神奈川県にあるアメリカの横須賀基地は米日安保の象徴であり、台湾海峡での戦争が発生した場合、非常に重要な役割を担う拠点だ。ここに集まる艦船には、米日最精鋭の武器が並んでおり、横須賀の戦力はまさに圧巻だ。『風傳媒』は現地取材を行い、横須賀基地で見るべき重要な艦船について取材した。
横須賀基地はアメリカ海軍第7艦隊が駐留しており、東京ドーム50個分の広さに2万人以上の米軍とその家族が生活している。基地内には、日本の潜水艦司令部も設置されており、周辺の海域にはイージス艦や潜水艦が停泊している。
米海軍第7艦隊と日本自衛隊が駐留する横須賀基地には、重要な日米の潜水艦が停泊している。写真は横須賀の親潮級潜艦。(写真/楊舒媚撮影)
米軍新鋭の潜伏神盾駆逐艦「モンスール号」が横須賀に到着、台湾巡航の可能性も 横須賀は、世界的にも有名な軍港として、その威信を誇っている。隣接する公園では、若者たちが「潜水艦に蹴られる」と表現するほど、潜水艦が海岸近くに停泊しているのが見られる。一般市民も、地元企業「トライアングル社」の運営する「横須賀軍港巡り」に参加して横須賀港を訪れることができる。台湾の軍事基地と比較して、横須賀はむしろ「無防備」に見えるかもしれない。
横須賀の潜水艦エリアには、親潮級などの潜水艦が並び、その中に艦番号「1001」の最新鋭神盾駆逐艦「モンスール号(USSMichael Monsoor)」も停泊している。モンスール号は2025年7月7日に横須賀港に到着した。この朱瓦特級2号艦は世界で3隻のみの存在で、通常はサンディエゴ基地に配備されており、接近するのは珍しいことだ。
モンスール号は多任務作戦と高い潜伏性能を誇り、レーダー反射面積は船体の50分の1に過ぎないため、被発見リスクを大幅に減少させている。この駆逐艦は、台湾メディアによれば、将来的に台湾近海を巡航する可能性もあると言われている。
モンスール号は垂直発射システム(VLS)を搭載しており、トマホーク巡航ミサイルなどの多くの武器を発射できる。さらに、艦首には特徴的な「AGS先進艦砲システム(Advanced Gun System)」が搭載されており、155ミリ砲は極超音速弾を発射し、速度は5マッハを超える。この砲弾は、可変飛行軌跡と高精度を誇り、多くの迎撃システムを突破することができる。ただし、この先進技術は高コストが伴い、1発の砲弾が1億円にも達する。モンスール号の建造費用は5000億円を超えており、従来の神盾艦の建造コストを大きく上回っている。
同じ予算で日本の摩耶級神盾艦を3隻建造できることを考えると、アメリカ海軍は当初32隻の建造を計画していたが、最終的に製造されたのは3隻だけだった。この艦は、高技術と高コストを併せ持つ代表的な例だ。アメリカ海軍によると、モンスール号は2025年に戦闘システムの起動を完了し、2026年には造船所に戻り、高超音速ミサイル発射モジュールの取り付けが行われる予定だ。これからは、インド太平洋地域での常駐任務に就くことが決まっているが、アメリカ海軍の公式配置状況はまだ未確認だ。
モンスール号の単艦建造費は5000億円に達し、3隻の摩耶級神盾艦(左)を建造可能。(写真/黃信維撮影)
バーク級米軍神盾艦マッキャンベル号 防衛半径450キロ超 横須賀港が自衛隊の管理下に入ると、左前方の赤白の鶴型クレーンと周辺の建物群は実際には自衛隊の「横須賀地方総監部」であり、ここが主要指揮拠点となっている。基地に停泊しているのは、艦番号「179」の「摩耶号」で、日本を代表する摩耶級の神盾艦だ。この神盾艦の砲塔根部には、白く塗られた六角形の大きなレーダー板が取り付けられており、4枚を搭載することで360度無死角での偵察が可能となる。この艦体に貼られた「ウミガメ殻レーダー板」を見れば、それが世界標準の神盾艦であることがわかる。
