風傳媒取材》横須賀に米空母と潜水艦集結 台湾有事で注目の「謎の島」も現地ルポ

第一列島線を支える軍港・横須賀には、日米の主要艦艇が集結する。写真は日本の「そうりゅう型」潜水艦。(写真/張曜麟撮影)
第一列島線を支える軍港・横須賀には、日米の主要艦艇が集結する。写真は日本の「そうりゅう型」潜水艦。(写真/張曜麟撮影)
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神奈川県横須賀市の軍港には、アメリカ海軍と海上自衛隊の艦艇が集結している。原子力空母「ジョージ・ワシントン」をはじめ、イージス艦や潜水艦などの拠点であり、台湾有事に備える戦力の一翼を担う拠点でもある。台湾側の軍事施設が秘匿性を重視する一方、横須賀の港は一般にも公開されており、強大な軍事力を目の当たりにできる数少ない場所となっている。

横須賀では、記者による事前申請なしでも参加できる「軍港めぐりクルーズ」が定期運航されている。地元企業のトライアングル社が2008年から実施しており、軍事、歴史、そして港の風景を一度に楽しめる観光資源として知られている。横須賀市を代表する人気観光体験のひとつであり、その背景には軍港としての重要性がある。

20250710-以橫須賀為母港的美國核子動力航空母艦喬治華盛頓號。(楊舒媚攝)
艦艇の停泊状況は軍事機密とされており、巡航ごとに異なる光景が広がる。写真は横須賀を母港とする米原子力空母「ジョージ・ワシントン」。(写真/楊舒媚撮影)

軍事設備の出入りは機密 空母や潜水艦の登場はサプライズ

トライアングル社によると、艦船の配置はその都度変化し、スケジュールは事前には分からないという。潜水艦や南極観測船「しらせ」、さらにはアメリカの空母が停泊していることもあり、訪問者には予想外の光景が広がることも多い。こうした“即時性”が毎回の乗船に新鮮さをもたらしている。

案内を担当するのは約10名のガイドで、それぞれ異なる知識や経験をもとに解説を行う。SNSやメディアを通じて最新の情報を収集・発信し続けており、海外からの観光客向けには英語版の案内書やウェブサイトも用意されている。地政学的な緊張が高まる中でも、ツアーの人気は衰えておらず、観光振興の柱として定着しつつある。

横須賀市は今後、「ドブ板通り」や無人島「猿島」、オーシャンビューが楽しめる横須賀美術館との連携を強化する方針を示している。軍事、自然、歴史の要素を織り交ぜた観光ルートを整備し、初訪問の国際観光客には、午前出航のクルーズを推奨。光の条件が良く、周辺施設も合わせて訪れやすい時間帯とされている。

20250710-美日國旗。(黃信維攝)
並んで掲げられた米国旗と日本国旗は、日米安保体制の象徴としての横須賀の位置づけを示す。(写真/黃信維撮影)

首都圏の心臓・東京湾 日米連携の最前線でもある

クルーズが進むと、視界の先に千葉県の房総半島が見えてくる。距離は約7キロと近く、ここは東京湾の一角だ。日本の経済と物流を支えるこの海域では、自衛艦、貨物船、小型船などが頻繁に航行しており、「東京湾海上交通センター」が24時間体制でレーダーとカメラによる監視を行っている。

やがて船は、住友重機械工業の横須賀製造所が並ぶ追浜エリアへ。ここでは油槽船の製造・修理が行われ、2025年からは船舶向けの空揚車両の生産も始まる予定だ。周辺には日産自動車の大規模工場があり、年間24万台の小型車が各地へと出荷されている。隣接する施設は、横須賀市のリサイクルと廃棄物処理の拠点にもなっている。

航行が長浦港に差し掛かると、白く塗装された複数の船舶が姿を現す。これは海上自衛隊ではなく、海上保安庁が保有する巡視船で、PL(Patrol Large)は大型、PS(Patrol Small)は小型を意味する。密輸の摘発、海難事故対応、不法入国の取り締まりなど、海上の安全を担う存在で、緊急時は「118」で通報できる体制が整っている。

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