台湾と日本の観光・地方鉄道分野の連携をさらに強化するため、台北駐日経済文化代表処の蔡明耀副代表と、台湾交通部観光署東京事務所の王紹旬所長が2025年8月5日、青森県で開催中の「2025年青森ねぶた祭」の関連イベントにあわせて青い森鉄道株式会社を訪問した。
青森商工会議所で行われた懇談会では、台日間における観光および鉄道交流の成果を振り返りながら、今後の新たな協力の可能性についても意見を交わした。

青い森鉄道社長「台湾との縁を感じている」
青い森鉄道の東直樹社長は歓迎のあいさつで、「社長就任から1年が経ち、以前は青森県庁で鉄道関連業務に携わっていました。台湾とは非常に深い縁を感じています」と述べた。また、社員の中にも台湾を訪れた経験のある者が多く、今秋にも現地視察を予定していると紹介し、台湾との交流が社内に定着していることを強調した。

同社は、かつてJR東北本線だった区間を引き継いだ地方鉄道で、青森駅から目時駅までの121.9km・全27駅を結ぶ路線を運営している。保有する車両で旅客輸送を担い、線路や施設は青森県が保守管理する「上下分離方式」を採用。年間利用者数は約450万人(1日平均約1万2300人)にのぼり、通勤・通学客が全体の6〜7割を占める。三沢、筒井、野辺地、矢田前、東青森などが主要駅で、夏のねぶた祭や秋の観光シーズンには観光客の利用も増加するという。

台鉄と姉妹鉄道提携 文化交流も活発化
青い森鉄道は2019年7月、台湾鉄路管理局(台鉄)と姉妹鉄道協定を締結。対象は台中〜高雄間を走る縱貫線で、台北駅で行われた締結式には、台湾側から当時の交通部長・林佳龍氏、台鉄局長・張政源氏、日本側からは青森県知事の三村申吾氏や青い森鉄道社長が出席した。
協定締結後は、台湾文化や観光情報の発信、ラッピング列車の運行、SNSを活用したプロモーション、旅行商品の共同開発など、さまざまな分野で連携が進展。2024年には締結5周年を記念し、両国で連動した塗装列車の運行や沿線紹介イベントも開催された。
懇談会で東社長は、「今後は台湾のお客様に特化した鉄道ツアー商品を展開していきたい。今年秋には再び台湾を訪問し、阿里山森林鉄道などとの連携についても協議する予定です」と語った。また、「青森の四季の魅力、特に弘前城の桜や八甲田の雪景色を、もっと多くの台湾の方々に体感してほしい」と意気込みを見せた。
ラッピング列車や観光列車でさらなる交流へ
2019年には、エバー航空の青森直行便就航を契機に、青森県・台湾観光署・エバー航空の三者連携により、台湾観光をテーマにした特別ラッピング列車や車内広告が展開された。同年には台湾ランタンフェスティバルの花燈(ランタン)が青森に運ばれ、ねぶた祭にも参加するなど、文化交流も進んだ。 (関連記事: 台湾グルメ満載の《城隍神降臨》中型ねぶたが青森に登場!来場者の驚きと歓声響く | 関連記事をもっと読む )
2025年7月28日から2026年3月までの期間には、再び台湾観光署との協力で「台湾観光特別列車」が青森県内を走行。秋冬シーズンの観光需要を喚起している。