続いて艦番号「85」のバーク級米軍神盾艦「マッキャンベル号(USSMcCampbell)」がある。現在レーダーの修理中で、艦体の一部が確認できない状況だが、この神盾艦は即時多発飛来ミサイルを調査・迎撃する能力があり、450キロを超える防衛半径を持つ。例えば、この範囲では秋田から京都上空をカバーできることになる。マッキャンベル号の後方には、艦番号「115」のアーレイ・バーク級神盾艦「ラファエル・ペラルタ号(USSRafael Peralta)」が停泊しており、同様に特徴的なレーダー面を搭載している。
マッキャンベル号駆逐艦がレーダー修理を実施中。(写真/黃信維撮影)
ジョージ・ワシントン号が横須賀に配備 米軍神盾艦群「護送」 米海軍が日本の横須賀にこれらの神盾艦を配備している目的は、赤白のクレーンが目立つ岸に停泊している米国の原子力空母を守るためだ。現在横須賀基地に配備されているのは「ジョージ・ワシントン号(USSGeorge Washington)」で、これは米軍太平洋艦隊の重要な核戦力の一部として位置づけられている。
原子力空母の全長は333メートルで、飛行機の発着にも使用されるため非常に大きいが、その防御設備は比較的シンプルだ。したがって、海上で活動する際には、5隻から6隻の神盾艦による防護網が築かれることになる。横須賀基地はこのような巨大艦船を収容できる唯一の施設で、その目印となるのは赤白の巨大吊りクレーンだ。核空母は年間約6ヶ月間横須賀に停泊し、残りの6ヶ月は任務で出航している。そのため、帰港時期は軍事機密であり正確にはわかっていないが、通常、帰港率が高いのはクリスマス前後とされている。
米国空母、潜水艦などの重要軍備は、晴れた日には富士山が見える母港横須賀に停泊しています。(写真/楊舒媚撮影)
「鉄の船」は磁気機雷が脅威 軍港防御システムで消磁処理が行われる 横須賀に停泊する軍艦は鉄製の船体を持ち、海上で磁力を帯びることが潜在的な危険を引き起こす。例えば、海中に潜む「磁気機雷」という武器があり、強い磁場に反応して爆発する仕組みになっている。もし軍艦が強すぎる磁力を持っていれば、予期しない爆発のリスクがあり、艦上の人員や任務に大きな脅威をもたらす。これを防ぐため、横須賀には「消磁所」という施設があり、艦船の残留する磁力を測定し、必要に応じて調整を行っている。艦番号120の青森大湊基地所属の海上自衛隊護衛艦がコンクリートブロックの一列の脇に停泊し、磁場強度を測定して、超過が確認されると即座に消磁処理に入る。
横須賀軍港の長浦港区域には、日本海上自衛隊の現役高波級護衛艦が停泊している。この艦は対空、対海、対潜の多重防御能力を備えており、艦上には砲塔、ミサイル、魚雷などの武器システムが搭載され、複雑で多様な海上安全脅威に対応するよう設計されている。高波級の基本設計は村雨級と似ており、金剛級護衛艦に匹敵する艦砲に変更されている。
台湾に関連して、「共同通信」によると、高波号は2025年6月12日に東海から台湾海峡へ進入し、その後南へ10時間以上航行した後、6月14日にフィリピン艦と「海上共同活動」を行ったと報じられている。
艦番号120 青森大湊基地所属の海上自衛隊護衛艦、横須賀港での消磁処理中。(写真/黃信維撮影)
「海における忍者」潜艦が現れる 潜艦より神秘的な海洋観測艦日南号も来た 高波級護衛艦の後ろには、海上自衛隊の潜水艦が停泊しているのを『風傳媒』が確認した。潜水艦は非常に機密性の高い軍備で、その任務は長時間深海で潜伏し、レーダーで発見されにくい能力を持つ。「海における忍者」とも称され、多くの国で軍事力の中核となる戦略兵器として位置づけられている。潜水艦はその形状と移動が隠されており、敵国がその存在に気付くことは非常に困難だ。
