株式会社ABABA(東京都目黒区、代表取締役:久保駿貴・中井達也)は、2026年3月卒業予定の大学4年生のうち「就職活動時に生成AIを活用したことがある」245名を対象に、生成AIの活用実態に関するアンケートを実施した。その結果、就活生の約9割が生成AIの活用にメリットを感じており、とくにエントリーシート(ES)作成や面接対策での利用が広がっていることが明らかになった。
就活生の約4割が生成AIを活用、ES作成が最多
調査に先立って行われた事前調査(対象:818名)では、42.9%の就活生が「生成AIを活用したことがある」と回答。続く本調査では、具体的な活用場面として「エントリーシートの作成」(63.3%)や「推敲・添削」(55.5%)が上位に並んだ。その他、「面接対策」(35.5%)、「自己分析」(33.9%)、「業界研究・企業研究」(26.1%)など、幅広いフェーズで生成AIが用いられていることがうかがえる。
9割超が「メリットあり」 効率化・自己分析に効果
生成AI活用のメリットについて、「とてもあった」(41.6%)、「ある程度あった」(49.3%)と肯定的な回答が90%以上にのぼった。理由としては、「就活を効率的に進められ、多くの企業の選考に参加できた」(52.5%)、「趣味や大学生活との両立ができた」(39.0%)、「AIによる客観的な分析で自己PRの新たな視点を得られた」(37.7%)などが挙げられた。
一方で、「メリットを感じなかった」と回答した学生の多くは「出力結果に不信感を抱いた」(50.0%)、「かえって時間がかかった」(36.4%)、「期待した内容が得られなかった」(27.3%)と回答しており、効果的に使うためには理解と工夫が必要といえる。
企業のAI活用にも肯定的 「選考の迅速化」「公平性」に期待
企業の採用活動における生成AIの活用については、「良いと思う」(37.1%)と「どちらかというと良いと思う」(48.6%)を合わせ、8割以上が肯定的だった。理由には、「選考結果が早く出る」(43.8%)、「担当者の主観によらず公平に感じる」(39.1%)、「マッチング精度の向上で新たな企業と出会える」(33.3%)などが挙げられた。
一方で否定的な意見として、「人間として向き合ってほしい」「データだけで判断されているようで不安」(各51.4%)、「人の感情はAIには理解できない」(34.3%)など感情面の懸念も根強く、「面接をAIが判断することへの抵抗感」(54.3%)が特に強い結果となった。
生成AIへの印象、「親身で頼れる」が最多
生成AIに対する印象は、「親身で頼れると感じる」(32.2%)が最多で、「何も感じない」(29.0%)、「便利だが冷たく感じる」(21.6%)、「人間のようで少し気味が悪い」(17.1%)といった意見も見られ、受け止め方には差があることがわかった。
背景には「就活の長期化」 企業・学生双方に効率化ニーズ
ABABAは、背景として「就職活動の早期化・長期化」を挙げる。内閣府の調査によれば、就活期間が9カ月以上に及ぶ学生は年々増加しており、「就活うつ」と呼ばれる精神的負担も社会問題化している。
ABABAは「学生と企業の双方に効率化と公平性のニーズがあり、適切な生成AI活用はより良いプロセス構築に寄与する可能性がある」として、今後も調査を続ける方針だ。
ABABA総研とは
ABABA総研は、現代の就活生や新卒採用企業の課題を調査・可視化する目的で設立された研究機関。コロナ禍や経済不透明化による安定志向の高まりや、メンタル面での課題に対し、継続的な調査と研究を通じて就職活動の健全化を支援している。
編集:田中佳奈
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