ロサンゼルス・ドジャースの大黒柱として18年間マウンドに立ち続けた左腕、クレイトン・カーショウ投手が、2025年シーズンを最後に現役を退くことを正式に発表した。9月に行われた記者会見で、今季終了後にユニホームを脱ぐ決意を明らかにし、球団史を代表する存在の引退はメジャーリーグ全体に大きな衝撃を与えている。
カーショウは今季も10勝2敗、防御率3.53の成績を残し、依然として高いパフォーマンスを披露した。ドジャースタジアムでの本拠地最後の先発登板には大勢のファンが駆けつけ、背番号22に惜しみない声援を送った。会見では「ただ一年を過ごすのではなく、一瞬一瞬を楽しみたかった。家族、チームメート、そしてファンに心から感謝している」と涙ながらに18年間のキャリアを振り返った。
東京シリーズに帯同、京都観光も
2025年春のMLB開幕戦「東京シリーズ」では、31人の登録メンバーには含まれなかったが、自費で妻と4人の子どもを伴い来日。阪神との練習試合前にはチーム練習に参加し、ファンに快くサインに応じる姿も見せた。さらに球団公式SNSでは、カーショウ一家が京都を訪れる動画も公開され、新幹線での移動や竹林を人力車で巡る様子が配信された。「We love Kyoto!!(京都大好き!)」とのコメントとともに、日本文化を家族と満喫するスター投手の姿は大きな注目を集めた。
栄光に彩られたキャリア
カーショウのキャリアは数々の栄光で飾られている。2014年にはコロラド・ロッキーズ戦でノーヒットノーランを達成し、防御率1.77、21勝でナ・リーグMVPとサイ・ヤング賞を同時受賞。2011年から3度のサイ・ヤング賞を獲得し、2014年には満票での受賞を果たした。
ポストシーズンでは苦難の時期もあったが、2020年には防御率2.93を記録。ブルワーズ戦で8回無失点13奪三振と圧巻の投球を披露し、ドジャースの32年ぶりとなるワールドシリーズ制覇に大きく貢献。歓喜のグラウンドに駆け出す姿はファンの記憶に鮮明に残っている。
2025年7月にはシカゴ・ホワイトソックス戦で通算3,000奪三振を達成。左腕としては史上4人目、一つの球団でキャリアを全うしながらの達成はわずか3人目の快挙だった。2015年には301奪三振を記録し、21世紀における数少ない「300奪三振シーズン」を経験している。
数々の名場面と逸話
2013年の開幕戦では自ら本塁打を放って試合を決め、2016年ポストシーズンではわずか7球による緊急救援、2014年から15年にかけての連続無失点イニングなど、球史に残る名場面は枚挙にいとまがない。
さらに2008年春のスプリングトレーニングでは、当時19歳だったカーショウのカーブを伝説のアナウンサー、ビン・スカリーが「パブリックエネミーNo.1」と称した逸話も残っており、将来のスター誕生を予感させた。
一つの時代の終わり
通算222勝96敗、防御率2.54。18年間すべてをドジャースで投げ抜き、3度のサイ・ヤング賞、MVP、そして2度のワールドシリーズ制覇を成し遂げた左腕の引退は、一つの時代の終焉を告げる出来事となった。その功績と人柄、そして東京で家族とともに見せた笑顔は、これからも永遠にファンの記憶に刻まれ続けるだろう。
編集:梅木奈実 (関連記事: 【東京六大学野球秋季リーグ】法大が立大を4―1で撃破 片山悠真が父に続く神宮アーチ、浜岡陸の代打打も光る | 関連記事をもっと読む )
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