米大リーグ(MLB)で通算3,089安打を記録したイチロー氏(本名・鈴木一朗、51)が、アジア人として初めてアメリカ野球殿堂入りを果たした。7月27日、ニューヨーク州クーパーズタウンの野球殿堂で表彰式が行われ、イチロー氏はスーツ姿で登壇。約19分間にわたり英語でスピーチを行い、「ここにいられることは素晴らしい夢のようです。偉大なチームに加えてもらえたことに心から感謝します」と笑顔で語った。
会場には、マリナーズ時代の背番号「51」のユニフォームを着た多くのファンが集まり、イチロー氏の登場時には大きな歓声が上がった。スピーチ冒頭では「再びルーキーになった気分です」と述べ、日本プロ野球への入団、大リーグ挑戦に続く「3度目の初心を思い出す瞬間」だと振り返った。
また、メジャー挑戦当初、「細すぎる」と批判されたことにも触れ、「自分の信念を貫けば、疑いを乗り越えられると信じていた」と語り、「開幕日から162試合目まで、同じ情熱でプレーすることが私の義務だと思っていました」と強調した。
スピーチでは、先駆者である野茂英雄氏への感謝の言葉も述べ、日本語で「野茂さん、ありがとうございました」と語りかける場面では、会場から温かい拍手が送られた。
イチロー氏は2001年にオリックス・ブルーウェーブからマリナーズへ移籍。1年目に首位打者、最多安打、盗塁王を獲得し、ア・リーグMVPと新人王を同時受賞した。2004年にはシーズン262安打というメジャー新記録を樹立し、デビューから10年連続で200本以上の安打を記録。ゴールドグラブ賞も10年連続で受賞した。通算成績は2,653試合、打率.311、117本塁打、780打点、509盗塁に及ぶ。2019年、東京ドームで行われた試合を最後に現役を引退し、現在はマリナーズの特別補佐兼インストラクターとして若手選手の指導にあたっている。
今回の表彰式では、通算251勝を挙げたCC・サバシア氏、422セーブを記録したビリー・ワグナー氏に加え、故ディック・アレン氏、デーブ・パーカー氏も殿堂入りを果たした。
日本野球機構(NPB)の榊原定征コミッショナーは、「日本人にとって大変誇らしいこと。昨日のパレードでもイチローさんへの声援が一番大きかった」と語り、殿堂博物館で開催中の「日米野球展」を紹介。「これを契機に、日米野球の交流がさらに発展することを願っています」と期待を込めた。
スピーチ後、会場は「イチロー!」の歓声に包まれ、アジア人として初の快挙を称える拍手が鳴りやまなかった。
編集:梅木奈実 (関連記事: イチロー、アジア人初の米野球殿堂入り 「3度目の新人」とユーモア溢れるスピーチ | 関連記事をもっと読む )
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp