三重県多気町にある日本最大級の複合型商業施設「VISON(ヴィソン)」が、食文化や観光体験の深化を図り、さらなる魅力を発信している。豊かな自然に囲まれた広大な敷地内には、多彩なテーマエリアが展開され、日本の伝統と現代のライフスタイルが融合する体験を提供している。
施設内には、薬草文化をテーマにした「本草エリア」、味噌・醤油・味醂といった和食の基礎を支える調味料の工房が並ぶ「和ヴィソン」、陶芸家・内田鋼一氏がプロデュースする料理道具の専門エリア「アトリエヴィソン」、パティシエ・辻口博啓氏監修のスイーツエリア「スウィーツヴィレッジ」など、多様なエリアが整備されている。訪れた人は、和食文化の体験、食に関する学び、最新トレンドの発見を同時に楽しむことができる。
2024年8月には、緑豊かな農園エリアにわずか6室限定のラグジュアリーホテル「HACIENDA VISON(ハシェンダ ヴィソン)」がオープン。部屋ごとに異なるコンセプトが設けられ、北側は幻想的な山並み、南側は森とガーデンが広がる。満天の星空を眺めながら、非日常の静けさと贅沢なひとときを味わえる宿泊体験が提供されている。
また、2023年12月には日本最大級のRVパークも開業。車中泊に対応した温浴施設「本草湯」や70店舗を超える飲食・物販エリア、24時間利用可能なトイレ、Wi-Fi、電源設備も完備し、伊勢志摩や熊野方面への観光拠点として注目を集めている。
VISONでは次世代の料理人育成にも注力しており、2024年8月18日〜21日には「全国高校生ガストロノミー甲子園」を開催。全国から選抜された8校が出場し、日本ガストロノミー協会会長・柏原光太郎氏、「しち十二候」齋藤章雄シェフら著名料理人が審査を担当する。
さらに11月11日には「第3回 世界料理学会 in VISON」が開催予定。これは、料理人による料理人のための学会であり、国内外の第一線で活躍する料理人が技術論や世界の食文化の潮流、飲食業界の未来について語る。地域の料理人や生産者も参加し、交流とレベルアップの場として期待されている。
昨年は、全国から約30人のトップシェフが集結した「VISONシェフフェス」も開催され、約1週間でチケットが完売するほどの盛況ぶりを見せた。今年も開催が予定されており、地元・相可高校の調理科生徒がプロの料理人と交流を深める機会となる。
和ヴィソンでは、味噌や醤油の製造見学・体験、伝統調味料を使った飲食店の営業に加え、木工ワークショップや自然体験ができる「木育エリア」、約1500冊の自然関連書籍を所蔵するライブラリーカフェなども併設されており、地域の食文化を次世代へと継承する拠点となっている。
岸田文雄前首相も「三重県広域連携モデル」の先進事例としてVISONを視察し、地域資源を活かした新しい観光と食文化の拠点として高く評価した。
VISONは今後も「食」と「文化」を軸に、世代や国境を超えた交流と体験の場を提供し続ける。訪れる人々は、和食の奥深さ、自然の癒し、そして食の未来に出会うことができるだろう。
編集:梅木奈実 (関連記事: 松阪牛も伊勢茶も忍者体験も!東京で「三重の魅力」大集合 | 関連記事をもっと読む )
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp