヘグセス国防長官が最終案を取りまとめている。2018年版と比べ、今回の戦略は「アメリカファースト」および「力による平和」の理念を継承するとともに、「中国による台湾の武力奪取を抑......
自民党総裁選公開討論会 5候補が経済・外交・安全保障で激論、党再生への道を示す 自民党総裁選(10月4日投開票)に立候補した5人の候補者が9月24日、日本記者クラブ主催の公開討論会に臨み、経済政策や成長戦略、社会保障制度改革、外交・安全保障など幅広い分野で約2時間にわたり論戦を繰り広げた。会場には多くの報道関係者が詰めかけ、オンラインでも中継された。党の基盤が弱体化する中、野党との連携をどう具体的に進めるかも注目され、各候補はそれぞれの......
論評:台北上海都市フォーラムが停滞――民進党はなぜ焦りを見せるのか 台北と上海の「台北上海都市フォーラム(台北上海双城論壇)」を3日後に控え、台北市政府が突如、MOUの事情を理由に延期を発表した。理由については諸説あり、頼清徳政権と台北市政府が互いに責任をなすり合う展開となった。意外だったのは、民進党が神経を尖らせた点だ。この一件は、頼政権の対中政策の混乱を映し出す「鏡」でもある。片方では中国を「域外の敵対勢力」と位置づけ、......
日本初「炎上展」が池袋で10月11日開幕へ SNS時代の“燃える体験”をリアルに再現 炎上をテーマにした“日本初”の体験型展示イベント『炎上展』が、10月11日から東京・池袋の「Mixalive TOKYO」で開催される。SNS時代に誰もが抱く「バズりたい。けど、燃えたくない」という感情を切り口に、多彩な展示を実際に体験できる内容となっている。会期は11月9日まで。本展では、来場者が「もし自分が炎上したら」という状況を体感できるよう、寝そべっ......
シンガポールのウォン首相、台海情勢に警鐘 「米中は台湾独立を抑止」「衝突ならアジアに波及」 シンガポールのローレンス・ウォン首相は、19日付の米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』のロングインタビューで、世界はより対立的で予測が難しい多極化の時代に入っていると強調した。台湾問題は地域衝突の主要な引火点だとして、米中をはじめ各国が台湾独立を阻止すべきだと呼びかけた。「台湾独立は中国にとって最も越えてはならない一線だ」との見方を示した。グローバル化の......
9月25日限定!スカイツリーSDGs特別ライトアップ 17色の光で夜空を彩る 東京スカイツリーを運営する東武タワースカイツリー株式会社(本社・東京都墨田区、新家章男社長)は、国連が持続可能な開発目標(SDGs)を採択した9月25日に合わせ、「SDGs特別ライティング」を実施すると発表した。特別ライティングは9月25日(木)18時30分から24時まで点灯。SDGsを象徴する17色の光が3秒ごとに切り替わり、夜空を彩る。公式YouTube......
台湾・花蓮で再びせき止め湖越流の恐れ 残水3100万トン、決壊リスク高まる専門家警告 台湾・花蓮県の馬太鞍渓で23日午後に発生したせき止め湖の越流は、24日にも再び発生し、下流の光復郷で被害が拡大した。これまでに洪水で台9線の馬太鞍渓橋が流失、市街地は黒い泥流に飲み込まれ、死傷者が多数出ている。依然として100人以上が行方不明となっており、中央・地方政府による救助活動が続くなか、せき止め湖そのものの潰壊リスクが大きな懸念となっている。馬太鞍渓......
台風18号影響の花蓮洪水 せき止め湖に再び越流の恐れ 台湾鉄道一時運休も再開 台湾・花蓮県馬太鞍渓で23日午後に発生したせき止め湖の越流災害について、中央災害応変センターは最新の統計で死者14人、行方不明124人と発表した。犠牲者は光復郷の敦厚路や佛祖街の住民に集中しており、現在も救助隊による徹底的な捜索が続いている。花蓮せき止め湖に再び越流の恐れ?台湾鉄道が一時運休、最新状況は24日午前、せき止め湖に再び溢流の恐れがあるとの情報が入......
WBC2026東京ドーム、日本戦チケットは最高176万円 全4試合パックも販売開始へ 2026年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の東京ドーム試合に関するチケット販売概要が、9月5日に発表された。販売は試合ごとの全席指定制で、1日通し券の設定はない。全10試合、もしくは日本戦全4試合を観戦できるパックチケットも用意され、申込受付は10月1日から始まる。日本戦チケットは高額設定日本戦では、10人定員の「マススイー......
台湾・花蓮 台風18号でせき止め湖決壊 洪水被害拡大、死者14人・100人超不明 台湾・花蓮県光復郷では、9月23日午後に馬太鞍渓上流のせき止め湖が崩壊・越流し、洪水が瞬く間に町の中心部を襲った。台9線の馬太鞍橋は濁流により破壊され、交通は即座に途絶。24日早朝の統計によれば、死者14人、負傷者18人、さらに数百名の住民が行方不明となっている。消防隊が現在も捜索を続けており、犠牲者の多くは1階に住む高齢者で、洪水が急速に押し寄せたため避難......
利下げが引き金?米株は一時20%上昇後、1929年型大暴落の恐れ 「ブラックスワン」ファンドの著名マネージャーであるマーク・スピッツナーゲル氏が、米国株式市場について衝撃的な予測を示した。彼は、市場が一時的に大幅な上昇を遂げた後、最終的には1929年のウォール街大暴落に匹敵する規模の崩壊に直面する可能性が高いと主張している。スピッツナーゲル氏は、ベストセラー『ブラックスワン』の著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏の弟子としても......