長浦港の奥には、小型艦船とその背後に大型船舶が停泊している。その中でも艦番号「304」の掃海艇「淡路号(あわじ)」はガラス繊維製(FRP)で、磁性を防ぎつつ機雷の偵察と除去を行う役割を持っている。淡路号の後ろには、カタパルト上で任務に従事する艦番号「5105」の海洋観測艦「日南号」が停泊している。日南号は海底の地形や地質構造、水温、塩分濃度などを調査する専門的な任務を担い、その神秘性は「潜水艦を超える」とも言われている。
また、潜水艦救難艦「千代田号(ちよだ)」も姿を見せ、艦番号「404」で、潜艦事故時の救難支援を担当する。この艦は高価な専門船で、潜水救難艇を深海に送り込み、亀裂が入った潜水艦からの人員救出を行う。
さらに、横須賀には「高波号」など、他の艦船も停泊しており、艦番号「463」の掃海母艦「浦賀号(うらが)」が小型掃海艇「淡路号」などをサポートし、長時間任務を支援するための補給を行っている。
潜水艦救難艦「千代田号(ちよだ)」、艦番号は404。(写真/黃信維撮影)
日本現代艦艇夕立号の珍しい停泊 空中補給可能 常盤号も見える 『風傳媒』が横須賀港を訪れた際、右前方の海上に多くの日本海上自衛隊の主力艦艇が停泊しているのを確認した。最初に視界に入ったのは、革新的な艦体ラインを持つ護衛艦「ゆうだち(夕立)」で、未来的な外観が注目を集めていた。夕立号は青森県大湊基地に配属されており、横須賀には通常停泊しないため、非常に珍しい艦艇だ。
夕立号の側には、艦番号「423」の補給艦「ときわ(常盤)」が停泊している。常盤号は、艦体中央に鳥居状の構造を持ち、艦対艦補給に使われる黒いホースが吊るされている。この艦は、航行中に他の艦艇と並行して燃料や淡水、食料の補給を行う空中補給技術を持ち、高い協力と安定性を保ちながらその役割を果たしている。
常盤号の隣には、艦番号「111」の護衛艦「おおなみ(大波)」と艦番号「1」の「むらさめ(村雨)」が停泊しており、それぞれ異なる世代の艦艇だ。大波号は平成時代の設計であり、村雨号は新しい令和世代の艦艇で、日本の海上自衛隊の技術と戦略的変遷を示している。
111大波(右)は423常盤補給艦(左)の隣に停泊している。(写真/黃信維撮影)
未来指揮官養成所 艦番号3515役割転換訓練艦 帰港は迫ると、2号の最新型護衛艦が姿を現した。この艦はステルス設計を取り入れ、特殊な船体の角度とコーティング素材でレーダー波を効率的に反射し、敵に発見されるリスクを大幅に減少させる低視認性を誇る。この艦は現代海軍が情報戦や敵対行動に先んじることを重視し、日本の海上戦略の技術的進展を反映している。
隣には艦番号「3515」の練習艦が停泊しており、かつては通常の活動艦だったが、現在は海上自衛隊の幹部候補を養成する訓練艦として運用されている。艦上には実践的な操作環境が整備されており、若い士官候補が指揮、操縦、組織管理の演習を行い、指揮官として必要な判断力を養う場となっている。
横須賀港近くの三笠公園には、三笠艦(右)が停泊しており、これは1905年の日露戦争でロシアのバルト海艦隊を打ち破り、東アジアの地政学的枠組みを変動させた連合艦隊司令長であった東郷平八郎大将の軍艦として知られている。(写真/楊舒媚撮影)
三笠号東アジア地政学的枠組みを変動 横須賀が台湾海峡と第1列島線の構図に影響 横須賀港近くにある三笠公園には、歴史的な三笠号戦艦が停泊している。これは日本海軍連合艦隊司令官、東郷平八郎に対する最高の敬意を表しており、明治維新時の「富国強兵、全盤西化」の象徴となっている。三笠号は1905年の日本とロシアの戦争でロシア艦隊を破り、東アジアの地政学的枠組みを変えた。
今日では、三笠号は日本海軍の象徴としての役割を果たしているだけでなく、現代の軍艦が横須賀港に停泊することで、地域の安全保障に与える影響も示している。特に中国、ロシア、北朝鮮からの脅威に対して、第1列島線を守るため、横須賀港に停泊する艦艇は非常に重要であり、台湾海峡やインド太平洋の地政学的構図にも大きな影響を与えると考えられている。