台湾・花蓮県光復郷では、9月23日午後に馬太鞍渓上流のせき止め湖が崩壊・越流し、洪水が瞬く間に町の中心部を襲った。台9線の馬太鞍橋は濁流により破壊され、交通は即座に途絶。24日早朝の統計によれば、死者14人、負傷者18人、さらに数百名の住民が行方不明となっている。消防隊が現在も捜索を続けており、犠牲者の多くは1階に住む高齢者で、洪水が急速に押し寄せたため避難が間に合わなかった。洪水が引いた後の街区は壊滅的な様相を呈し、車両が押し流され折り重なる惨状となっている。
花蓮水災後第一手畫面曝光!!pic.twitter.com/qzgD2Q4mAm
— Tesla (@NikolaTesla2010)September 24, 2025
なぜ事前警戒にもかかわらず犠牲が出たのか
23日午後2時40分、連日の豪雨による増水で馬太鞍渓のせき止め湖が決壊。洪水は谷筋を下り、わずか数十分で下流域に到達した。当局は事前に警戒を発令し、一部地域で避難を進めていたものの、洪水の到達があまりに速く、住民の避難が間に合わず、多くの犠牲者が出た。これまでに14人が死亡し、多数の住民が孤立する事態となっている。
台湾の著名な登山家・蔡日興氏は、自身のSNSで「光復の大規模浸水は、短期的には地方の問題だが、長期的には歴史を振り返る必要がある」と指摘した。さらに、花東縦谷はもともと土地が痩せており、日本統治時代に水利事業によってようやく改善された経緯があると述べた。そのうえで「花蓮渓はしばしば流路を変える。こうしたせき止め湖の決壊は、歴史上すでに何度も繰り返されてきたはずだ」と語り、地域の地理的リスクを強調した。
幫幫花蓮人吧,更生人夫人徐縣長出國,更生人北上下注黨主席,放爛的市政都賴給清德。(32:0,偽造文書224:0🤷pic.twitter.com/dVhbQmVGTI
— ponpon (@paooo79)September 23, 2025
光復郷の災害が深刻化した要因
光復郷で被害が甚大となった背景には複合的な要素がある。
- せき止め湖の規模が極めて大きく、高さ約200メートル、貯水量は9100万トンに達していたこと。
- 台風による短時間の極端な豪雨で水位が急上昇したこと。
- 橋梁や道路といった基盤インフラが濁流に耐えられず崩壊し、救援ルートが遮断されたこと。
- 下流域にある1階建て住宅に高齢者が多く、迅速な避難が難しかったこと。
- 花蓮渓の河道自体が不安定で、歴史的にたびたび流路を変えてきたこと。
こうした条件が重なり、被害は一層拡大した。

歴史的背景と教訓
蔡日興氏は「アミ族は花東縦谷に400年以上暮らしてきたが、光復市街には定住しなかった。洪水が必然的に起きる場所であることを知っていたからだ」と述べた。さらに「鉄道が地下トンネルで渓谷を横断していること自体が、この地の危険性を示している。花蓮渓は決して人間に譲らない」と警告。自然環境と人間の居住・開発とのせめぎ合いが浮き彫りとなり、今後の復興計画においても持続可能な防災視点が不可欠であることを示している。
光復郷救助活動の進展
馬太鞍渓橋の崩落により主要道路は寸断され、救援部隊は台11丙線、台11線、台30線を迂回する必要があり、到達に2時間半以上を要している。現在、宜蘭県政府が193号線(箭瑛大橋~光復郷)の復旧工事を急いでおり、正午までに代替ルートを確保する見込みだ。24日午前には陳世凱交通部長が現地指揮所に入り、10時45分には卓榮泰行政院長も災区を視察する予定となっている。
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編集:梅木奈実
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