舞台裏》アメリカが「地獄絵図」を作り、中国を抑止 台湾のドローン問題が沈殿する恐れ

2025-08-06 10:30
非対称戦を打破るために、軍は無人車両を大規模に発展させ、ドローンの需要が急増している。(写真/国防部提供)
非対称戦を打破るために、軍は無人車両を大規模に発展させ、ドローンの需要が急増している。(写真/国防部提供)
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米インド太平洋軍司令のサミュエル・パパロ氏は、無人機を大量に配備し弾薬と組み合わせることで、中国の台湾侵攻を抑止する「地獄景象(ヘルスケープ)」を構築すべきだと繰り返し主張してきた。パパロ氏は、台湾が現在進めている防衛投資は米側の方向性と一致していると強調する。米国は8月4日、台湾陸軍に対し、初となるAltius-600M攻撃型無人機システムを引き渡した。このプロジェクトは2024年に始動し、わずか1年で2025年に初期装備の受領に至ったもので、極めて迅速な動きである。米国の発言と行動の双方が、台湾における「地獄景象」構築への切迫感を示している。

台湾もパパロ氏の言う通り、「米側と方向性を同じくする」動きを見せている。2024年8月21日、国防部は第1波となる6種類の軍用商規無人機の入札結果を公表した。計4社が受注し、契約総額は68億7,592万7,283元、総数は3,400機超に上った。第1波の軍用商規無人機はすでに部隊に配備されており、漢光41号演習では海軍陸戦隊なども運用を開始している。

「無人の地獄」を実現するため、軍は近年無人機開発を急速に推進してきた。国防部軍備局は2025年7月22日、新たな軍用商規無人機の調達要求を公告し、5種類、総計4万8,750機の大規模入札を開始した。しかし、こうした取り組みは一見すると非対称戦力を強化するように見える一方で、実際には軍を別の「地獄」へと導く可能性も孕んでいる。

022年5月10日,美國海軍太平洋艦隊司令帕帕羅在雪梨的印太海權會議上發表演說。(美國海軍官網)
米インド太平洋軍のパパロ司令官は、米国が自律型システムの能力を大幅に強化し、それを台湾周辺に配備することで「地獄の光景」を創出し、中国の台湾侵攻を抑止すべきだと強く主張している(写真/米海軍公式サイト提供)。

米軍が掲げる「地獄景象」構想 台湾軍、無人機5万機を調達へ

国防部が公告した5種類の軍用商規無人機の調達計画によると、総調達数は4万8,750機に達し、2026年から2027年にかけて引き渡しが完了する見込みである。

甲式は6キロメートル以上の制御距離を持つ多軸回転翼型無人機で、全体の調達数は3万4,000機。内訳は2026年に7,500機、2027年に2万6,500機の納入を予定している。乙式は25キロメートル以上の制御距離を持つ同じく多軸回転翼型無人機で、計4,300機を調達。2026年に1,100機、2027年に3,200機の受領となる。

定翼型の新たな調達要件に基づく丙式および丁式の無人機も含まれている。丙式は90キロメートル以上の飛行距離と、満載状態で2時間以上の滞空能力を持つ定翼無人機で、計3,950機を予定。2026年に970機、2027年には2,980機を導入する。丁式は飛行距離30キロメートル以上、滞空時間30分以上の性能を持ち、合計5,800機(2026年1,350機、2027年4,450機)が調達される。

注目すべきは、戊式の「垂直離着陸型定翼無人機」である。制御距離100キロメートル以上、滞空時間2.5時間以上、平均飛行速度は時速80キロ以上を要し、離着陸時には風速5級以上に耐える性能が求められる。この機体は艦艇上での運用も想定され、2026年および2027年にそれぞれ350機、計700機の調達が予定されている。

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