李忠謙コラム:トランプ・習近平会談前に 米学者が警告「中国を過大評価するな、台湾を過小評価するな」

2025-09-23 13:37
2025年9月3日、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩氏が、抗日戦争勝利・反ファシズム記念式典に出席した。(AP通信)
2025年9月3日、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩氏が、抗日戦争勝利・反ファシズム記念式典に出席した。(AP通信)
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「取引の芸術」に長けているアメリカのドナルド・トランプ大統領は、来月の韓国でのAPEC首脳会議の際に中国の習近平国家主席と会談する予定だ。近年の国際情勢を主導してきた米中対立、さらには「新冷戦」とも呼ばれる構図が、トランプ氏の一存によって大きく変わる可能性があり、各方面から注目が集まっている。トランプ氏の発言によれば、10月には韓国で習氏と会い、翌年には北京で再会し、その後はワシントンでも会談する計画だという。米中の指導者がこれほど短期間に相次いで顔を合わせる中で、今後の米中貿易関係が対立に傾くのか、それとも和解に進むのか、またテクノロジーや軍事分野での競争がどう展開していくのか、大きな関心が寄せられている。

仮に3度の「トランプ・習近平会談」が短期間で順調に行われるなら、冒頭からトランプ氏が強硬に出る可能性は低いとみられる。ただし、それも絶対とは言えない。何しろ彼はトランプ氏だからだ。予測不能なこの大統領の言動は、米国在台協会(AIT)が「台湾地位未定論」を改めて持ち出したことで、台北政界に激しい論争を巻き起こしている。与党・民進党系は「中国の歴史的な語りや法的戦術に台湾が絡め取られるのを防ぐための米国の配慮だ」と解釈する一方、国民党系は「米国が中華民国の主権を軽んじ、かえって両岸の緊張を悪化させた」と批判している。

実際、台湾地位未定論に対する解釈は、双方とも台湾の利益と安全を出発点としているが、その論理構造は大きく異なる。しかし、この問題の本質は歴史解釈や国際法の是非にあるのではなく、「トランプ氏本人がどう考えるか」、さらに「今後3度の首脳会談で習近平氏と台湾についてどう語るか」にあるといえる。残念ながら、この点で台湾が直接影響力を及ぼす余地はほとんどない。

トランプ政権復帰後初となる「トランプ・習近平会談」を目前に控え、米中対立の最前線に立つ台湾は極めて不確実な状況に置かれている。こうした中で、国際関係の権威ある専門誌『フォーリン・アフェアーズ』(Foreign Affairs)は今月(2025年9月)、二つの長文分析を掲載し、ワシントンと台北に向けて緊急かつ明確な警告を発した。アメリカの主要シンクタンクに属する研究者によるこの分析は、現在の米中台関係に「二つの致命的な誤判」が存在すると指摘し、修正が遅れれば台湾海峡、さらにはインド太平洋全体を不要な危機に追い込む可能性があると警鐘を鳴らしている。 (関連記事: 独占インタビュー》李大壮氏「台湾独立は統一の始まり」 北京は戦争望まず、頼清徳への扉も閉ざしていない 関連記事をもっと読む

第一の誤判は、米国が中国の「世界覇権への野心」を過大に評価していること。第二の誤判は、台湾が自らの実力と交渉力を深刻に過小評価していることだ。二つの報告は、あたかも鐘を鳴らすように強い警告を発している。ワシントンと台北の双方が現実をより冷静かつ明確に認識することで、変化の激しい状況の中でも、平和と繁栄に向けた持続可能な道を歩むことができると結んでいる。

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