英国ロンドンに本部を置くペルシア語ニュース局「イラン・インターナショナル」(Iran International)が、イラン情報機関から同局の記者や家族に対して明確な殺害予告を受けたとして、国連に緊急支援を要請した。『エルサレム・ポスト』によれば、脅威の対象は45人の記者と、世界8カ国に居住する300人以上の家族に及ぶという。
同局はワシントンにも支局を置き、脅迫は明確に殺害を目的としたものであると説明。影響を受けるのは、45人の記者と300人以上の家族で、同局はこれを「衝撃的で前例のないエスカレーション」と表現している。イラン政府による長年の報道活動への組織的な脅迫行為だと位置づけた。
標的とされる理由
同局の報道は数百万人規模のペルシア語視聴者に届き、その多くがイラン国内の視聴者であることから、テヘラン当局の標的となってきた。イラン政府は同局を「テロ組織」とまで指定し、記者やスタッフ、その家族に対して財産没収、尋問、渡航禁止などの措置を取ってきたという。
今回の脅迫は、イスラエルや米国によるイラン攻撃後に発生。国連に提出された法的文書では、国際社会が即時に介入しなければ人的被害が出る危険性があると警告している。脅迫の中には米国在住の記者も含まれ、すべての殺害予告には実行期限が設けられており、その期限はすでに経過しているという。
トランプ氏発言報道が引き金か
背景として、同局は8月6日、トランプ米大統領がイランをめぐる発言を報じた。トランプ氏は「イランは憎しみの首謀者であり、非常に邪悪な場所だ。今後数年で状況は大きく変わるだろう」と述べていた。
同局は、こうした脅迫は異なる政治的立場を持つメディアや言論を封じるための体系的な威嚇であり、今回の脅しも報道活動への直接的な報復だと強調している。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp (関連記事: 核施設攻撃後、イランで愛国意識が高まる NYタイムズ報道:禁じられた歌と神話で民族主義を強化 | 関連記事をもっと読む )