台湾、パレスチナ建国承認地域に挙げられ外交部が反発 パレスチナ建国の問題は国際舞台で引き続き注目を集めており、特に最近、フランスのマクロン大統領が正式にパレスチナ建国を承認したことが再び世界の関心を呼び起こした。すでに150を超える国々がパレスチナを承認しているものの、領土問題や内部の政治的分裂が依然として建国の進展を難しくしている。パレスチナ外交の突破:フランスが率先して建国承認22日、ニューヨークの国連総......
自民党総裁選、石破首相「政策を引き継ぐ人に」 総裁選候補者5人が連立戦略を示す 自民党総裁選(10月4日投開票)に向けて立候補した5人の候補者が23日午前、党本部で共同記者会見に臨み、現在の少数与党体制を打開するため、自民・公明両党以外との連立拡大を目指す方針を一斉に表明した。自民党総裁選で小泉氏が92人を動員し存在感を示し、5候補はいずれも連立拡大や政策継承への意欲を語った。(写真/黃信維撮影)高市早苗前経済安全保障担当相は「首相指名......
目黒蓮、新CM「ネピア営業目黒くん」放映 親孝行の日に家族愛を描く感動ストーリー 王子ネピア株式会社(本社・東京都中央区、森平高行社長)は、「ネピア プレミアムソフト」シリーズのイメージキャラクターを務める目黒蓮さんが出演する新テレビCM『ネピア営業目黒くん 「うちは、ネピアでした。」篇』を、8月8日の「親孝行の日」に全国で初めて放映した。家族の絆を描いた物語と限定ギフトセット「贈るネピア」を発表本CMでは、目黒さんがネピアの営業社員とし......
台湾公共テレビとNHKが共同制作 阿里山森林鉄道を描く8Kドキュメンタリーが東京で特別上映 台湾公共テレビ(PTS)と日本放送協会(NHK)が共同制作した旗艦級ドキュメンタリー『神木の森へ 台湾阿里山森林鉄道』の日本特別上映会が、9月21日、東京・お台場のユナイテッド・シネマで開催された。大スクリーンを通じ、阿里山森林鉄道の壮大な自然景観と百年にわたる人々の物語が日本の観客に届けられ、日台文化交流の重要な節目となった。阿里山森林鉄道を題材にした8K......
舞台裏》台湾・国民党が鄭麗文氏の当選を警戒する理由 「地下党主席」と目されるCK楊の存在 台湾・国民党主席選挙の立候補登録は9月19日に締め切られ、前立法委員の鄭麗文氏、国民党立法委員の羅智強氏、前台北市長の郝龍斌氏、孫文学校総校長の張亞中氏ら6人が届け出を完了した。党員を対象にした9月15日の内部調査によれば、支持率は暫定的に鄭氏が首位で、郝氏と羅氏が僅差で追い、3人の差は約3ポイントと誤差範囲に収まる接戦となっている。第4位の張氏は大きく後れ......
巨人、イースタン・リーグ最後の王者に輝く 桑田二軍監督へ優勝ペナント授与 イースタン・リーグは19日、ジャイアンツタウンスタジアムで行われた「巨人―日本ハム」戦の試合前に2025年度優勝セレモニーを実施した。日本野球機構(NPB)の杵渕和秀イースタン・リーグ統括から巨人の桑田真澄二軍監督へ優勝ペナントとトロフィーが授与され、球場は温かい拍手に包まれた。日本ハムが同点に追いつく適時二塁打を放ったマイカ与那嶺(左)。(写真/許甄玲撮影......
Bリーグ10周年シーズン開幕へ 渡邊雄大が完全復活宣言、富永啓生は3P成功率50%挑戦 りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASON TIPOFFカンファレンスが9月22日、東京都千代田区の帝国ホテル「光の間」で開催され、B1全クラブの代表選手25名が登壇した。リーグは来月から発足10年目となる節目のシーズンを迎え、記念企画や新たな施策が示された。Bリーグは10周年シーズンを前に都内でTIPOFFカンファレンスを開き、渡邊雄大......
花俊雄の視点》誰が「台湾地位未定論」を煽っているのか 米国在台湾協会(AIT)台北事務所は最近、第二次世界大戦末期に米・中・英などの同盟国首脳が合意した《カイロ宣言》、その後の《ポツダム宣言》、そして戦後同盟国が日本と締結した《サンフランシスコ講和条約》の三つの文書について、いずれも台湾の最終的な政治的地位を決定していないと指摘した。続いて米国務省報道官も、AITが正確に情報を伝達したとし、中国が二戦期の文書を......
ChatGPT利用者数、インドが世界2位に躍進 OpenAIがニューデリー進出へ AIはインドで爆発的に成長しており、ChatGPTのインドユーザー数は世界第2位に躍進した。米国のテクノロジー大手もこの市場を狙って進出している。『エコノミスト』は9月17日、OpenAIがニューデリーにオフィスを構え、データセンターを構築する計画を報じている。マイクロソフト、Google、Metaなどの企業も、この9億のインターネットユーザーを持つ巨大市場......
自民党総裁選が告示 高市・小泉が存在感、5候補が立会演説会で決意表明 石破茂首相の退陣表明を受け、自民党総裁選が22日に告示され、午後1時から党本部で立会演説会が行われた。立候補した5人の候補者がそれぞれ決意と政策を訴え、10月4日の投開票に向けて本格的な選挙戦が始まった。高市早苗氏「女性登用と強い経済」高市早苗・前経済安全保障担当大臣は午前10時半ごろ国会近くの神社を参拝し、「総裁選挙にかける意気込みは半端なものではない。日......