台北前市長柯文哲氏が法廷で激怒「12カ月も拘束された、限界だ」 検察を痛烈批判

2025-08-08 11:35
民衆党前主席の柯文哲氏(中央)が本日(7日)午前、台北地方裁判所に到着した。(写真/劉偉宏撮影)
民衆党前主席の柯文哲氏(中央)が本日(7日)午前、台北地方裁判所に到着した。(写真/劉偉宏撮影)

台北地方裁判所は本日(7日)、京華城事件の審理を開き、台北市政府前副秘書長の李得全氏と前副市長の黃珊珊氏を証人として出廷させた。柯文哲氏は黒の半袖シャツと短パン姿で出廷し、法廷で激しい発言を繰り返した。午前中には、検察が大規模リコール失敗の要因だと主張し、賴清德氏に対して「私は絶対に屈しない」と言い放った。午後にはさらに怒りをあらわにし、「私は12カ月も拘束され、もう限界だ」「いまだに法的根拠があるかどうか議論している。これは一体どういう世界だ」と声を荒らげた。

同事件の午前の審理では、李得全氏が証言台に立った。休廷中、柯氏は検察がリコール失敗の原因だと非難。これを受け、台北地検は午後に声明を発表し、柯氏の「非理性的な言動」により、公訴を遂行する検察官への人身攻撃が行われたと厳しく非難した。その上で、柯氏に対し法廷秩序を遵守し、理性的かつ安全な訴訟環境の維持に努めるよう呼びかけた。

しかし、接見を禁止されていた柯文哲氏は台北地検の声明を目にしておらず、午後に台北地方裁判所第7法廷で行われた検察側の反対尋問に強い不満を示した。「昼夜を問わず懸命に働いてきたのに、汚職の汚名を着せられ、本当に吐血する思いだ。12カ月も拘束され、もう限界だ」と述べた。

この日の午後、柯氏の弁護人は証人として前台北市副市長の黃珊珊氏を呼び、市政府の「弁当会」や朝会の実態について証言させた。弁護側は最終的に、2021年8月10日の弁当会はわずか40分で、処理すべき案件は7件あり、1件当たり5~6分しか時間がなかったと指摘。そのため柯氏は関係局処の専門的判断に基づいて決裁し、業務主管の副市長である彭振聲氏をプロジェクトマネジャー(PM)に指名したもので、過去にも林欽榮氏をPMに指名した例があり、本件は初めてではないと主張した。

一方、検察側は黃珊珊氏の証言を基に、当時の市都市発展局長・黃景茂氏のスケジュールに、京華城案件が台北市政府の朝会で議題となった記録があり、しかもそれは非公開であったと指摘。これを「ブラックボックス」だと断じた。この検察側の主張に対し、柯氏は即座に不満を示し、その場で挙手して発言を求めた。

柯文哲氏は「当時は2期目の市長で、もう余計なことはしないと学んでいた。局処の職員に意見があれば、すべて提案書に書かせていた。証言した公務員は皆、容積率申請は事業者の権利であり、審査は都市計画委員会の責任だと述べている。それなのに、検察はこの過程を『違法な利益供与』だとし、私は12カ月も勾留された。今になってなお、これに法的根拠があるかどうかを議論している。これは一体どういう世界なのか」と強い口調で述べた。

柯氏はまた、「会議を開けば必ず記録が残る」と強調し、黃景茂氏のスケジュール帳は非公開会議を記録したものだと説明。さらに検察に対し、「なぜきちんと確認しなかったのか」と詰問し、威京グループ法務の陳俊源氏が「市長の指示があった」と述べた件についても、「市長室のどの秘書が言ったのか、指示の内容は何だったのか、なぜ確認しなかったのか」と問いただした。

一方、黃珊珊氏も、自らの証言が検察に誤解されたことに不満を示した。「威京小沈已給過」という発言の意味について、弁護側は主尋問で質問しておらず、それにもかかわらず検察が反対尋問で突然この点を問うたため、弁護側は即座に異議を唱え、「主尋問の範囲を超えている」と主張。裁判長が検察に「主尋問に組み込むか」と確認すると、検察はこの質問を撤回した。

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